挑戦を続ける現役ファイターが切り拓く新時代──「タイヤファイト」で日本を元気にする格闘技経営
格闘技ジム3店舗とスタジオ2店舗を展開し、現役の総合格闘家としても挑戦を続けるキングダムエルガイツ代表・入江秀忠氏。プレハブ道場からスタートし、世界王者級の選手に一本勝ちした経験を持ちながら、これまで一度も赤字を出さずに事業を成長させてきました。その根底にあるのは「日本を元気にしたい」という強い使命感です。新たな競技コンテンツ「タイヤファイト」の全国展開や、仲間とともに挑戦の文化を広げる取り組みなど、入江氏の活動は格闘技の枠を超えて広がり続けています。本記事では、事業の現在地やキャリアの背景、組織づくりへのこだわり、そして未来への展望について伺いました。
目次
挑戦を体現するジムづくり──現役格闘家として伝えたい強さの価値
現在展開している事業内容と、その特徴について教えてください。
私は現在、格闘技ジム3店舗とスタジオ2店舗の計5店舗を運営しています。経験者だけでなく、初心者や運動習慣をつくりたい方まで、誰でも挑戦しやすい“開かれたジム”であることを大切にしています。格闘技というと敷居が高い印象を持たれがちですが、私がつくりたいのは、強さを求める人だけではなく、挑戦する楽しさや成長する喜びを味わえる場所です。技術を磨くことはもちろん、仲間と励まし合いながら続けられる環境づくりを心がけています。
私は総合格闘家として長く活動してきました。チャンピオンベルトを3本獲得し、特に忘れられないのは、世界最高峰団体UFCで三度王者となり殿堂入りした選手に一本勝ちした試合です。相手は身長188cm・体重120kg超の無差別級ファイターで、私との体重差は約30kg。それでも勝てたのは、体格差を埋めるための技術と戦略を徹底的に磨いてきたからだと感じています。格闘技は体の大きさだけで勝敗が決まらず、強みの活かし方で戦い方が変わる競技です。
現役を続けている理由と、ジム運営とのつながりを教えてください。
私は現在も現役で、2025年6月26日の世界格闘技の日に、偉大なアントニオ猪木対モハメッド・アリの半世紀前の再現ルールで試合をやりました。今年も同日に、同ルールで再びリングに上がることが決まっています。
現役を続ける理由は、言葉ではなく姿勢で示したいからです。挑戦し続ける姿を見せることで、会員さんや選手に「自分も頑張っていい」と思ってもらえるはずです。
最近はYouTuber・コムドットさんから撮影依頼を受けるなど、エンタメとしての格闘技の力も実感しています。ジムでは、強さだけでなく“挑戦する心”を育てられる場所であり続けたいと考えています。
大相撲から総合格闘技へ──“世界一”を追い続けた私のキャリアの軌跡
格闘技を始める前のキャリアについて教えてください。
私のキャリアは、一般的な格闘家とは少し違う形で始まりました。大学へ進学する前、18歳で大相撲に入門しました。しかし首を痛めて休業し、そのまま引退することになりました。その後、日本大学相撲部から声をかけてもらい進学が決まり、舞の海関をはじめ多くの先輩方に恵まれ、人との縁がいかに自分を支えてくれるかを強く感じた時期でもありました。
そこから格闘技へ進まれた理由は何でしょうか。
正直に言えば、相撲があまり好きではありませんでした。当時は130kgあり、体重を落としたいと思ったのも理由の一つですし、格闘技のほうがモテそうだという若さ特有の気持ちもありました。ただ、本当の転機は、世界最強と呼ばれたヒクソン・グレイシーの存在です。「世界一に挑みたい」と思い、格闘技の世界へ飛び込みました。入門して7ヶ月で全日本王者になれたことで、この競技は自分に合っていると確信しました。
経営者になったきっかけを教えてください。
格闘技を始めた後、私はUWF直系団体、キングダムに入団しましたが、入団してすぐ団体が崩壊しました。練習場所も仲間も失い、残ったのは私についてきてくれた数人のアマチュア選手だけ。その時、「自分が場所を作らなければ、誰も継続できない」と感じ、それが経営のスタートでした。こうして自主団体『キングダムエルガイツ』を立ち上げました。
経営で大切にしている価値観はありますか。
私は“ハードよりソフト”を重視しています。最初の道場はプレハブでしたが、中身さえ本物なら問題ない。技術、情熱、人への向き合い方が最も重要です。こうした積み重ねの結果、これまでに世界チャンピオンを含む5人の王者を育ててきました。どんな状況でも諦めず、前へ進む姿勢こそ、私を大きく成長させてくれたものだと感じています。
仲間を育てる組織づくり──人として向き合うコミュニティの在り方
ジム運営において、選手やスタッフとの関わりで大切にしていることは何でしょうか。
