“金属加工の助っ人”として挑み続ける――STK製作所が切り拓く現物再生と新しいものづくりの未来

株式会社STK製作所 代表取締役 細谷 つよし氏

株式会社STK製作所は、金属切削加工を中心に、試作や多品種小ロット、現物再生など幅広いものづくりを手がける企業です。「金属加工の助っ人」という独自の言葉を掲げ、図面がない製品の再生や個人からの相談にも対応するなど、企業向けの加工だけでなく、“どこに相談したらいいかわからない”という困りごとにも寄り添いながら事業を展開しています。本記事では、代表の細谷つよし氏に、事業へのこだわりや経営理念、今後の展望などについて詳しく伺いました。

“図面がなくても相談できる”金属加工会社へ

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は、金属を削る「切削加工」を中心に事業を行っています。ただ、単なる金属切削加工業ではなく、「金属加工の助っ人」という言葉を掲げ、協力会社とも連携しながら幅広い相談に対応しています。

「技術創造サービス業」という考え方のもと、技術そのものを生み出し、サービスとして提供していきたいという想いがあります。ホームページも、一般の方に向けて「図面がなくても相談できる」ことをわかりやすく伝えるために制作しました。

創業から58年ほどになりますが、私が入社する前は一社への下請けが中心でした。私が社長になってから徐々に取引先を増やし、現在では年間50社前後と取引しています。最近では企業だけでなく、個人のお客様からの相談も増えてきました。

――現物再生の依頼も多いのでしょうか。

そうですね、困っている方からの相談は意外と多いです。以前、壊れたドアの蝶番を持ち込まれた方がいたのですが、数秒調整しただけで直り、とても喜んでいただけました。どこへ行っても断られていたそうで、「困っている人の需要は確実にある」と感じた出来事でした。

個人向けの加工では、価格設定も重要です。「3万円を超えるなら新品を買ったほうがいい」という感覚もあるため、直すべきか買い替えるべきかを含めて正直にお伝えしています。

印象的だったのは、観光地などで使われるアイスの絞り機の現物再生です。寸法を測り直して改良しながら再製作したところ、最初は数台規模だった依頼が年間200台ほどまで増えました。現物再生は、小さな案件が将来的に会社の柱へ成長する可能性を持っている仕事だと感じています。

未経験から飛び込んだものづくりの世界と組織改革

――会社を継がれた経緯について教えてください。

私は婿養子で、もともとは北海道の漁師の家で育ちました。大学進学を機に静岡県三島市へ来て、日本大学の国際関係学部を卒業後、お土産卸の営業を3年ほどしていました。ですので、金属加工については完全に未経験でした。

先代が亡くなり、後継者がいなかったため会社を継ぐことになったのですが、本当にゼロからのスタートでしたね。

当時は親族経営でしたので、私は“外から来た人間”という立場でもありました。技術も経営もわからない状態だったため、まずは経営を勉強しながら、同時に現場の技術も覚えていきました。工場と家が隣接しており、365日のうち360日くらい社内の人と顔を合わせるような環境でしたので、一般的な会社とは少し違う、独特な距離感もありました。

その後、2007年頃に親族内の体制が変わり、新しい人材を採用していく流れになりました。高卒・大卒・中途採用など、少しずつ組織を広げていった形です。

――海外人材の採用にも早くから取り組まれていたそうですね。

2016年頃から、ベトナム人スタッフを採用しています。当時としてはまだ珍しかったと思います。実習生ではなく、社員として採用しました。現地まで面接に行き、採用後は半年ほど日本語を勉強してもらってから来日してもらいました。

現在は3人が働いていますが、技術面でもしっかり成長しています。結婚して子どもが生まれ、車を買って、日本で長く生活していこうとしている社員もいます。今後は、そうしたスタッフたちが社内で独立に近い形で働ける仕組みをつくれないかと考えています。

工場や機械を貸し出し、それぞれがある程度独立した形で仕事をする――その代わり、会社側が仕事を供給し、サポートも行うといったイメージです。

働き方改革が進んでいますが、「もっと働きたい」「もっと稼ぎたい」という人もいます。一方で、独立すると保証がなくなる不安もあるため、あいだを取るような仕組みができれば、働く側にとっても選択肢が増えると思っています。

また、金属加工には大きく「旋盤」と「フライス」があり、フライス加工は比較的プログラム化が進んでいますが、旋盤加工は職人のノウハウが必要です。特に旋盤職人は減少しているため、10年ほど前から設備投資を進め、旋盤分野を強化してきました。

将来的には、「部品加工」「試作・現物再生」「個人相談対応」の三本柱をつくり、それぞれが連携しながら事業として循環していく形を目指しています。

“人の特性を見る力”を経営にも活かす

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

趣味の一つとして占いをたしなんでいます。生年月日から膨大なデータを収集し、「性格」「思考」「行動」の統計と分析の積み重ねで構築された「ISD個性心理学」のマスターインストラクター資格を持っており、さらに、古代中国で生まれた「四柱推命」の鑑定士でもあります。

生年月日からその人の特性や判断基準を見ることができるため、採用や人材育成、お客様とのコミュニケーションにも活かしているんです。例えば、細かく比較検討したい人もいれば、直感的に決める人もいますが、相手によって提案方法を変えることで、商談の進め方も変わってきます。

また、神主としても活動しており、地域の神社で宮守や地鎮祭なども行っています。このような仕事とは異なる世界に触れることは、気持ちを切り替える時間にもなっています。

「浄燦繁栄(じょうさんはんえい)」に込めた想い

――最後に、経営で大切にしている考え方を教えてください。

当社の基本理念に「浄燦繁栄」という言葉があります。これは、「人が本来持っている能力を最大限に活かし、それを発揮できる仕組みをつくることで、継続的な繁栄につながる」という意味を込めた造語です。経営理念や経営信条も含めて、この考え方が会社運営の軸になっています。

今後も、大企業との取引だけを追うのではなく、本当に必要としている人の役に立ちながら、しっかり利益も出していくことを念頭に置いて、「金属加工の助っ人」や「図面がなくても大丈夫」という言葉を通じて、困っている個人や企業の力になれる存在でありたいと思っています。

「こういう会社があるんだ」と、もっと多くの方に知っていただければうれしいですね。

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