年を重ねることが楽しみになる社会へ――遠距離介護の経験から生まれた挑戦
株式会社We Care Japan 代表取締役 増野 佳範氏
高齢者やそのご家族が安心して暮らせる環境づくりを支援する株式会社We Care Japan。同社は老人ホームの紹介を中心に、不動産売却や相続などの相談まで幅広く対応し、一人ひとりに寄り添ったサービスを提供しています。その原点にあるのは、代表・増野佳範氏自身が経験した遠距離介護でした。「年を重ねる楽しみを」という理念に込めた想いや、組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
関東最大級のネットワークで、高齢者とご家族を支える
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、高齢者の方やそのご家族に向けて、老人ホームのご紹介を行っています。現在は9,000を超える提携施設があり、関東最大級のネットワークとなっています。
その実績をもとに、医療機関や在宅のケアマネージャーの皆さまからもご支援をいただきながら、東京・千葉・神奈川・埼玉を中心に事業を展開しています。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
老人ホームをご紹介するだけではなく、ご自宅の売却や不動産、相続に関するご相談までワンストップで対応していることが強みです。
施設選びだけで終わるのではなく、その後に必要となるさまざまな課題についてもサポートしています。
遠距離介護の経験が「年を重ねる楽しみを」という理念につながった
――企業理念にはどのような想いが込められているのでしょうか。
この事業を始めたきっかけは、広島に住んでいた父が倒れたことでした。
当時、私は東京で仕事をしており、東京と広島を行き来しながら遠距離介護を経験しました。その中で医療や介護福祉の現場に触れ、年を重ねることがマイナス(辛い経験として)に捉えられてしまう場面を目の当たりにしたんです。
だからこそ、年齢を重ねること自体が幸せであり、楽しみだと感じられる社会をつくりたい。その想いが「年を重ねる楽しみを」という理念につながっています。
――起業された経緯についても教えてください。
大学卒業後は、マカフィーで法人営業やマーケティングを経験し、その後は海外進出支援を行うスタートアップで事業責任者を務めていました。ただ、父の出来事をきっかけに介護や医療の現場を知り、この分野で事業を立ち上げようと決意しました。
創業当時は32歳ほどで、同世代で相談できる経営者も見つけられませんでした。だからこそ、自分自身で挑戦するしかないと思い、会社を立ち上げたんです。
理念を軸にした経営と、人を大切にする組織づくり
――経営判断で大切にしていることは何でしょうか。
すべての判断基準は「年を重ねる楽しみを」という理念です。
老人ホームをご紹介する仕事をしていますが、ご本人やご家族と面談した結果、ご自宅で暮らし続けるほうが良い場合や、別の選択肢が適している場合もあります。その際は無理に施設をご案内するのではなく、必要に応じて専門家につなぎ、ご本人の意思や希望に沿ったサポートを行っています。
会社としても、理念や私自身の価値観から外れた意思決定はしないようにしています。事業内容も採用も、すべてこのビジョンを中心に考えています。
――社内コミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
現在のメンバーは25名(業務委託含め)がいます。
組織運営では二つのことを重視しています。一つは、ルールや役割を明確にすることです。何をすれば評価され、給与につながるのかを明文化し、自分の役割を理解したうえで働ける環境を整えています。
もう一つは、人間らしいコミュニケーションです。制度だけで人は動くものではありません。定期的に合宿を行い、お互いのこれまでの人生や今後の目標について語り合う時間を設けています。相手を深く理解したうえで仕事に向き合うことが、より良い組織づくりにつながると考えています。
――どのような方と一緒に働きたいですか。
職種によって求めるスキルは異なりますが、共通しているのは「年を重ねる楽しみを」というビジョンに共感していただけることです。その想いを共有し、一緒に事業をつくっていける方と働きたいですね。
健康寿命を延ばし、シニアが活躍できる社会を目指す
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
現在は新しい事業について社内で検討を進めています。これまでご相談いただく中で見えてきた課題には、不動産や相続だけでなく、健康寿命や孤独といったテーマがあります。
特に健康寿命を延ばすことは大きなテーマです。アクティブシニア世代に向けて、リスキリングを通じて新たに働く力を身につける機会や、コミュニティづくりにつながる事業に取り組んでいます。
特に男性は退職後に孤立しやすいケースもあります。そうした方々が新しい仲間と出会い、生きがいや役割を見つけられるような支援をしていきたいと考えています。
――現在の課題についても教えてください。
一番大きな課題は、経営者である私自身の視点だと思っています。会社の規模的にも現場に意識が向きやすいのですが、未来を見据えた視点を持ち続け、それをメンバーへ共有していくことが重要です。
また、採用も大きなテーマです。人が担う仕事とAIが担う仕事を整理しながら、採用活動にも力を入れています。メンバーへの投資は会社にとって何より大切であり、成長した姿や待遇が向上したという報告を聞くことが、経営者として一番うれしい瞬間ですね。
家族との時間と筋力づくりが、経営の原動力
――最後に、休日はどのようにリフレッシュされていますか。
一番の癒やしは家族と過ごす時間です。それ以外では筋トレですね。ゴールドジムに通って体を鍛えています。
経営も育児も体力勝負です。体をしっかり整えることが、仕事にも良い影響を与えていると感じています。
年を重ねることを前向きに楽しめる社会を実現するために、これからも理念を軸に、一人ひとりに寄り添う事業を積み重ねていきたいと思います。