食を通して、今日必要な人に安心を届ける――株式会社AquaFoliaが描く地域の居場所づくり
株式会社AquaFolia 代表取締役 平谷 佐智代氏
子どもたちが安心して食事ができる場所を毎日つくりたい――そんな想いから誕生した株式会社AquaFolia。オーガニックや無添加食材にこだわったカフェを運営しながら、「フードリボンプロジェクト」を活用した取り組みを行っています。代表の平谷氏は、鍼灸師として長年医療や健康に携わってきた経験から、「病気になる前の予防」の大切さを実感し、食を通じて健康を支える場づくりを目指してきました。本記事では、会社設立の背景や経営への想い、今後の展望について伺いました。
目次
子どもたちが毎日安心して食事ができる場所を目指して
――現在の事業内容について教えてください。
株式会社AquaFoliaは、子ども食堂を実現するために立ち上げた会社です。当初はカフェとカルチャースクールを運営し、その利益をもとに毎日子ども食堂を開くことを目標としていました。
現在は形を少し変え、「フードリボンプロジェクト」を活用しています。
お客様が300円でリボンを購入し、そのリボンを利用して子どもたちが食事をできる仕組みです。そのため、週に決まった日だけではなく、子どもが必要なときに食事ができる環境づくりへと切り替えました。
プロジェクトの目的に賛同されたお客様が300円でリボンを購入し、そのリボンが食材費となり、子供たちが食事ができる仕組みです。月1回や週1回の開催日が決まっている子ども食堂と違って、子供が必要なタイミングで食事ができるという運営形態に切り替えました。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
カフェではオーガニックや無添加食材にこだわり、安心・安全な食事を提供しています。来店されるお客様はもちろん、リボンを利用して食事をする子どもたちにも心身ともに健康になっていただきたいという想いがあるんです。
単に食事を提供するだけではなく、健康につながる食材を選んでいることが、他の団体とは異なる特徴だと考えています。
病気になる前に支えたい――食への想いが会社設立につながった
――理念やビジョンにはどのような想いが込められていますか。
会社を立ち上げた頃は、物価の高騰や物流コストの上昇などもあり、飲食店を続けることへの不安がありました。「やめた方がいいのでは」という声をいただいたこともあります。
それでも、先の不安ばかりを考えていたら、本当に必要としている方へ届けることはできません。半分は社会貢献のような想いで始めた事業でもあったので、「今できることをやろう」「今日必要な人に届けよう」と考えました。
もしうまくいかなければ、その時に考えればいい。だからこそ「今この瞬間を大切にする」という考えが、一番大切な理念になっています。
――会社を立ち上げた経緯を教えてください。
私はもともと鍼灸師で、整骨院に13年間勤めた後、リハビリ特化型デイサービスの立ち上げにも携わり、責任者を務めていました。
その中で、「人はなぜ病気になるのか」ということに強い関心を持つようになったんです。さまざまな病気や介護が必要な方と接する中で、治療だけではなく、病気になる前の予防が大切だと感じるようになりました。
その後、サロンを立ち上げ、健康をサポートする仕事も続けてきましたが、学びを深めるほど「人の身体は食べたものでつくられる」という原点に戻ったんですね。
食べ方や食材について伝える活動だけでは届く人数に限りがあります。それなら実際に食べられる場所をつくろうと考え、カフェを始めました。
また、これまで関わってきた患者さんの中には、若くして亡くなられた方もいらっしゃいました。親御さんが不在の家庭や、仕事で忙しい家庭でも、おうちで待っているお子様に「今日はあそこで食べておいで」と言ってもらえる場所をつくりたい。その想いも会社設立の大きな理由になっています。
一人ひとりの個性を生かし、チームで支え合う組織づくり
――社内で大切にしていることを教えてください。
スタッフはそれぞれ個性が豊かなので、自由に意見を言える雰囲気を大切にしています。
得意なことも不得意なことも人それぞれ違います。まずは自分が得意なことを最大限頑張ってほしい。そして、苦手なことも少しずつ挑戦してほしいと伝えています。
私は、一人ひとりの個性を見ることが得意だと思っています。できないことを責めるのではなく、「この人には何ができるだろう」と考え、その強みを周りにも共有しています。
仕事を奪うのではなく、お互いにフォローし合うことが大切です。最終的なゴールは、お客様に喜んで帰っていただくこと。そのために自然と助け合えるチームであってほしいと思っています。
――一緒に働きたいと思う人物像はありますか。
大切にしているものが同じ人ですね。
私は食べることが本当に好きですし、人に食事を提供することに喜びを感じています。食べたもので人が元気になるという想いを共有できる方と一緒に働けたら、とても嬉しいです。
地域へ想いを広げ、食を通じた居場所を増やしていきたい
――今後の展望について教えてください。
最近、「近くにもこんなお店があったらいいのに」と言っていただくことが増えています。
ただ、店舗を増やすことは簡単ではありません。そのため、自分が経営するだけではなく、これまでの経験や失敗も含めて、「こういうやり方なら続けやすいですよ」と伝えられるようなサポートもしていきたいと思っています。
今の課題はカフェの認知度を高めることです。お店を知っていただくことが、私の想いや活動を知っていただくことにもつながると考えています。
現在は月に1回、夜7時まで営業する日を設けています。保育園帰りの親子がそのまま立ち寄り、ご飯を食べて帰れることで、お母さんたちが少しでもほっとできる時間になれば嬉しいですね。
まずはその取り組みを毎週実施できるようにし、その先には毎日夜まで営業できる場所を目指しています。
自分が心からやりたいと思えることを選び続ける
――経営で譲れない価値観はありますか。
私が大切にしているのは、「した方がいいこと」ではなく、「自分が本当にやりたいと思うこと」を選ぶことです。
周囲から見れば無難な選択もあるかもしれません。でも、自分が心から良いと思えること、やりたいと思えることだけを積み重ねていきたいと考えています。
――最後に、リフレッシュ方法を教えてください。
決まった休日はあまり設けていませんが、お誘いがあれば出かけたり、勉強会やお話し会に参加したりすることが好きです。読書も好きなので、夜に本を読んで過ごすこともよくありますね。
これからも「今この瞬間を大切に」という想いを胸に、食を通じて地域に安心できる居場所を届け続けていきたいと思います。