地域に最適な業態を届ける“50ブランド戦略”──挑戦と人づくりで進化を続ける外食企業の未来
株式会社オーイズミフーズ 代表取締役 大泉賢治氏
全国320店舗・50ブランドを展開し、すべてを直営で運営する株式会社オーイズミフーズ。マルチブランド戦略と「物件に最適な業態を合わせる」独自の発想で成長してきた同社は、個室居酒屋「くいもの屋わん」をはじめ多様な飲食事業を手がけてきました。創業家の二代目として26歳で社長に就任し、24年以上にわたり舵取りを行ってきた大泉社長に、事業への思い、組織づくり、そして海外展開を見据えた未来のビジョンについて伺いました。
目次
多ブランド直営で価値を届ける――現在の事業と理念
――まず、御社の事業内容について教えてください。
当社は日本全国および海外で、約320店舗・50ブランドをすべて直営で展開しています。特徴は「マルチブランド戦略」です。まず優良物件を確保し、その立地や地域特性に最も合う業態を当てはめることで成功確度を高めています。デベロッパー側から「御社なら幅広く対応できる」と声がかかることも多く、戦略の強みが生きています。
直営にこだわるのは、品質やサービスレベルを高く維持できるためです。飲食は“人”が要の産業ですから、ハンドリングしやすい直営のほうが長期的に成功しやすいと考えています。
26歳で社長就任――飲食に惹かれた理由と経営者の原点
――経営者になるまでの経緯を伺えますか。
当社は私の父が1982年にスーパーマーケット事業から始めた会社です。そこから居酒屋事業へ転換し、私も大学時代にアルバイトとして店舗に入り、飲食の楽しさにのめり込みました。兄は本業である製造業を継ぐ道を選んだため、私は小さく始まっていた飲食事業のほうに将来性と面白さを感じ、入社したのがきっかけです。
入社後は昼はバックオフィス、夜は店舗という毎日で、2~3年後に自ら提案した「くいもの屋わん」が大ヒット。10年で200店舗まで成長し、私は26歳で社長を任されました。
経営で大切にしているのは「挑戦」と「行動」です。50ブランド展開していますが、その裏には30以上の失敗があります。失敗しても挑戦し続けることで、会社の財産が積み上がっていくと考えています。
成長を支える組織文化――挑戦を許し、個性を活かす人材育成
――組織づくりで大切にしていることは何でしょうか。
当社には「まずやってみる」という文化があります。チェーン店でありながら、店舗ごとに独自メニューや企画に挑戦する裁量を与えており、失敗も含めて経験が成長につながると考えています。
また、50ブランドを展開している強みとして、従業員の適性に合わせた異動が可能です。低単価の店舗から高級店へステップアップするケースも多く、「うちの会社だけで多様なキャリアが描ける」ことは社員のモチベーションにもなっています。
採用においてはリファラル採用を強化しており、年間200名採用する正社員のうち50名以上が紹介経由です。外国人従業員も増えており、文化・言語の違いを踏まえた教育が今後の課題と捉えています。
海外展開へ本格始動――東南アジアを中心に挑戦を加速
――今後の展望について教えてください。
今後は海外展開を本格化します。特に東南アジアを中心に、現地パートナーとのフランチャイズ・ライセンス契約で展開を進めていきます。海外は文化もマネジメントも大きく違うため、信頼できるパートナーと組むことが鍵になります。ブランドは「わん」に限らず、相手のニーズに合わせ柔軟に展開します。
国内では“店舗数を増やす”よりも“1店舗あたりの生産性を最大化する”方向へ舵を切っています。人口減少社会では売上規模の拡大より、収益性向上こそが重要だと考えています。
食を愛し、人を喜ばせたい――経営者としての原動力
――プライベートではどのようにリフレッシュされていますか。
私は食べること、飲むことが大好きで、全国の飲食店を巡るのが一番の楽しみです。会話をしながら美味しいものを味わう時間が何よりの幸せですし、そこで出会った方々とのつながりから新しい事業が生まれたこともあります。
最終的に「会社をこうしたい」というゴールはあえて決めていません。行けるところまで挑戦を続けたい。その先に日本の食文化を世界に広げられていたら、それ以上に嬉しいことはありません。これからも、新たな挑戦を積み重ねていきたいと思います。