「今の自分」を肯定する一着を――Ondeが届ける人生に寄り添うウェディングドレス
合同会社Onde 代表 井上 さやか氏
合同会社Ondeは、ウェディングドレスのレンタル・オーダーを中心に、フォトウェディングや記念日の撮影サービスを展開しています。一人ひとりの希望に合わせた柔軟な提案を強みに、ドレスを通して「今の自分を肯定できる体験」を届けてきた井上氏。本記事では、創業の経緯や仕事で譲れない価値観、チームづくりへの取り組み、全国展開を見据えた今後の構想について伺いました。
一人ひとりの理想を形にする柔軟なドレス提案
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、ウェディングドレスのレンタルとオーダーを中心に、フォトサービスも展開しています。フォトウェディングのほか、結婚記念日や還暦など、人生の節目を写真に残す撮影にも対応可能です。
お客様は北陸3県の方が中心ですが、遠方から足を運んでくださるケースもあります。山形県や大分県には提携先があり、現地で試着会を開催する機会も設けています。
――他のドレスショップにはない強みはどのような点にありますか?
当社の強みは、小規模だからこそ、一人ひとりの希望に合わせてきめ細かく対応できる点です。
レンタルだけでなく、フルオーダーやサイズオーダー、部分オーダーまで幅広く扱っているため、お客様に合った方法を柔軟に提案できます。たとえば、ベースとなるドレスはレンタルで費用を抑え、その上に重ねるパーツだけをオーダーで制作することも可能です。
こだわりたい部分にだけオリジナルのデザインを取り入れるなど、レンタルとオーダーを組み合わせながら、予算と理想の両方に寄り添えることが特徴です。
――ドレスを通して、どのような体験を届けたいと考えていますか?
私が大切にしているのは、ドレスを着た方に「自分が自分として生まれてきて良かった」と感じていただくことです。
ウェディングドレスを着る年齢も、そこに至るまでの道のりも人によって異なります。だからこそ、年齢や周囲の基準にとらわれず、「今の自分が一番良い」と思える体験を届けたいです。
「今の自分だからこそ、このドレスを着て良かった」と感じてもらうことが、私たちの目指す価値だと思っています。
ドレスづくりへの情熱から始まったOndeの歩み
――事業を始め、経営の道へ進んだ経緯を教えてください。
もともと私は、ファッションの専門学校で服づくりを学び、ウェディングドレスの制作を始めました。
最初は知り合いの方を中心に、自宅へ来ていただき、ドレスを提供する形で続けていたんです。次第にお客様が増え、自宅だけでは対応が難しくなったため、店舗を構えることになりました。
その後、事業が少しずつ広がり、自然な流れで会社という形になっています。最初から経営者を目指していたわけではなく、好きなドレスづくりを続けた先に、現在の事業があります。
――現在もドレス制作には携わっているのでしょうか?
事業を始めた頃は、型紙の作成からデザイン、縫製まで、すべて自分一人で担当していました。
現在は業務委託の方にも手伝っていただいていますが、今も制作全体の2割ほどには私自身が関わっています。経営と並行しながら、ドレスを作る仕事も続けている状況です。
――経営や仕事において、譲れない軸は何ですか?
「なぜこの仕事をするのか」を忘れないことです。ウェディングドレスのお店は数多くあり、デザインや価格帯、提供する価値もそれぞれ異なります。
その中で、当社だから届けられる価値は何か、自分は何のためにこの仕事をしているのかを常に考えています。ドレスを通してお客様の人生にどのような体験を届けたいのか。その軸だけはぶらさないようにしています。
仕事の意味を共有し、お客様を想うチームづくり
――スタッフや業務委託の方と働く上で、大切にしていることを教えてください。
仕事をお願いする時は、手順だけでなく「なぜこの仕事を行うのか」まで考えてもらうことを大切にしています。たとえばドレスのサイズ直しも、単に寸法を合わせれば良いわけではありません。
そのドレスを着るお客様が、できるだけ美しく見える仕上がりにするにはどうすれば良いか。その方のために作られた一着だと感じてもらうには、どの縫い方が適しているか。作業の先にいるお客様を想像して、一つひとつの仕事に向き合ってほしいと伝えています。
――一緒に働きたいと感じるのは、どのような方ですか?
経験や技術の有無以上に、ウェディングドレスそのものが好きかどうかを重視しています。また、ドレスを着るお客様へ良いものを届けたいという気持ちも欠かせません。
Ondeのドレスや考え方を「良い」と感じているかを大切にしています。技術は後から身につけられますが、ドレスやお客様への想いは仕事の質を支える土台になります。
――現在の課題と、今後目指しているチームの形を教えてください。
この半年から1年ほどで、2名の業務委託の方へ少しずつ仕事をお願いするようになりました。
課題は、自分の中にある情報や判断基準を共有し、相手が無理なく動ける形に整えることです。お二人とも子育てをしながら在宅で働いているため、生活と仕事を両立できる依頼方法やスケジュールを、対話しながら探っています。
今後は、金沢の店舗でチーム全体を動かすリーダーのような方にも加わっていただきたいです。その方を中心にメンバーを増やし、お客様へ良いドレスを届けられる体制をつくりたいと考えています。
より多くの人へドレスを届ける全国展開の構想
――今後の事業展開について教えてください。
今後はスタッフを増やし、チームとして事業を動かせる形をつくりたいです。売上や年商の規模だけを目標にするのではなく、当社に関わる人が、自分自身のより良い人生を築くきっかけを得られる会社にしたいと考えています。
Ondeのドレスやサービスを通して、お客様がご自身の人生を前向きに捉えるきっかけも届けたいですね。その結果として、より多くの方へ事業が広がっていく形が理想です。
――全国へ商圏を広げるために、どのような取り組みを考えていますか?
現在は北陸3県を中心に、山形県や大分県の提携先とも連携しています。今後は全国各地に提携店を増やし、現地で試着会を開ける場所を広げていきたいです。
私一人で動ける範囲には限界があります。だからこそ、3年以内を目安にチームを整え、これまで関われなかった地域のお客様にもドレスを届けられる形をつくりたいと考えています。商圏を広げること自体ではなく、Ondeのドレスを必要としてくださる方との接点を増やすことが目標です。
――仕事を離れた時間は、どのようにリフレッシュしていますか?
夫と愛犬と一緒に過ごす時間が、私にとってのリフレッシュです。3人で散歩をしたり、夫が淹れてくれたコーヒーを飲みながらのんびりしたりしています。
特別なことをするわけではありませんが、ただ一緒に穏やかに過ごす時間がとても貴重です。結婚するまでは仕事だけに向き合うような生活だったからこそ、今は自分の人生と仕事の充実を、どちらも大切にしたいと感じています。