本質的な改善を追い求めて──株式会社Radicia・本間玲偉が描く、根本から人を変える整体のかたち
株式会社Radicia 代表取締役 本間 玲偉氏
困っている身体を、本質から改善する。株式会社Radiciaは、整体事業を軸に、教育事業や企業向けの健康支援まで幅広く展開しています。代表の本間玲偉氏は、「表面的ではなく、根本的に良くすること」を軸に、施術・教育・経営すべてに向き合ってきました。本記事では、現在の事業内容や経営に至った背景、組織づくりの考え方、そして今後の展望について伺いました。
本質的改善を軸に広がる事業展開
――現在の事業内容と、その特徴について教えてください。
私の会社では、整体事業がメインになります。私自身もプレイヤーとして施術に立ち、スタッフもプレイヤーとして現場に立っています。「身体で困っている人を直す」というのが一番の軸です。
ただ単にその場で楽になる、気持ちよくなるということではなく、その方の生活背景や習慣、これまでの経緯まで含めて考えながら施術を行っています。痛みや不調というのは結果として出ているものであって、原因は別のところにあることが多いです。そこを見極めていくことが、私たちの役割だと思っています。
ただ、私一人、あるいは少人数だけではどうしても限界があります。そこで教育事業にも力を入れています。同じような職種の方々に向けてセミナーを実施し、より正しく直せる人を増やしていきたいと考えています。技術だけでなく、「なぜそう判断するのか」という思考の部分を共有することを大切にしています。
さらに、企業様に向けて福利厚生の一環として施術を提供していただけないかというご提案をしたり、企業に出向いて健康増進セミナーを行ったりもしています。身体の不調は個人の問題にとどまらず、企業全体のパフォーマンスにも関わるものです。従業員の方が健康でいることが、結果的に企業の力になると考えています。そうした視点から事業を広げています。
――なぜ事業を広げようと思われたのでしょうか。
最初は、私自身が一人で直せればそれでいいと思っていました。でも、私一人では一日に診られる人数が限られます。困っている人はもっと多いのに、届かないという現実がありました。
それならば、いろんな人が間接的に私の脳みそを使って直していけるような形を作れないかと考えました。私が持っている考え方や判断基準を共有し、それを再現できる人を増やすことができれば、より多くの方を救えるのではないかと思ったんです。
考え方や判断基準を共有することで、本質的な改善ができる人を増やす。それが事業を大きくしようと思った理由ですし、今も変わらない原動力になっています。
強制ではなく必然だった経営者への道
――経営者になられたきっかけについて教えてください。
今のお店は、前のオーナーさんから受け継いだ形です。ある意味、流れの中で経営者になりました。ただ、もともと経営者になりたいという思いはありました。
私は性格的に、人の指示で動くよりも、自分で意思決定をして戦略を立てて行動していきたいタイプでした。与えられた役割をきちんと果たすことも大切ですが、それ以上に「どうすればもっと良くなるのか」を自分で考えたいという思いが強かったんです。ちょうどそのタイミングで店舗を受け継ぐ話をいただき、自然と今の立場になりました。
それまでは病院に勤め、その後に現在の店舗で院長・店長として勤務していました。その中で「ぜひ上の立場でやってください」と言っていただき、引き継ぐ形になりました。突然大きな決断を迫られたというよりも、これまで積み重ねてきたことの延長線上に、今の立場があったという感覚です。
――経営の判断軸となっている価値観はありますか。
一番は「本質的な改善」です。今だけ変わるのか、それとも根本的に良い方向に進んでいくのか。これはお客様の選別から経営判断に至るまで、すべてにおいて考えています。
売上や数字だけを追うのではなく、その選択が本当に長期的にプラスになるのかどうかを基準にしています。表面的な変化ではなく、その人の人生がより良い方向に進むかどうか。そこを判断軸にしています。
