技術を知り、未来を見極める――AIで広げる新たな可能性
株式会社ルーティア 代表取締役 前嶋 礼央氏
株式会社ルーティアは、システムコンサルティングの経験を生かしながら、現在はAI導入支援やFDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)に関する事業、コンテンツ生成システムの開発などに取り組んでいます。エンジニアとしてキャリアを始め、その後コンサルティングまで領域を広げてきた前嶋氏。新しい技術をいち早く試し、その可能性を見極めながら事業へとつなげています。これまでの歩みや仕事で大切にしている考え、AIによって描く今後の展望について伺いました。
AIで現場の課題を形にする
――現在の事業内容について教えてください。
これまではシステムコンサルティングを中心に取り組んできましたが、最近はAIの活用支援にも力を入れています。企業がAIを導入する際のコンサルティングのほか、FDE(フォワード・デプロイ・ド・エンジニア)と呼ばれる人材に関する事業や教育も行っています。
FDEは、コンサルタントとエンジニア、両方の能力を持ち、顧客の現場に入りながら要望をシステムへ落とし込んでいく人材です。プログラミングやシステム構築だけではなく、顧客側の課題を理解する力も求められます。そのため、コンサルタント向けにシステム開発の基礎やデータモデリングなどを教え、FDEとして必要なスキルを身につけてもらう教育にも取り組んでいます。
――現在、特に力を入れているものはありますか。
「nanobird.ai」というコンテンツ生成システムです。タイトルを入力すると記事を自動で作成し、差し込む図表や音声を生成して、動画化までできる仕組みです。
もともとは記事をつくるところから始まりました。そこに図表を加え、音声をつけ、「動画にしたらもっと見やすくなるのではないか」とアイデアが広がっていきました。現在はこのシステムを使ってYouTubeチャンネルも運営しており、企業のオウンドメディアなどで活用できる仕組みとして力を入れています。
二つの文化で培った経営感覚
――AI事業へ力を入れるようになったきっかけを教えてください。
1年ほど前に、アンソロピックよりOpus 4.6がリリースされて開発者の間で大きな話題になりました。私もすぐに実際に触ってみたところ、それまでより技術が何段階も進歩したように感じたんです。「これはもう、こちらに振り切るしかない」と思いました。
そこからさまざまなことを試していく中で、現在のサービスも生まれました。最初から今の形を目指していたわけではありません。実際に技術へ触れながら、「こうしたらもっと良くなるのではないか」と考え続けた結果、少しずつ形になっていきました。
――これまで、どのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。
3社を経て独立しました。最初の会社では、大和証券系のシステムに携わるシステムエンジニアとして働きました。その後、2社目ではライブドアに入り、まだ社員が60〜70人ほどだった時期から仕事をしています。
当時は一つのプロダクトを任せてもらい、海外展開も経験しました。大きな企業では、失敗しないために手続きを踏みながら進める考え方を学び、一方でライブドアでは、できる人がスピード感を持って物事を進めていく文化を経験しました。その両方を知ることができたのは非常に大きかったと思います。
テクノロジーで人を豊かに
――他社にはない強みは、どのような部分だと考えていますか。
新しいことへ取り組むスピードは、一つの強みだと思っています。私はもともとエンジニアで、その後、システムコンサルティングの領域へ進んできました。そのため、技術とビジネスの両方を見ることができます。
AIについても、単に流行しているものを取り入れるだけではありません。技術がどのような歴史をたどって現在に至ったのか、仕組みまで理解したうえで考えることを大切にしています。そうすることで、「1年後、2年後にはどこまでできそうか」「今ならどこまで実現できるか」「実現するにはどれくらいの費用が必要か」といった見通しを立てやすくなります。現実的な落とし所を早い段階で出せることは、自分たちの強みだと思っています。
――仕事をする上で、大切にしている考えを教えてください。
テクノロジーによって、人を楽しくしたり、知恵や理解を深めたり、生活や仕事を便利にしたりすることを大切にしています。
ITの世界には、利益を得るためのさまざまな方法があります。ただ、単に儲けることだけを追いかけるのではなく、技術によって人が便利になったり、物事をより深く理解できたりすることへの関心の方が強いですね。
一緒に働く人については、自分なりの軸を持っている人とはうまくいくことが多いと感じています。
AIから教育へ、次の可能性を広げる
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
一つは、FDEの事業会社を立ち上げようとしている後輩の事業を手伝っていくことです。
もう一つは、現在のコンテンツ生成システムをさらに発展させることです。記事や動画を生成するだけでなく、企業内の教育や管理に使うコンテンツをつくり、提供していくことにも取り組みたいと考えています。
現在はクラウドサービスを利用していますが、今後はローカルで動かせる部分を増やしていきたいと考えており、そのための準備も進めています。
ワインと食を楽しみ、仕事から離れる時間を
――休日はどのように過ごしていますか。
趣味と呼べるものでは、ワインが一番ですね。週末にはイベントへ行くことも多く、ワインの生産者が来日するイベントへ足を運び、直接交流することもあります。その土地ならではのワインと、その土地の料理を一緒に楽しむのが好きです。例えば、シードルとガレットのように、同じ地域で生まれたものを組み合わせて楽しむことがあります。
旅行ではバリ島へ行くこともあります。そうした時間を楽しみながらリフレッシュしています。
新しい技術に触れると、そこから次々とアイデアが生まれてきます。AIやコンテンツ生成の可能性をさらに広げながら、これからも新しい仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。