“0円の整体”を目指して──地域の未来をつくるリハビリ整体の挑戦
リハビリ整体歩っぽ 代表取締役 森 裕紀夫氏
総合病院の理学療法士としてキャリアをスタートさせた森裕紀夫氏。そこで培った確かなスキルを持つ一方で、病院という組織が持つ「担当制」や「リハビリ時間の制約」といった壁に直面し、患者様への最善の治療ができないジレンマを感じてきたといいます。その疑問を原動力に、自らの技術と患者様への思いを最大限に活かす場として整体院を開業。さらに、患者様の5年後、10年後の生活まで見据えたデイサービスを立ち上げ、その視線は究極の目標「0円整体」の実現へと向かっています。理学療法士、経営者、教員、そして地域貢献者として多角的に活動する森氏の挑戦と、その壮大なビジョンを支える哲学に迫ります。
整体師としての信念と起業の背景
――整体院を始められた背景を教えてください。
もともと総合病院で理学療法士として働いており、しっかりとスキルを学ばせていただきました。しかし、病院のリハビリはどうしても担当制となっており、「この先生に治療してほしい」という患者様の希望に、担当が違うという理由で応えられないことがありました。また、リハビリの単位(時間)も決まっており、時間的な制約も大きかったのです。
患者様が「やって欲しい」と思ってくださる方に対し、私の技術を存分に提供できる環境がなかったことに疑問を感じたのが、整体院を企業した大きなきっかけです。私にやってもらいたいという方には、時間や制約を気にすることなく、惜しみなく技術を提供する。この形を実現したかったのです。
もう一つは、スキルの問題です。理学療法士という資格を持っていても、1年目の新人が治療しようが、20年経験を積んだ理学療法士が治療しようが、患者様に請求するお金は変わらないという実態がありました。自分が患者様であったなら、今後の将来が関わってくることですから、当然スキルある人間に治療していただきたいと思うはずです。患者様が治療する人を選択できる機会を提供し、高い技術と質を追求できる場が必要だと感じました。
“利他”を教えてくれた存在
――これまでのキャリアで影響を受けた存在はいますか。
メンター的な存在の経営者がいて、「利他の精神」を徹底している方です。大量行動し、成功も失敗も包み隠さず共有し、「私の経験を糧にしてほしい」と本気で言える人です。人として尊敬できますし、その方を超えることが、私の最大の恩返しだと思っています。
整体院の経営だけでなく、地域貢献や教育活動にも力を入れるようになったのは、この方との出会いがあったからです。
――現在は整体以外にも幅広く活動されていますね。
整体院のほかに、デイサービス事業、介護福祉士養成校の教員、理学・作業療法士への技術指導、ハウスメーカーとの地域連携など、地域を支えるための活動を多数行っています。どれも「お金よりも地域の未来」という軸で選んだものです。
質と量を両立させる仕組みづくり
――複数事業を運営するうえで、組織づくりはどのように考えていますか。
整体院では“量より質”を重視し、デイサービス事業では“質を担保しながら量を確保する”という形で役割を分けています。整体は私一人で責任を持って行い、中途半端な技術を提供したくないので無理に人を増やすつもりはありません。
一方デイサービスはスタッフがいて、私が不在でも運営できる仕組みを整えてきました。まずは全事業を堅実に伸ばし、関係者と信頼関係を築くことが重要だと考えています。
――課題に感じている点はありますか。
整体院の新規集客は依然として課題です。紹介や口コミは多いものの、ネット集客の強化は必要だと感じています。広告も内製で進めていますが、まだ改善の余地があります。
“0円整体”という挑戦
――今後実現したいビジョンについて教えてください。
私が根幹で大切にしているのは、地域貢献がしたい、そして「お金ではないところ」で役に立ちたいという強い思いです。その考えに基づき、今では整体院、デイサービスの経営に加え、介護士養成校の教員、群馬ボバース研究会での理学療法士・作業療法士の技術指導、さらには業務提携を通じた地域活性化にも取り組んでおります。
整体院は、質の担保を最優先しているため、現在、合同会社は私一人で運営しています。これまで何人かの方から「業務提携で働きたい」とお声がけいただきましたが、中途半端な技術を提供して患者様を損させるわけにはいきませんから、お断りしてきました。まずはそれぞれの事業をしっかりと伸ばし、収益を生み出す仕組みを確固たるものにすること。それが、地域医療の未来と、究極の目標である「0円整体」の実現に繋がると信じ、今後も多方面から挑戦を続けてまいります。