外国人支援の現場から描く次代の国際法務――行政書士が目指す多文化共生社会

行政書士川添国際法務事務所 代表/行政書士 川添賢史氏

行政書士川添国際法務事務所は、大阪・京都・奈良を中心に外国人のビザ手続きを専門とし、2008年の開業以来20,000件を超える相談に向き合ってきました。代表の川添氏は、留学経験や国際法務の研究を土台に、就労・結婚・経営など多様な在留手続きを支援。多文化共生の実現を目指し、外国人の生活に寄り添う実務を続けています。本記事では、事務所の特徴やキャリアの背景、今後の展望について伺いました。

外国人ビザ手続きを軸にした専門性と事業の特徴

――事業内容を教えてください。

外国人のビザ手続きを中心に、主に次の3つを扱っています。

① 就労ビザ:人手不足の企業が外国人を採用する際、適切な在留資格の選定から契約内容の確認、長く働き続けるための定着支援まで一連の手続きをサポートしています。

② 結婚ビザ・永住ビザその他生活手続き:国際結婚や永住申請など、文化的な不安が伴う領域に寄り添い、手続き後の生活面での行政手続きも含めて支援しています。

③ 経営ビザと外国人の起業支援:経営ビザ取得だけでなく、印鑑登録、契約書、許認可、法人化など日本独自の実務を整理しながら、起業後の行政手続きまで総合的に伴走しています。

――強みは何ですか?

英語対応ができることに加え、関西圏を中心に所長行政書士が直接対面で話を聞きながら進める点です。

また、ビザ取得だけでなく、その人の生活や将来設計も含めて支援する姿勢を大事にしています。手続き代行の枠を超え、必要に応じて会社の設立や書類作成や結婚や生活関連の行政手続きまでトータルでサポートできることが特徴だと感じています。

異文化体験から行政書士へ──キャリアの原点

――開業に至るまでの経緯を教えてください。

16歳のアメリカ留学が大きな起点でした。異文化の中で意見を交わす環境に触れ、対話の魅力を実感したことが原点です。

大学・大学院では国際私法・国際人権法を学び、数多くの国際交流活動を通じて、身近な外国人の困りごとに関心を寄せるようになりました。

法律を軸に支援できる職業として行政書士が最も合うと考え、卒業後は会社勤めではなく開業を選択。行政書士の先輩の助言を受けながら実務を積み重ね、現在の事務所運営へとつながっています。

――理念やビジョンに込められている思いを教えてください。

多文化共生社会づくりを前提に、できるだけ幅広い国・地域の方のご相談やご依頼を受け入れる姿勢を意識しています。

ビザ手続きは就労に限らず、結婚や教育、生活全般に関わる行政手続きの領域もできるだけ幅広くサポートしています。生活に密着した相談にも対応できるよう間口を広く保ち、ITやAIを活用しながら効率化も進めています。

――これまでのキャリアでのターニングポイントは何ですか?

戦争・内戦や政治状況によって帰国が難しくなる人からの相談は、特に心に残っています。

ビザ取得が難しい場合、最悪は帰国や退去となり命の危険の可能性もあります。そのため、法律と行政手続きを使いながら、その人にとって最善の道を一緒に考えることに大きな意義を感じています。

組織運営と多文化共生に向けた取り組み

――スタッフが動きやすい環境づくりで工夫している点はありますか?

小規模事務所のため、一人ひとりが担当案件を持ち、書類作成という主軸の業務に集中できる体制にしています。

連絡方法や日程調整はできるだけスムーズに進むようデジタル化を進めているところです。将来的にはAIを活用した業務効率化にも取り組みたいと考えています。

――事務所内のコミュニケーションで意識していることを教えてください。

行政書士の仕事は文章化が重要なため、できるだけクリアに言語化することを意識しています。マニュアル化はまだ途上ですが、組織として文書化を進めることで、誰が見てもわかる業務フローを整えたいと思っています。

――採用・育成において大切にしている視点はありますか?

働きやすさを重視し、柔軟性を持った環境づくりを心がけています。今後も、迅速に対応する姿勢と、無理なく業務を進められるバランスを大切にしていきたいです。

これからの展望と業界の変化への向き合い方

――今後の展望や、現状の課題への取り組みについて教えてください。

事務所内では業務の知識や経験を十分に言語化できていない点を課題として捉え、今後はマニュアル化や情報発信を進めていきたいと考えています。

また、事案の複雑化に伴い、社労士や弁護士など多様な専門家と連携し、外国人雇用や経営支援を総合的に扱える体制づくりが必要だと感じています。

日本で暮らす外国人の生活・教育・雇用など幅広い相談に応じながら、最適な専門家につなぐ“パイプ役”としての機能強化も目指しています。

――業界全体の変化をどのように捉えていますか。

就労・結婚を問わず外国人の来日数は増えており、特に生活者への支援は今後さらに重要になると考えています。

日本独自の制度や文化を理解し、税・医療・教育など多方面の情報を整理しながら、安心して暮らせる環境につなげる必要があります。書類作成だけではAIに置き換わる可能性もあるため、伴走支援や情報の橋渡しといった価値が求められる時代になると感じています。

――尊敬する人物はいますか?

学生時代は、緒方貞子さんや明石康さんのように国際機関で活躍する方々に強い影響を受けました。1対1の支援だけでなく、制度づくりや社会の仕組みそのものの改善にも目を向ける姿勢に惹かれています。

行政書士の実務と制度の双方が連動することで、より良い支援につながると感じています。

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