「できないものはない」への挑戦――平沼精密が貫くものづくりと未来への構想
株式会社平沼精密 代表取締役 平沼杉樹氏
株式会社平沼精密は、機械部品の製造を手がける企業です。材料の調達から加工、完成品の製作までを一貫して対応し、試作品から量産品まで幅広いニーズに応えています。創業以来受け継がれてきた「できないものはない」という挑戦の精神を軸に、難易度の高い案件にも果敢に取り組んできました。本記事では、代表取締役の平沼杉樹氏に、事業へのこだわりや経営者としての歩み、組織づくりへの想い、そして今後の展望について伺いました。
「できないものはない」を貫くものづくり
――現在の事業内容について教えてください。
当社は機械部品の製造を行っています。お客様からご依頼をいただいた後、材料の調達から加工、完成品までを一貫して手がけています。試作品の製作にも対応しており、その後のリピート品についても継続して受注しています。また、1個からの少量生産にも対応していることや図面が無く、サンプル品をご提示頂いても寸法測定をして、独自のノウハウを活かし、加工するのが特徴です。
――事業を続ける中で大切にしている考え方はありますか。
創業当初から受け継いでいる考え方として、「ものづくりに関してできないものはない」という想いがあります。図面さえあればできると考え、まずは挑戦することを大切にしています。
これまでには非常に難しい開発案件もありました。寸法精度の要求が厳しく、通常であれば比較的短期間で仕上がる加工が、完成までに約1年かかったこともあります。その案件は他社で対応が難しく、最終的に当社へ相談が寄せられたものでした。私たちも不安はありましたが、「挑戦させてください」とお伝えし、お客様と一緒に試行錯誤を重ねました。
当初は月に数個しか製作できませんでしたが、改善を重ねた結果、現在では安定した生産が可能になっています。お客様の「どうしても成功させたい」という想いと、私たちの「何とか形にしたい」という想いが重なったことで実現できた案件でした。
突然の事業承継と経営者としての学び
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと工業系の学校を出たわけではなく、高校卒業後にアルバイトのような形で会社に入りました。当時は従業員がほとんどいない状況で、機械の操作を学びながら仕事を続け、正社員として働くようになりました。
その後、父が病気で突然入院することになり、急遽経営を引き継ぐことになりました。十分な引き継ぎ期間があったわけではなく、加工、営業、経営とあらゆる業務を同時にこなさなければならない状態でした。毎日数時間しか眠れない時期もありましたが、何とか乗り越えてきました。
――経営についてはどのように学ばれたのでしょうか。
周囲の経営者の方々との交流が非常に大きかったです。経営者の会や組合などを通じて多くの方から学びました。また、財務面についても見直しを行い、会社の体制そのものを改革していきました。
印象に残っている言葉があります。「仕事を選んでいないか」「依頼が来たら全部受けたらいい」という言葉です。また、「365日24時間やってから相談しなさい」と言われたこともありました。もちろん文字通りの意味ではなく、本気で取り組んだのか、自分の可能性を十分に試したのかを問われたのだと思います。
それ以来、まずは「できる」と言って挑戦し、その後で方法を考えるようになりました。自分がやれることをやり続ける姿勢が、今の経営の軸になっています。
社内改革が生んだ風通しの良い組織
――組織づくりで大切にしていることは何でしょうか。
工場に対するイメージを変えたいという想いから、約5年前に社内改革を始めました。その一環として、週に1回の勉強会を継続しています。
以前の工場は、いわゆる昔ながらの工場という雰囲気でした。しかし、社内環境を改善し、社員全員で改革を進めた結果、現在では大きく変わりました。勉強会では、改善点やアイデアを自由に話し合っています。
特に若手社員とベテラン社員のコミュニケーションを重視しています。若手が専門用語や業務上の疑問を気軽に質問できる場をつくり、ベテランも若手の考え方を学べるようにしています。お互いの視点を理解し合うことで、職場の雰囲気も大きく良くなりました。
社長だから特別という考えもありません。最終的な判断をする立場ではありますが、現場改善のアイデアは社員から積極的に出してもらっています。実際に若手社員からの提案が社内改善につながることも多く、気づきを共有できる環境づくりを大切にしています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
素直な人ですね。そして、人の足を引っ張るのではなく、一緒に成長できる人です。競争することは大切ですが、相手を蹴落とす競争ではなく、お互いに高め合う関係が理想です。
自分ができることを周囲にも伝え、みんなで成長していく。そういう考え方を持った人と一緒に働きたいと思っています。
機械メーカーへの挑戦
――今後の展望について教えてください。
現在の大きな目標は、機械メーカーになることです。以前からずっと掲げてきた目標であり、今はその実現に向けて動いています。
具体的には、粉を固める「打錠機」の開発を構想しています。既存の量産機とは異なるニーズに対応する機械を目指しており、修理やメンテナンス、部品供給まで一貫して対応できる仕組みを作りたいと考えています。
長年部品製作を行う中で、メーカーが撤退してしまい修理できなくなった機械の相談を受けることもありました。その経験から、「必要とされ続ける機械を自社で作りたい」という想いが強くなりました。
もちろん簡単な挑戦ではありません。開発には時間も資金も必要です。しかし、機械メーカーになるという目標は何年も前から持ち続けているものです。夢ではなく実現する目標として、一歩ずつ形にしていきたいと思っています。
おいしい食事とお酒でリフレッシュ
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
お酒が好きなので、おいしい食事を楽しみながら過ごすことが多いですね。特に日本酒が好きで、そうした時間が気分転換になっています。
仕事では常に新しい挑戦や課題に向き合っていますが、だからこそ、好きな食事やお酒を楽しむ時間を大切にしています。そうした時間があるからこそ、また次の挑戦に向かう活力につながっているのだと思います。