地域と社会課題を“つなぐ”存在へ――アイシャスが描くソーシャルビジネスのかたち

株式会社アイシャス 取締役 田中 健氏

株式会社アイシャスは、ホームページ制作やテレビ番組・CM撮影におけるロケーションコーディネートを軸に事業を展開する企業です。個人事業主として積み重ねてきた実績をもとに2025年5月に法人化し、新たな挑戦としてソーシャルビジネスにも取り組んでいます。本記事では、取締役の田中健氏に、現在の事業内容やこれまでの歩み、今後の展望について伺いました。

メディアと現場をつなぐ事業の現在地

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は、ホームページ制作とロケーションコーディネートを主な事業としています。テレビ番組やCM撮影の際に、事前のリサーチや撮影地の調整などを行う仕事です。これまでには、スタッドレスタイヤのCMや、スマートフォン向けゲームアプリのWebCMのロケーションコーディネートを担当してきました。

これらの事業を基盤としながら、現在は新たな柱としてソーシャルビジネスにも取り組んでいます。社会課題を支援で終わらせるのではなく、事業として成立させ、継続できる形をつくることを目指しています。

――ソーシャルビジネスに取り組む背景を教えてください。

ロケーションコーディネートの仕事では、撮影のために全国さまざまな地域を回ります。その中で、地域には魅力的な場所や取り組みが数多くある一方で、それが十分に知られていないという現実を強く感じるようになりました。

撮影の下調べで良い素材があるのに使われない場面に何度も出会いましたが、これは個々の地域や団体の問題ではなく、情報が届く仕組みそのものに課題があるのではないかと思いました。そうした気づきが、ソーシャルビジネスへと関心を持つきっかけになっています。

異業種から事業の世界へ

――これまでのキャリアについて教えてください。

実は、もともとは医療職として働いていました。その後、個人事業主としてホームページ制作を始めたのですが、当時はホームページを持っていない企業も多く、情報発信が十分にできていない状況でした。

地域で仕事をする中で、情報を発信できないことがそのまま機会の損失につながっている現実を目の当たりにしました。自分の仕事を通じて、その状況を少しでも変えられていると感じたことが、事業を続ける原動力になっていったと思います。

――法人化に至った経緯を教えてください。

個人事業主として活動を続ける中で、大手企業との仕事をきっかけに活動の幅が広がっていきました。そこでより本格的に事業として取り組むためには組織としての基盤が必要だと考え、法人化を決断しました。

組織運営と人との向き合い方

――組織づくりで意識していることを教えてください。

会社として細かく指示を出すことはあまりしていません。小さな組織だからこそ、スタッフ一人ひとりが自分で考え、動くことが大切だと考えています。

ただし、セミナーや講演会、交流会などに参加し、人脈や視野を広げることは勧めています。

近すぎず、遠すぎない距離感を意識し、あえて少し緩さのある環境をつくることで、自主的な行動が生まれやすくなると思っています。

――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。

こちらから何かを強く求めるというよりも、自分自身で気づき、動ける人と一緒に仕事ができればと思っています。社員というよりも、仲間として同じ方向を向いて進んでいける関係が理想です。

社会課題を“つなぐ”未来へ

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

基本的には自宅でゆっくり過ごす時間を大切にしています。動画配信サービスで番組を観たり、朝にウォーキングをしたりすることが多いですね。特に、討論形式の番組を観るのが好きで、さまざまな意見に触れることで、自分の考えを整理する時間にもなっています。

仕事では多くの情報や課題に向き合うため、意識的に頭を切り替える時間をつくることで、改めて冷静に物事を考えられるようになります。そうした日常の積み重ねが、事業や判断にも良い影響を与えていると感じています。

――影響を受けた言葉や考え方はありますか。

新渡戸稲造の「願わくは我が大洋の橋とならん」という言葉です。人と人、組織と組織をつなぎ、その結果として多くの人が幸せになる。その“橋”のような存在でありたいという思いは、今の仕事にも通じています。

――今後、力を入れていきたいことを教えてください。

まずは、ソーシャルビジネスという考え方そのものを広げていきたいです。

身の回りには多くの課題がありますが、それが課題として認識されていないケースも少なくありません。そこで当社では現在、ソーシャルビジネスに取り組む団体同士をつなぐデータベースサイトを立ち上げています。認知を広げ、支援したい人と活動している人を結びつけることで、結果として一人でも多くの人が救われる仕組みをつくっていきたいです。

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