卓球の未来を切り開く。“卓球×クリエイティブ×テクノロジー”で新たな価値を創る挑戦
株式会社PING-PONG COMPANY 代表取締役 前田 雄紀氏
卓球スタジオの運営から大会・イベントの企画運営、デザイン制作、Web・システム開発、ブランドプロデュースまで。卓球を軸に、クリエイティブとテクノロジーの力で新たな価値を創造する会社です。多彩なサービスを展開しながら、すべての軸に「卓球をもっと身近に、もっと面白く。」という一貫した想いを置く株式会社PING-PONG COMPANY。今回は、事業内容や代表のキャリア、組織づくり、そして卓球界全体の未来への展望について伺いました。
目次
卓球を核に広がる複合サービスの全体像
――現在の事業内容について教えてください。
卓球を中心とした複合事業を展開しており、主軸は卓球スタジオのレンタルサービスとレッスン事業です。スタジオは24時間利用でき、個人練習からチーム活動まで幅広く活用されています。また、大会運営やイベント開催も行っており、卓球の普及を目的に活動する「一般社団法人 日本卓球協議会」と連携して地域活性化にも取り組んでいます。
――クリエイティブ事業も行っているとのことですが?
クリエイティブ事業は、自社サービスのブランディングやデザイン制作から始まりました。現在では、ロゴデザインやブランド設計、Webサイト・ランディングページ制作、販促物デザイン、パッケージデザイン、SNSクリエイティブ、動画制作など、企業や店舗のブランドづくりをトータルでサポートしています。特に卓球業界の企業やクラブ、メーカー様からのご依頼が多く、競技への理解があるからこそ、競技者やユーザーに伝わるクリエイティブをご提案できることが私たちの強みです。この事業も、あくまで卓球事業から派生したものです。現場で培った経験をデザインやブランディングに生かし、卓球業界の価値を高めることを目的に取り組んでいます。
日本代表帯同コーチから経営者へ。卓球一筋の歩み
――代表はどのような経緯で独立されたのでしょうか。
小学生から卓球を始め、大学まで競技一筋でした。卒業後は選手としてではなく、指導の道へ進み、卓球女子日本代表のコーチとして世界20か国以上の大会に帯同しました。こうした経験が自分の財産となり、独立の大きな原動力になりました。
――創業後、印象的だった出来事を教えてください。
2025年1月に静岡へ新店舗をオープンしたことです。地方展開の第一歩として、多くの課題に直面しながらも、新しい街で卓球文化を根づかせる挑戦に大きな手応えを感じました。また翌年には、空間ビジネス向けスマート運営システム「ROOMKEY」をリリースしました。自社で無人卓球施設を運営する中で生まれた課題やノウハウをシステム化し、予約・決済・入退室管理などを一元化できるサービスとして提供を開始しています。店舗運営で得た経験をシステム開発へ、そしてシステム開発で得た価値をさらに多くの事業者へ還元する。この循環を実現できたことは、創業後の大きな転機だったと感じています。
“社員ゼロ”のフラットな運営。仲間はプロフェッショナルの集合体
――組織体制について教えてください。
正社員は私一人で、コーチは全員が業務委託、その他は運営協力のボランティアスタッフという形です。卓球界には指導者や経験者が多く、各自が専門性を持って関わってくれるため、固定の雇用ではなく仲間として協働する体制を選んでいます。
――運営で意識していることはありますか。
「精神誠意サービスを提供すること」です。レッスンサービスはもちろん、クリエイティブサービスやシステム開発など、すべての事業において、私たちは数字や利益だけを追い求めるのではなく、お客様への価値提供を何よりも優先しています。「このサービスを利用して本当に良かった。」そう感じていただける体験を一つひとつ積み重ねることが、お客様からの信頼につながり、結果として会社の成長や卓球業界の発展にもつながると信じています。
利権構造を越えて、“卓球界そのもの”を良くするために
――3年後の未来をどのように描いていますか。
会社の規模を拡大するよりも、卓球界全体を良い方向に変えていきたいという思いが強いです。卓球人口は実は非常に多いのですが、経済圏が小さく、熱量も他競技に比べて弱いという課題があります。もっと卓球が“観たい・応援したいスポーツ”として評価されるように、選手やクラブ、観客が一体になれる環境づくりを進めたいです。
――取り組んでいることは?
大会運営の透明性向上や、行政との調整を含めた環境整備に取り組んでいます。公共施設は営利利用が難しく、地域によってルールも異なるため、一つひとつ交渉しながら開催の幅を広げています。また、スポンサー企業との連携強化や海外展開も視野に入れており、卓球を軸にした地方創生に力を入れています。
卓球は仕事でもあり、何より一番のリフレッシュ時間
――プライベートの過ごし方や、リフレッシュ方法について教えてください。
結局、休みの日も卓球なんですよ。今でもクラブチームをつくってオープン大会や全国大会に出場していますし、夏になると大会シーズンなので、遠征で各地を回ることも多いです。学生時代からの仲間と車で移動しながら「次はどこで戦う?」なんて話をする時間が楽しくて、これが一番の息抜きになっています。卓球は今でも自分の生活の中心ですね。
数字より“価値提供”。経営者を目指す人に伝えたいこと
――これから起業する方や中小企業の経営者へ、メッセージをお願いします。
事業を続けていると、どうしても数字や売上に目が向きがちですが、数字ばかりを追いかけると、お客様の気持ちが見えなくなる瞬間があります。新サービスを立ち上げるときにも仲間とよく話すのですが、「精神誠意、お客様のためにやっているか」がすべての基盤になります。
商品を買っていただいて「損した」と感じさせてしまえば、たとえその一回が売上になっても長続きしません。逆に「このサービスを受けて良かった」と思っていただければ、結果として数字は後からついてきます。お互いが気持ちよく終われる取引を積み重ねてこそ、事業は成長していくものだと思います。
これから挑戦される方には、ぜひ“お客様がどう感じるか”という視点を一番大切にしてほしいです。私自身もその姿勢を忘れず、卓球界をもっと良い方向へ動かしていけるよう、これからも取り組んでいきます。