地域の声を伝え、支え合いを育む――情報誌から広がる石狩への貢献

シャローム 代表 釣本 峰雄氏

シャロームは、石狩市花川を中心に、地域の身近な生活情報を届ける情報誌を発行しています。活動は、途中の休止期間を挟みながらも25年以上にわたって続いてきました。釣本峰雄氏は、情報誌の発行に加え、読み聞かせや子ども食堂、フードバンクなどの活動にも携わってきました。現在は、情報誌を続けながら、「絵本の家」や地域の歴史を生かした観光の構想にも取り組んでいます。活動を始めた経緯や地域への思い、これから形にしたいことについて伺いました。

情報誌から広がる地域の支え合い

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

現在は、地域情報誌の発行と、昨年から始めた「絵本の家」に関する活動を行っています。情報誌では、石狩市の花川を中心に、地域で暮らす方々の身近な生活情報を紹介しています。読者から寄せられる質問や、売りたいもの、買いたいものなどの情報、イベントの案内、地域で活動するサークルの紹介などが主な内容です。

情報誌は西暦2000年に始めました。途中に少しブランクはありますが、26年目になります。現在は規模を抑え、自分の小遣いの範囲でも発行できるような形で続けています。

――これまでには、どのような事業へ活動を広げてきたのでしょうか。

情報誌の発行はNPOにふさわしい事業ではないかと案内を受け、10人以上の参加者を集めてNPO法人を立ち上げました。それまで「シャローム」が発行していた情報誌を、途中から「NPOシャローム」が発行する形に切り替えています。

その後、地域の福祉にも役立つ活動として、困っている方へ食品を届けるフードバンクを始めました。2021年6月に発足し、食品を集めて施設などへ届ける活動を行ってきました。現在、NPOとフードバンク事業は地元の米店へ引き継いでおり、私は情報誌の発行を続けています。

一方で、以前支援していた方々が食品を受け取りにくくなったこともあり、必要な人へ直接配るフードパントリーを、無理のない範囲で行えないか検討しています。

地域に応える情報誌への挑戦

――地域情報誌を始めたきっかけを教えてください。

もともとは印刷の仕事をしていました。石狩市の市政化をきっかけに地元で新聞社が設立され、そこで働くようになりました。新聞社では、A4判の企画物を発行したことがあります。しかし、一度発行したところ予想以上に費用がかかり、社長から継続は難しいと言われました。それならば、その部門を自分が引き継ごうと考え、独立して情報誌を始めました。

印刷は設備投資が必要で、個人で続けるには難しいと感じていました。一方、地域情報誌であれば、地域に住む方々の需要に直接応えることができます。企業から注文を受けて印刷物を作る仕事よりも、一般の方々と密に結びつく仕事のほうが、地域に定着しやすく、やりがいも感じられました。

――地域貢献を大切にするようになった背景には、何があったのでしょうか。

二十代の頃から川崎の教会へ通っていました。そこの牧師がボランティアに熱心な方で、その活動を手伝う中で、ボランティアの大切さを知りました。北海道へ戻った後も何らかの形で地域に関わりたいと考え、石狩市の社会福祉協議会へ個人ボランティアとして登録しました。

そこから読み聞かせや、困っている方への慰問に携わり、子ども食堂も手伝うようになりました。子ども食堂では食材の確保が難しかったため、フードバンクの仕組みを知り、北海道のフードバンクの団体へ加盟しました。17年間、地元の石狩を離れていたこともあり、戻ってきた地域へ少しでも貢献したいという気持ちがあります。

継続の苦労を越えて地域と歩む

――活動はどのような体制で運営してきましたか。

独立後、情報誌の発行は基本的に一人で続けてきました。NPOを立ち上げた際には参加者を集めましたが、フードバンクの活動が忙しくなり、引き継ぎを希望する方が現れたため、NPOとフードバンク事業を譲りました。情報誌も一緒に引き継いでほしいと考えていましたが、利益を出しにくい事業であるため、その部門は残りました。

情報誌は、始めることよりも続けることが難しい事業です。地域の方々とのつながりはできましたが、企業との関係や広告スポンサーを十分に築けず、経営面では苦労しました。情報誌には経費も人件費もかかります。収益事業についての考えが甘かったと感じています。

――地域の方々とは、どのような関係を築いていますか。

さまざまなサークルや活動に参加してきたことで、地域の方々とのつながりは広がりました。読み聞かせの活動は15、6年ほど続けており、子どもだけでなく、高齢者への慰問にも出向いています。相手に合わせて、漫談や講談、落語などを行うこともあります。

石狩の図書館では、7年前から「三浦綾子読書会」を続けています。エッセイの会にも二つ所属し、以前は俳句や短歌の会にも30年近く参加していましたが、今も盲目の俳句の先生を手伝っています。また石狩市民カレッジや国際飢餓対策機構も手伝っています。活動を通して人と会い、話すことが、地域との結びつきを深める機会になっています。

絵本の家から地域の輪を広げる

――今後、形にしていきたいことを教えてください。

一つの目安として、80歳までのあと3年を考えています。その間に、情報誌の発行を続けながら、「絵本の家」と堅穴住居の構想を、ある程度軌道に乗せたいです。「絵本の家」を地域へ案内する際にも、情報誌という媒体があると役立ちます。

石狩周辺には、かつて縄文人が暮らしていた歴史があります。堅穴住居の模型を作り、観光客を呼ぶきっかけにしたいと考えています。以前、地元のバス会社から依頼を受けて「石狩ツアー」を企画したところ、非常に好評でした。石狩には観光の目玉が少ないため、札幌の近くに縄文人が暮らしていた場所があることを発信し、観光へつなげたいです。

――仕事を離れた時間は、どのように過ごしていますか。

車の運転が好きで、家内を誘ってドライブへ出かけます。道北にある知人の家へ行ったり、北海道の岬を順番に巡ったりしてきました。

また、もっと多くの方に聖書を読んで欲しいので、学校や病院、ホテルなどへ聖書を届ける「ギデオン協会」に20年前から参加しています。現在は北海道全体の責任者を務め、札幌近郊での活動に加え、帯広、室蘭、中標津、釧路など、地方の支部の応援にも出向いています。

――最後に、読者へ伝えたいことはありますか。

地域情報誌を成功させている方がいれば、続けるための工夫やコツを教えていただきたいです。採算を取りにくい事業は、後継者を見つけることも簡単ではありません。それでも、地域の情報を届ける役割は必要だと考えています。

現在は、YouTubeやInstagram、ChatGPT、Geminiなど、新しい媒体や技術についても研究しています。情報誌を立て直し、次の人へつなげていくために、力を貸してくれる方と出会えればと思っています。

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