利用者と地域に寄り添う看護・介護のかたちを追求して
合同会社Cs improving Lab 代表 周田 佳介氏
訪問看護と訪問介護を中心に、医療と福祉の両面から地域を支える合同会社Cs improving Lab。代表の周田佳介氏は、看護師と介護福祉士、両方の国家資格を持つ稀有な経営者です。自ら現場に立ち、利用者一人ひとりの生活を支えながら、仲間とともに理想のケアを追求している周田氏に、事業の特徴や今後の展望について話を伺いました。
看護と介護の両輪で支える地域ケア
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
当社では、訪問看護と訪問介護の二本柱で事業を展開しています。訪問看護では、介護保険・医療保険の対象サービスに加え、自費によるサポートも行っています。訪問介護では、介護保険のほかに障害福祉サービスにも対応し、地域の幅広いニーズに応えられる体制を整えています。現在、市や県から10項目以上の指定を受けており、看護・介護それぞれの分野で多角的な支援を行っています。
――御社の強みはどのような点にありますか。
私自身が看護と介護の両方の国家資格を持っており、現場ではどちらの視点からも利用者様を支援できる点です。事業者全体で「看護の目」と「介護の目」を併せ持ち、同じ利用者様に対して一貫したケアを提供できるのは、全国的にも珍しい形だと思います。
理想のケアを実現するために、枠を超えて起業
――起業のきっかけを教えてください。
もともとは病院や他事業所に勤務していましたが、組織の方針に縛られる中で「本当にやりたいケア」が難しい場面がありました。もちろんそれぞれのやり方が間違いというわけではありませんが、私はもっと自由に、自分の信じるかたちで支援したいと思ったんです。
そこで、自分の理念に共感してくれる仲間と共に、事業を立ち上げました。2023年8月に法人設立し、2024年4月から本格的に訪問看護・介護を始め、現在は3期目を迎えています。まだ1年半ほどの若い会社ですが、すでに23名の仲間が集まりました。尊敬できる人や以前の職場の同僚、ケアマネジャーなど、信頼できる人たちと仕事ができているのが何よりの喜びです。
仲間を信じ、現場を任せる組織運営
――組織づくりで意識していることを教えてください。
スタッフにはできる限りの裁量を任せています。法律やお金の面で問題がなければ、現場判断で動いてもらっています。理念に沿っていれば、細かく指示を出す必要はありません。責任と権限をセットで委ねることで、自然と主体性が育つと感じています。
――社員の雰囲気はいかがですか。
介護・看護業界は入れ替わりが激しい面もありますが、当社では信頼できる人たちが多く残ってくれています。お互いを尊重し合いながら、自由で前向きな空気があるのが特徴です。私も現場に入るときは、「確認役」として支援の方向性を確認する程度で、あとは安心して任せています。
看護・介護の未来を見据え、終末期ケアの拠点へ
――今後の展望について教えてください。
10月から新たにケアマネジャーが加わり、居宅介護支援事業所の立ち上げを進めています。また、定期巡回や随時対応型の訪問サービスも始める予定です。将来的には、ターミナル(終末期)を迎える方々が安心して過ごせる小規模施設をつくりたいと考えています。
病院や特養に「仕方なく入る」のではなく、家族と共に過ごしながら「住まいを少し移すだけ」という感覚でいられる場所を目指しています。医師不在地域が多い山口県では難しさもありますが、看護と介護でできる範囲を最大限に生かした施設づくりに挑戦したいです。
――今後の目標を教えてください。
3年後には、現在の売上を約2倍にすることを目指しています。現実的には人材確保が最大の課題です。特に看護師不足が深刻で、今後は県外からの採用や、潜在看護師へのアプローチも視野に入れています。SNSを活用しながら、柔軟に働ける環境づくりを進めていきたいです。
本を通して自己を磨き、人と向き合う
――リフレッシュ方法や趣味について教えてください。
基本的には仕事に全力を注いでいますが、日曜は家族との時間を大切にしています。また、読書の時間も欠かせません。最近はガンジーの思想や吉田松陰の教えに関する本をよく読みます。特に「覚悟の磨き方」は、迷ったときに読み返す一冊です。読書は自分の考えを整理し、他者の視点を取り入れる貴重な時間でもあります。
――最後に、これから起業を考えている方へのメッセージをお願いします。
やりたいことがあるなら、迷わず行動してほしいです。経営には失敗もありますが、日本には助け合える制度や環境があります。自分の思いを周りに伝えれば、必ず共感してくれる人が現れます。
会社を動かす原動力は、代表自身の「情熱」だと思います。思いを燃やし続ける限り、どんな壁も乗り越えられる。私もこれから、仲間とともに地域のケアをより良い形で広げていきたいです。