私が最も重視しているのは、強さや実績の前にまず「人として向き合う」という姿勢です。格闘技の現場は厳しい世界ですが、その厳しさを押しつけるだけでは誰もついてきません。私は大相撲、大学相撲、総合格闘技と、常に上下関係の厳しい環境で生きてきました。その経験があるからこそ、相手を叱る前に理解しようとする姿勢が欠かせないと感じています。ジムに来る人は皆、異なる背景を持っています。強さを求める人、ダイエット目的の人、人生の再挑戦を目指す人。私はどの目的であっても対等に尊重し、同じように応援したいと思っています。格闘技が教えてくれるのは技術だけでなく、“挑戦する姿勢”であり、その価値に優劣はありません。
コミュニケーションで意識していることはありますか。
私は自分の弱さも含めて見せることを大切にしています。代表だからといって強がり続ける必要はありません。現役の格闘家としてリングに立ち続ける自分だからこそ、悩みや葛藤を隠さないことで、選手やスタッフが心を開きやすくなると感じています。また、選手が抱える不安や焦りを理解できるのも、私自身が今も挑戦を続けているからこそです。スタッフとは立場を超えた「仲間」として向き合い、それぞれの長所が活きる環境づくりを心がけています。私はこれまで多くの人に助けられてきました。その恩を返すように、今度は仲間が輝ける舞台をつくることが自分の役割だと思っています。
組織としてどのような雰囲気を目指していますか。
格闘技ジムと聞くと怖いイメージを持たれることもありますが、私がつくりたいのは「誰でも挑戦できる温かい場所」です。強くなるためだけの場ではなく、人生を立て直したい人、新しい自分を見つけたい人も受け入れられるコミュニティを目指しています。実際に、これまでジムからは5人のチャンピオンが生まれ、選手同士の結束も強く育っています。技術だけでなく、気持ちの面でも支え合える組織づくりこそ、私に与えられた使命だと思っています。
日本を元気にする格闘技へ──タイヤファイトが拓く未来構想
今後の事業展開として、どのような未来を描いていますか。
私がこれから特に力を入れていきたいのは、ジムの拡大以上に「タイヤファイト」を全国へ広げることです。タイヤファイトは一見すると激しい競技ですが、その本質は“自分と向き合う挑戦”です。恐怖や緊張を超える経験は、人を前向きにし、人生を押し上げる力になります。私はこの競技を通じて、全国の人に「挑戦の楽しさ」を届け、日本全体を元気にしたいと本気で考えています。タイヤファイトは格闘技の枠を超えた“人生の起爆剤”になると確信しています。
ブレイキングダウンや他団体との連携についてはどう考えていますか。
すでにいくつか交流があり、向こうの選手がタイヤファイトに参加したり、主催者へ直接挨拶に伺ったりと動きは始まっています。相性が良いと感じていますし、タイミング次第では大きな展開に発展する可能性もあります。ただし私は、タイヤファイトを“安売り”するつもりはありません。寄りかかるのではなく、対等に価値を高め合える関係が理想です。最終的にはRIZINのような大舞台で対抗戦を実現し、日本中を熱くできれば最高だと思っています。
代表個人としての「人生の目標」を教えてください。
私が最終的に成し遂げたいのは「日本を元気にすること」です。タイヤファイトも、ジムも、格闘技そのものも、そのための手段にすぎません。全国には、挑戦したいのに一歩踏み出せずにいる人、自信を失った人、経済的に苦しんでいる人がたくさんいます。私は、そういう人たちがもう一度立ち上がれる力を格闘技でつくりたい。全国には仲間がいて、各地にチャンピオンがいます。彼らと一緒に、日本の底上げにつながる活動を死ぬまでに必ずやり切りたい――それが私の使命です。

挑戦が私のリフレッシュ──心を整え、走り続けるための習慣
多忙な毎日の中で、どのようにリフレッシュしていますか。
私はあまり「休む」という感覚がなく、現役の格闘家としても経営者としても常に動き続けています。その中で一番のリフレッシュになっているのは、挑戦そのものです。何かに向き合い、積み重ねていく時間こそが私の心を整えてくれます。また、タイヤファイトを通じて全国に仲間ができ、彼らと語り合う時間が大きな活力になっています。日本を元気にするために一緒に動く仲間の存在は、何よりのエネルギーです。
精神面で大切にしている習慣はありますか。
私が軸にしているのは「誠実であること」です。人を裏切らず、迷惑をかけず、どんな困難にも真正面から向き合う。相撲の世界や団体の倒産など多くの試練がありましたが、諦めずに歩んできた自分を誇りに思います。そして、どんな挑戦も最後に決めるのは“心”です。
だからこそ私は常に心をフラットに保ち、日本を元気にするという大きな目標に向かって、これからも挑戦を続けていきたいと思っています。
キングダムエルガイツ
- 事業内容
- ・総合格闘技ジム