現場に寄り添うカスタマーサクセスで企業を支える――株式会社SUNCS 中村風夏氏が描く組織と挑戦
株式会社SUNCS 代表取締役 中村 風夏氏
株式会社SUNCSは、「カスタマーサクセス」のコンサルティングと業務支援を通じ、現場に入り込みながら企業の成長を支える仕組みづくりに取り組んでいます。本記事では、代表取締役の中村風夏氏に、会社設立の経緯や事業への想い、経営観、今後の展望について伺いました。
目次
現場に入り込むからこそ生まれる、カスタマーサクセス
――株式会社SUNCSを立ち上げた経緯を教えてください。
2023年に株式会社SUNCSを立ち上げました。これまで営業やカスタマーサクセスの仕事に携わるなかで、カスタマーサクセスには大きな可能性がある一方、「サポート部門」として捉えられ、本来の価値が十分に発揮されていないと感じていました。
だからこそ、「カスタマーサクセス」を通じて企業がより大きな成果を生み出せるよう、本格的に支援したい。その想いが会社設立の原動力になりました。
――現在の事業の特徴や、他社にはない強みを教えてください。
現在は、「カスタマーサクセス」のコンサルティングと業務支援を行っています。戦略を描くだけではなく、お客様先の一員として現場に入り、一緒に仕組みをつくることを大切にしています。
何より重視しているのは、お客様を深く理解した上でプロジェクトを始めることです。一般的にはプロジェクト開始後に事業内容や現状を理解をするところから始まりますが、私たちは事前にお客様の業界やサービス、現状を深く理解し、お客様と同じ目線で話せる状態をつくってから支援に入ります。
これまで、コンサルティングに携わるなかで、立派な戦略を立てても現場で実践されず、机上の空論になってしまうケースを見てきました。そうした経験があるからこそ、「現場で実際に動くこと」を前提とした支援にこだわっています。
「限界を決めない」――挑戦を支える3つの価値観
――経営者になられたきっかけを教えてください。
もともと「経営者になろう」と強く意識していたわけではありません。会社を立ち上げる前に個人事業主として活動していた時期があり、その延長線上で法人を設立することになりました。ただ、結果として、法人化したことによって個人事業主で一人だった時にはできなかったことも組織化する事でよりご支援できる領域が広がったと感じています。
自社プロダクトを持たないからこそ、自分自身がお客様に提供する価値そのものです。そのため、学び続け、自分を成長させることは欠かせません。法人化したことで、お客様から寄せられる期待や責任の大きさも変わりました。その期待に応えられる存在でありたいという想いは、会社設立後さらに強くなりました。
――経営判断の軸になっている価値観を教えてください。
会社設立時に、3つのバリューを定めました。「Accept no limits(限界を決めない)」「Be a performer(まずは自分が誰よりも体現すること)」「Choose spark over safety(正しさよりも、面白さを)」の3つを「SUNCSのABC」と呼んでいます。
1つ目は、自分で限界を決めないことです。基本的に、人が想像できることは全て実現できると思っています。自分の中に答えがなくても、まずはやってみる、多少怖かったとしてもチャレンジする姿勢、そのなかで道を切り拓く姿勢を大切にしています。
2つ目は、言葉より行動を優先すること。お客様にも社内にも、何かを求める前に、まず自分が率先して動くことを心掛けています。
3つ目は、正しさだけではなく、楽しさや面白さを感じられる挑戦を選ぶことです。「カスタマーサクセス」は業界やサービスによって正解が異なるからこそ、新しい環境や新しい業界にも前向きに飛び込み、変化を楽しみながら価値を生み出していく、そんな姿勢を大切にしています。
オープンな対話が育む、強い組織づくり
――社内のコミュニケーションで特に大切にしていることを教えてください。
組織として本格的に動き始めたのは最近で、初めて3名を採用しました。現在は親会社の協力も得ながら、少人数で事業を進めています。
特に大切にしているのが、テキストコミュニケーションです。リモートワークやチャットが当たり前になった今、直接話すと柔らかい雰囲気の人でも文章だけでは冷たく受け取られることがあります。だからこそ、Slackなどでは普段以上に感情を伝えることを意識し、絵文字やスタンプも積極的に活用し、文章でも自分の感情や思いが伝わるようにすることを心がけています。
採用した3名は全員アメリカ人で、社内コミュニケーションは基本的に英語です。率直な対話と情報共有を徹底し、お互いの考えが見える組織を目指しています。
――採用や育成で「一緒に働きたい」と感じるのはどのような人ですか。
今回の採用では、スキルはほとんど重視しませんでした。それ以上に大切にしたのは、コミュニケーションを大切にできることと、お客様のために本気で頑張れる方かどうかです。
私たちは、お客様先の一員として支援しています。だからこそ、お客様以上にお客様のことを考えられる姿勢がなければ、期待を超える価値は生み出せないと思っています。コミュニケーション能力だけを求めているわけではありません。苦手であっても相手と向き合おうとする姿勢や、人のために本気になれる方と、一緒に働きたいです。
日本と世界をつなぐ、新たなカスタマーサクセスへの挑戦
――今後取り組んでいきたい挑戦や展望について教えてください。
現在は海外展開を進めています。その一環として、今回アメリカ人のメンバーを採用しました。
「カスタマーサクセス」は認知が広がりつつある一方で、「SaaS」業界のものという印象を持たれることもあります。ただ、私は業界を問わず、すべての企業に必要な考え方だと思っています。
これからは日本市場だけで成長を続けていくことが難しくなる業界も増えていくはずです。そうしたなかで、日本市場へ参入する海外企業に対し、日本の商習慣やお客様の期待値を踏まえた支援には大きな価値があると感じています。営業やマーケティングだけでは補えない部分を支え、日本市場への展開を支える存在になっていきたいです。
――現在感じている課題と、その課題にどのように取り組んでいますか。
設立から約2年間は、お客様を最優先にしてきたため、自社の営業やマーケティング、組織づくりに十分な時間を割くことができませんでした。お客様が増えるほど、自社の土台づくりに手が回らない状況が続いていました。
ただ、新たなメンバーが加わったことで、ようやく会社づくりにも取り組めるようになりました。これまでお客様先で進めてきた仕組み化を、これからは自社にも落とし込んでいくことが大きなテーマです。自分が担ってきた仕事やノウハウをメンバーへ共有し、組織として成長できる体制を整えていきたいです。
環境を変えながら、自分らしく仕事と向き合う
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
正直なところ、個人事業主として独立してからは、「休み」という感覚はあまりありません。仕事そのものが好きで、趣味のような感覚でもあるので、仕事をしている時間自体を楽しんでいます。
気分転換は、仕事をする環境を変えることです。カフェへ行ったり、自然のある場所へ足を運んだりと、場所を変えることで気持ちを切り替えています。海も山もどちらも好きですが、静かすぎる場所よりも、ある程度人がいる場所のほうが集中できます。
環境を変えて仕事と向き合う時間が、自然なリフレッシュになっています。今のスタイルを大切にしながら、これからも一つひとつの仕事に真摯に向き合っていきたいです。