高校生が自由に野球を続けられる環境を全国へ――Sproutが描く「居場所」の未来
合同会社Sprout 代表 鈴木 優輔氏
合同会社Sproutは、野球チーム【DBC柏】【DBC名古屋】の運営を軸に、野球用品ブランド【DAEDAL.】の運営・販売や施設管理、SNS運用代行やショート動画制作など、複数の事業に取り組んでいる企業です。さまざまな事情から野球ができない高校生のために、「野球を続けられる居場所をつくりたい」という想いで事業を展開しています。本記事では、代表の鈴木優輔氏に、事業の内容や経営判断で大切にしていること、全国展開への展望などについて伺いました。
野球チームを軸に広がる事業
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、野球チームの運営を中心に、野球用品ブランドの運営や野球施設の管理、SNS運用代行、ショート動画制作事業などを行っています。
野球用品ブランドでは、グローブやユニフォーム、バッティンググローブなどを扱っています。実際にチームの選手たちに道具を使用してもらい、その様子をSNSで発信しながら、オンラインと対面の両方で販売するスタイルです。
SNSについては、自分たちの野球チームのアカウントを運用してきた経験を生かし、ほかのアカウントの運営にも携わるようになりました。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
事業そのものに独自性があることです。同じような取り組みをしている競合がほとんどおらず、新たに競合をつくることも難しい仕組みだと考えています。
原点は高校生のときに始めた野球チーム
――会社を立ち上げた経緯を教えてください。
野球をしたくてもできない高校生が、野球を続けられる環境をつくりたいと考えたことが、会社設立のきっかけです。
高校1年生のときに友人たちと野球チームを立ち上げたところ、さまざまな事情から野球ができない子たちから多くの応募がありました。その後、千葉県だけでなく全国から「自分たちの地域にも野球ができる環境をつくってほしい」という声をいただくようになったんです。
そうした声に応えるために事業として取り組むことを決め、会社を設立しました。現在も、野球をしたくてもできない高校生の居場所を全国につくっていくことを大切にしています。
――経営者を目指したきっかけは何でしたか。
もともと幼い頃から経営者に憧れがあり、高校時代の野球チームでの活動をきっかけに、起業を具体的な進路として考えるようになりました。
高校1年生で立ち上げた野球チームの活動を続けるなかで、全国の企業や高校生から連絡をいただく機会も増えていました。そのため、進路を考える際には、大学や専門学校への進学だけでなく、起業も選択肢の一つになっていたんです。
その後、野球用品ブランドの事業や他社からの案件が生まれ、スポンサーとして応援してくださる企業さまとのつながりもできたことで、経営の道へ進むことを決めました。
成長につながる道を選ぶ
――経営判断では、どのようなことを大切にしていますか。
自分自身が胸を張れる選択かどうかを大切にしています。選手たちや周囲の方々が自分や会社の姿を見ているからこそ、背中を見せる立場として、後ろめたさのない判断をしたいと考えています。
ただ、細かな判断基準をいくつも設けているわけではありません。直感を信じることも多く、迷ったときには慎重になりすぎるよりも、まず前へ進むことを意識しています。
――経営において譲れない考え方はありますか。
「成長」という視点です。Sproutという社名には、発芽する、成長する前の段階という意味を込めており、目先のお金だけを見るのではなく、自分自身が成長できるものかどうかを考え、事業に取り組むことを大事にしています。
相手の立場に立つことから始まる関係づくり
――仕事上のコミュニケーションで意識していることは何でしょうか。
一番大切にしているのは、相手の立場に立って物事を考えることです。年齢や立場だけで相手を見るのではなく、一度フラットにしたうえで、その人に合わせたコミュニケーションを心がけています。
一緒に働いている人のなかには社会人や学生もおり、それぞれ置かれている状況が異なります。そのため、仕事をしている人なら忙しい時間を避けるなど、相手の生活や事情に応じて接し方を考えるようにしています。
また、日頃から一人ひとりと関係を構築しておくことも重要です。普段からコミュニケーションを重ね、信頼関係を築いていくことを意識しており、選手と食事をする機会を設けることもあります。
――一緒に働きたいと感じるのは、どのような人材ですか。
自分自身のスキルアップだけではなく、会社のビジョンに共感し、会社と一緒に成長していこうと思ってくれる人です。現在関わっている方も野球経験者が多く、私たちが目指していることに共感しながら携わってくれています。
野球を諦めなくていい環境を、全国へ
――現在感じている課題について教えてください。
高校生が自由に野球を楽しめる環境が限られていることに、大きな課題を感じています。会社としての課題というより、高校野球を取り巻く環境そのものへの問題意識です。
高校野球は、他のアマチュア野球と比べて制約が多いと感じていますし、近所の公園ですらキャッチボールができない場合があります。だからこそ、野球をしたい高校生が気軽に野球を続けられる環境を増やしていく必要があると考えています。
――今後、どのようなことに挑戦していきたいですか。
現在取り組んでいる野球チームの仕組みを、日本全国へ広げることです。高校生の段階で野球を諦めてしまう人を一人でも減らしたいと思っています。
チームをつくるためには、道具だけでなく「この人についていきたい」と思ってもらえる指導者の存在も大切です。選手募集ではSNSや掲示板、口コミなどを活用しており、今後はスポンサーの開拓を含めた営業面にも力を入れていきたいと考えています。
これらは、すぐに実現できる目標ではありません。それでも、一つずつ野球チームや野球を楽しめる環境を増やし、高校生が野球を諦めなくていい居場所を全国へ広げていきたいと考えています。