リユースをもっと身近に、ものが循環する仕組みを広げる株式会社DAINASの挑戦
株式会社DAINAS 代表取締役 稲田 泰生氏
株式会社DAINASは、出張買取や古物市場での販売を起点に、インターネット販売、実店舗、家電レンタル、24時間営業の無人リサイクルショップへと事業を広げてきました。根底にあるのは、リユースをより多くの人へ届け、ものを次の使い手へつなぐ循環をつくりたいという思いです。事業を始めた経緯や経営で大切にしている価値観、組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
出張買取から無人店舗まで、リユースの届け方を広げる
――現在の事業内容について教えてください。
当社の原点は、私が個人事業として始めたリユース事業です。出張買取をベースに、全国にある古物市場を通じてBtoBで販売していました。この形を7年ほど続けるなかで、少しずつ小売に興味を持つようになったのです。
そこで、まずヤフオクやメルカリなどを使ったインターネット販売を始めました。取り組むなかで、リユース品は一般のお客様に直接手に取っていただくほうが喜んでもらえると実感し、実店舗の運営にもつながったのです。
現在はBtoC向けの小売を中心に、実店舗での販売に加えて家電レンタルも行っており、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジの3点を月額4,200円で提供しています。家電レンタルは、小田急電鉄さんとの業務提携による小田急暮らしサポートでもサービスを提供しています。
また、2025年1月には2店舗目として、24時間営業の無人リサイクルショップを開きました。値札のQRコードを読み取るとオンラインショップに進み、決済後はそのまま商品を持ち帰ることも、配送を予約することもできます。
――企業として大切にしている理念を教えてください。
当社は、もっとリユースというものを多くの方に届けたいと考えています。また、サーキュラーエコノミーと呼ばれる循環型社会のなかで、私たちがものを次の方へ渡す架け橋になれればという思いがあります。
一般のお客様から買い取ったり、業者間で仕入れた商品を、必要とする次の方へ適切に繋いでいきたいと考えています。その役割を担いながら、リユースを広げていくことが当社の目指す方向です。
「自分でもできそうだ」という感覚から始まった経営の道
――経営の道に進んだきっかけを教えてください。
私は、最初から強い独立志向があったわけではありません。大学卒業後、最初に勤めた企業を1日で辞め、その後、学生時代から知り合いだった出張買取店で1年半ほどアルバイトをしました。
そこで仕事を経験するなかで、「これは自分でもチャレンジできそうだし、やってみよう」と思ったことがきっかけです。その後は、個人事業として7年ほど続けました。
法人化を考えるきっかけになったのは、家電レンタルでした。冷蔵庫や洗濯機は日々仕入れがある一方、古物市場では高く売れる時期が限られています。冬場には何百台もの在庫を抱えることもあり、それらの在庫をレンタルという形で活用できないかと考えたのです。
ただ、個人の名前で家電をレンタルすることには、お客様も不安を感じるだろうと思いました。そこで、個人ではなく法人としてレンタルを提供しようと考えたのが、法人化の直接のきっかけです。
――経営判断で大切にしていることは何ですか。
私は、お客様、従業員、当社の収益、社会という4つが幸せになれることを考えています。そのなかでも、事業を続けていく上では従業員を大事にしたいという思いがあります。
また、社内外を問わず、すべてに思いやりを持つことも大切にしています。人も商品も、丁寧に思いやりを持って接することを常に社内で共有しています。
この4つが幸せになれることを主軸とし、リユースを通じて循環型社会の実現を目指し、会社の成長へと繋げていきたいと考えております。
思いやりと感謝を、日々のコミュニケーションに表す
――現在の組織について教えてください。
当社は現在、全員で9人です。社員3名を中心に、店舗や出張部門に分かれております。まだまだ小さな会社であるので、全体的にマルチに業務を遂行してもらっています。
少数であるため、すべてのスタッフとしっかりコミュニケーションが取ることができます。そのためそれぞれが相手に寄り添った言葉を返したり、一言付け加えたりすることを大切にしているところを日々感じます。
「ありがとうございます」という言葉も、社内ではよく飛び交っていると思います。そうした日々のやり取りを大事にしています。
――経営する上で、譲れない考えはありますか。
私は、感謝だけは絶対に忘れてはいけないと思っています。店舗等でご購入頂くお客様に対しても、商品を買い取らせていただくお客様に対しても、従業員に対しても同じです。
利益を追求していく上では、「当たり前」となってしまい、感謝することを忘れてしまいがちだと思います。だからこそ、そこだけは常に忘れないようにしています。
介護施設との連携で、新たなリユースの循環をつくる
――今後、挑戦していきたいことを教えてください。
当社は、リユースの可能性をさまざまな方法で追求していきたいと考えています。無人店の横展開や店舗販売も含め、リユース品がより循環していく形をつくっていきたいです。そのなかでも、できる限り小売にはしっかりこだわっていきたいという思いがあります。
最近、少しずつ始めているのが、介護施設とリユースの連携です。介護施設に入居される方へリユース品を提供するサービスを、今後は施設と連携しながら広げていきたいと考えています。
――介護施設との取り組みを、どのように発展させたいですか。
私は、介護施設に入居される方へリユース品を提供し、その方が退去したり別の施設へ移ったりする際には、当社が商品を引き取る形を考えています。そこで引き取ったものを、また次の方へつないでいく循環の流れをつくっていきたいです。
一方で、取り組みが広がれば、在庫管理や商品の仕入れなども課題になります。在庫や顧客を含め、さまざまな面で課題が出てくるという認識です。
人材育成も常に必要な投資だと考えています。介護施設との接点づくりや施設向けの営業についても、さらに投資が必要だという認識です。
仕事と休みの境目なく、すべてがリフレッシュ
――リフレッシュするときは、どのように過ごしていますか。
私は、子どもと遊んだり、マッサージに行ったりすることがあります。ただ、もともと仕事をしていること自体が好きなので、ずっと仕事をしてしまうこともあるのです。
仕事と休みの境目が、自分でもわからなくなることがあります。それでも、私にとっては基本的にどの時間もリフレッシュです。
――尊敬している人について教えてください。
私はよく、一番尊敬できるのは「すべての母親」と話しています。家事や育児をしながら仕事をしている方は、本当にすごい存在です。
育児と仕事の両方をしっかりがんばることは簡単ではありません。朝から晩まで動くバイタリティも必要ですし、仕事をして家に帰れば、今度は家のことがあります。
私は、そうした方々をとても尊敬しています。だからこそ、そういう方が働きやすい環境や、リユース品を使いやすく、手に取りやすい環境もつくっていきたいです。