免疫学研究から生まれた抗体創薬支援の最前線
Yurogen Biosystems L.L.C. 代表 娄阳氏
遺伝子解析から創薬まで、生命科学の研究を支える基盤技術は近年めまぐるしく進化しています。そんな中、従来の抗体開発の常識を覆すスタートアップが誕生しました。Yurogen Biosystems L.L.C.は、独自のSingle B cell sorting & culture技術を活用し、単クローン抗体のスクリーニングと取得を飛躍的に加速するプラットフォーム「SMab®」を開発しました。代表の娄阳氏に、技術の中身、業界の課題、そして日本市場への期待を伺いました。
研究成果を社会に還元する使命感
――まず、Yurogen Biosystems L.L.C.の事業内容を教えてください。
当社は、抗体の探索および評価を専門とする会社です。
YUROGEN独自のプラットフォーム技術を活用し、マウス・ウサギ・ラクダ科動物など複数種からの単クローン抗体だけでなく、ワクチン接種者やウイルス感染経験者(例:COVID-19)から全ヒト由来抗体を直接取得することも可能です。
「抗体を見つけ出し、形にする」——それが私たちの役割です。
――Yurogen Biosystems L.L.C.を立ち上げた経緯を教えてください。
当社は、マサチューセッツ大学医学部で開発された技術を基盤として設立されました。
私は当時、ワクチン研究の研究室でインストラクターとして研究に携わっていました。そこで生まれたSingle B cell技術は、当初ワクチン開発のための技術として考案されましたが、「これは抗体開発にも応用できる」と気づいたことが転機でした。
その後、投資家との交渉を経て、教授の友人や親族からの支援を受け、会社設立に至りました。
顧客から選ばれる理由
――顧客がYurogen Biosystems L.L.C.を選ぶ理由はなんですか。
私たちは、まずお客様に対して正直であることを何より重視しています。優れた技術を持っているからといって、必ずしも優れた成果が出せるとは限らない──特に生物学の世界では、「やってみなければ分からない」ことが必ず存在します。
研究開発の結果を保証できないからこそ、プロセスと情報開示の透明性を徹底し、お客様にとって信頼できるパートナーであることを目指しています。私たちは常に「最良のサービスとは何か」を考えながら、現実を正直に伝え、最高の努力と技術を提供していきます。
今後の展望と挑戦
――今後のビジョンを教えてください。
抗体医薬のニーズは世界的に拡大しており、研究者のアイデアをより短期間で形にする支援はますます重要になっています。私たちは、既存の技術の向上に加え、AIを活用した配列解析や新しい抗体デザインの手法などにも挑戦し、技術の幅を広げてまいります。将来的には、世界中の研究者や製薬企業に対して、地域を問わず同じ品質のサービスを提供できる企業を目指しております。
――今後の事業展開についてお聞かせください。
米国・中国・韓国において既に確固たる市場基盤を築いており、武田薬品、Sanofi、Janssen 、BeiGene、恒瑞医薬など複数の国際的製薬企業と長期的なパートナーシップを構築しています。またドイツに欧州オフィスを設立し、ドイツ・スイス・スウェーデンを中心に欧州市場も拡大中です。
今後は、日本市場への本格進出を重要なテーマとしています。既に複数の日本企業との協議が進行しており、関係強化を図ってまいります。
読者へのメッセージ
日本には、診断・医薬の両分野で世界をリードできる強みがあると確信しています。
私たちのSMab®プラットフォームによって、日本の研究と産業のさらなる発展に貢献できれば幸いです。今後、より多くの日本の皆様と共に、新しい医薬の可能性を切り拓いていきたいと考えております。