環境課題に挑み続ける――“継続は力なり”を信じて歩むクリアテック沖縄の30年
有限会社クリアテック沖縄 代表取締役 金城エイ子氏
沖縄の強い日差しと地域性に根差したブラインドクリーニング事業からスタートし、就労支援や環境浄化技術へと活動の幅を広げてきた有限会社クリアテック沖縄。本記事では、代表取締役の金城氏に、30年にわたる挑戦の軌跡と、今取り組む環境課題への思いについて伺いました。
目次
ブラインド修理から環境技術へ――30年の歩みと今
――現在の事業内容について教えてください。
今年4月で就労支援A型事業所を終了し、現在はブラインドのクリーニング・修理事業を中心に、多機能溶液による環境改善の取り組みを進めています。特にPFOS問題については、琉球大学と共同で分解実証に向けた研究を続けています。資金面で課題はありますが、可能性がある限り挑戦を続けたいと思っています。
――会社として大切にしている理念はありますか。
立派な理念はありませんが、「環境を良くしたい」「関わる人が笑顔でいられる場所でありたい」という思いは一貫しています。ブラインドを修理・再利用することも、廃棄を減らす点で役に立つと考えて大切にしてきました。
“自分の人生は自分で決める”――挑戦を続ける原動力
――経営者になった背景について教えてください。
経営者になろうと強く決意したわけではなく、仕事を続けるために自然とその立場になったという感覚です。母子家庭で子どもを育てる責任があり、「自分が動くしかない」という思いでやってきました。
――お仕事の上で大切にしている価値観は何でしょうか。
「自分の人生は自分で決める」ということです。興味を持ったことや、可能性がわずかでもあることには挑戦してみたい性格で、無謀だと言われても楽しさのほうが勝ちます。
――印象に残っているキャリア上の出来事はありますか。
特定の一つというより、これまでのすべての経験が楽しかったです。
今の会社を立ち上げる10年ほど前に ダイビングショップとの関わり合いがありました。ダイビングがブームになる前のことです。地元の小さな旅行社と大手の出版社との関わりの中で。「沖縄でダイビングのライセンスを取ろう」という企画があり、20人の募集に200人以上の応募があり、びっくりしたものです。その後、大手の旅行会社と「沖縄体験ダイビングツアー」や「沖縄ダイビングツアー」の商品づくりに関わったことが記憶に残っています。そして、それが今なお継続していることが素晴らしいと思います。
人との出会いを通じて新しい道が開けていくことにワクワクしてきました。苦労を「苦労」と捉えず前向きに続けてこられたのが今につながっていると思います。
環境づくりこそ最大の支援――人を活かす組織運営
――これまでの組織運営で大切にしていたことはありますか。
就労支援では障害のある方が中心でしたので、「気持ちよく働ける場所をつくる」ことを最優先にしていました。一般的な指導や叱咤激励ではなく、安心して出勤できる環境を整えることが大切だと考えていました。
――社員の方とのコミュニケーションはどのように取っていましたか。
誤解が生まれないように、日々の会話を丁寧にすることを意識していました。現場では厳しさも必要ですが、基本は笑顔がある職場であってほしいという思いでした。
――印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
耳が聞こえず声も出せない方がいましたが、手話やメモでとても積極的にコミュニケーションを取ってくれました。引きこもりだった方が人前で三味線を弾くほどに変化したこともあり、人が環境次第で大きく成長する姿をたくさん見てきました。今でも「また戻りたい」と言ってくれる方がいて、それが何よりの励みになっています。
PFOS問題への挑戦――小さな会社だからこそできる未来づくり
――今後取り組みたいことを教えてください。
多機能溶液を使ったPFOSの分解技術を社会に広めたいと考えています。微生物の力を利用して有害物質を分解する「バイオスティミレーション」という分野での実証実験です。
当社のみでの実証実験での成果はありますが、環境省の求めるデータに近づけるべく大学との実証実験をすすめています。
畜舎の悪臭問題でも効果が出ており、全国的に展開できれば環境改善に大きく寄与できるはずです。赤土流出防止、CO2削減等々、欲張りですが、取り組みたいことがたくさんあります。また、子どもを有害物質から守るために役立つ逆浸透膜搭載の浄水器の普及にも力を入れたいと思っています。
――現在の課題との向き合い方について教えてください。
一番の課題は資金面です。事業所移転の準備や研究費が必要で、クラウドファンディングや企業協賛など支援の形を探っているところです。大きな計画ではなくても「継続が力になる」と信じ、少しずつ前へ進んでいきたいです。
“人・動物・会話”が力になる――金城代表の素顔
――リフレッシュ方法はありますか。
行きつけのお店で、カラオケを楽しんだり、常連のお客様から情報を得たり、励まされたり、勇気や元気をもらい、会話をすることが一番の気分転換です。本当はダイビングも再開したいのですが、今は時間がなく、人との会話が大きな癒やしになっています。
――経営以外で情熱を持っているものは何でしょうか。
動物が大好きで、これまで犬や猫を何匹か保護してきました。被災地で取り残される動物のことを考えると胸が痛みます。大きな活動はできなくても、目の前の命についてはできる限り助けたいと思っています。これからも、人や環境や動物にやさしい選択を続けていきたいです。