にゃー企画合同会社が目指す「居住支援」というセーフティネット――社会貢献と事業性を両立する、不動産の新しいかたち
にゃー企画合同会社 代表 久世 妙氏
にゃー企画合同会社は、不動産売買やリフォーム再販をはじめ、シングルマザー支援や相続・空き家問題の解決に取り組む不動産会社です。丁寧なヒアリングと女性チームによる安心感を強みに、困りごとを抱える人に寄り添う姿勢を貫いています。本記事では、代表の久世妙氏に創業の経緯や今後の展望、そして経営に込める思いについて伺いました。
「丁寧さ」と女性チームの安心感
――創業のきっかけを教えてください。
創業はコロナ禍の真っただ中でした。当時、帰国できず生活困窮するベトナム人技能実習生をサポートしている住職さんのニュースを見て、「助ける側が疲弊してしまう仕組みでは、誰も続かない」と強く感じていました。
そのタイミングで、国交省がセーフティネット支援を強化していたこともあり、「社会貢献をしたい人の思い」と「制度」を「民間の不動産会社」としてつなぐ“ハブ”になれるのではと考えたことが起業の原点です。
社名「にゃー」はベトナム語で“家”という意味で、ベトナム人技能実習生への想いが会社名にも込められています。
――現在の事業と強みを教えてください。
事業内容は「不動産関係一般」としていますが、創業以来大切にしてきた軸は「居住支援」です。収益の柱は、仕入れ・リフォーム・再販といった大きな事業ですが、そこで得た余力を賃貸仲介、相続、住まいに関する困りごとの解決に振り、社会的弱者の支援にも力を注いでいます。
また、相談者の多くは、シングルマザーや高齢者、相続で悩む人など、精神的に不安を抱えているケースが多くあります。そうした中で、アットホームで話しやすい空気づくりが重要と考えて、女性中心の体制で自然と安心感を生み、信頼関係につながるよう心がけています。
シングルマザー向け賃貸と「場所」の大切さ
――シングルマザー向け物件の取り組みについて教えてください。
シングルマザーを支援したいという大家さんから預かった物件の紹介も行っています。
物件の特徴で重視するのは、建物より“環境”です。「お子さんが主役になるので、まずは立地。繁華街ではなく、周囲の安全や隣人の雰囲気が大事」と考えています。建物は後から整えられるので、安心して暮らせる環境づくりを優先しています。
相続・空き家対策で「将来の困りごと」を減らす
――相続・空き家対策にはどう取り組んでいますか。
相続相談はここ数年で急増しています。相続実務士として、税金の見通し整理から、支払いが困難なケースの対策、売却・住み替えの支援まで包括的に対応しています。提携する士業とのネットワークも強みです。
一方で社会問題化している“空き家”は、固定資産税の増加や災害時の延焼など放置のリスクがとても大きいです。持ち主に余裕がなく、何から手をつけたらいいかわからない状況が多いので、だからこそ、早めの伴走支援が必要と考えています。
将来的には、地域の高齢者を“空き家見守り役”としてマッチングする仕組みづくりも検討しています。少しの収入とやりがいを提供しつつ、地域全体を支える循環を目指しています。
――現在の組織体制と課題を教えてください。
現在運営は私1人で対応し、その他は外部の専門家と協業するスタイルです。
私はもともとマルチタスクが得意なタイプではなく、1つひとつの相談に丁寧に向き合うスタイルなんです。だからこそ、迅速に対応できるように、AI搭載のNotionを使って案件管理を可視化し、業務効率化を進めています。
課題としては、相談内容を整理し、伴走できる人材の確保です。居住支援の本質を守るためにも、信頼して任せられるスタッフの採用が今後のテーマだと考えています。
ハーレーで走る時間が、最高のリフレッシュ
――リフレッシュ方法はありますか。
趣味は色々あるのですが、最大のリフレッシュは大型バイクでのツーリングです。バイクだとスマホも仕事の電話も触れない。走ることだけに集中できて、本当に気持ちいいんです。
仕事で訪れる伊豆や軽井沢の別荘地が、そのまま最高のツーリングルートになることも多いですね。
――最終的に目指す姿を教えてください。
「思いとフィーのバランスを取れる場所をつくり、それを次の世代に渡したい」これが最終的なビジョンです。
社会貢献は“善意だけ”では続かないと感じています。関わる人が適正な収入を得ながら、無理なく価値提供できる仕組みを整え、そのまま引き継いでいける事業に育てていきたいです。いつか事業を譲渡して、新しい感覚を持つ次の人が自然に運営できる状態にしておきたいと考えています。