――キャリアの中でのターニングポイントはありましたか。
大きく二つあります。
一つは専門学校時代の実習先の先生です。その方は「表面的に直す」のではなく、「どう考えればこの人は改善するのか」という思考を教えてくれました。ただ技術を学ぶのではなく、思考のプロセスを学んだことで、同じ施術でも結果が大きく変わることを実感しました。他の人と比べて圧倒的に深く考えている姿に衝撃を受け、私の仕事観が大きく変わりました。
もう一人は就職先の上司です。その方は技術のうまさ以上に、「なぜそれを選んだのか」を重視する方でした。自分で考え、選択し、行動する。その積み重ねが成長につながると教えていただきました。今、私が教育する立場になっても、その姿勢は受け継いでいますし、常に自分自身にも問い続けています。
否定しない組織づくりと「余白」のある人材
――現在の組織体制について教えてください。
今は業務委託の方が1名在籍しています。まだ大きな組織ではありませんが、その分、一人ひとりの役割や思考がそのまま組織の質に直結する環境です。人数が少ないからこそ、考え方の共有や価値観のすり合わせは特に大切にしています。
――組織運営で意識していることはありますか。
すぐに答えを教えないことです。質問されたときも、まずは考える時間を設けます。そして答えが出たら答え合わせをし、私の考え方を付け加えます。
施術の現場では、状況が毎回違います。同じ症状に見えても背景が違うことが多いです。だからこそ、「どう考えたのか」というプロセスが重要になります。答えだけを渡してしまうと、思考が育ちません。
コミュニケーションで一番大事にしているのは、否定しないことです。せっかく考えて出した答えを「違う」と否定してしまうと、考えずに答えを聞く人が育ってしまいます。まずは肯定する。そのうえで、どうすればより良い答えに近づくかを一緒に考えます。
どうしても答えが出ないときも、答えそのものではなく「考え方の順番」を教えるようにしています。どこから情報を拾い、どう整理し、どんな仮説を立てるのか。その流れを理解すれば、応用が効くようになります。
――採用で重視している点はありますか。
二つあります。一つは固定概念がないこと。もう一つは「余白がある」ことです。
例えば、ヘルニアだと言われたらヘルニアだと決めつけてしまうと、本当の原因を見逃すことがあります。症状を一から聞き取り、検査し、固定概念を持たずに考えられる人がいいですね。「こうに違いない」と思い込まず、常に別の可能性を探れる人は強いです。
余白というのは、学び続けられる余地があることです。経験を重ねると、自分のやり方に自信が出てきます。それ自体は悪いことではありませんが、新しい考えを受け入れられなくなると成長が止まります。自分の考えを持ちながらも、柔軟に取り入れられる。そういう人と一緒に働きたいと思っています。
山形への挑戦とAI事業の展開
――今後の展望について教えてください。
まずは、地元である山形にお店を作ることです。私は東北出身で、現在は関東にいますが、学生の頃から地元に整体をオープンしたいと思ってきました。自分を育ててくれた土地に、技術や考え方を還元したいという思いがあります。そこに私自身が立ち、直接お客様と向き合いながら、本質的な改善を届けていきたいと考えています。
山形で展開できれば、これまで培ってきた施術の考え方や教育の仕組みも、より広く活かせるはずです。単に店舗を増やすというよりも、私の軸である「根本から良くする」という価値観を形にしていく一歩だと思っています。
そして、2月からAI事業も始めました。詳細はここでは控えますが、これまでの事業とは異なる領域に挑戦しています。新しい分野に取り組むことで、自分自身の視野も広がりますし、既存事業にも良い影響が出ると考えています。こちらも伸ばしていきたいと思っています。
――課題とその対策はありますか。
人に振ることを覚えることです。これまで自分でやった方が早いという感覚が強く、なかなか任せることができませんでした。特にこれまでは自分より上の立場の方のもとで働くことが多く、仕事を受け取る側だったので、渡す側に回る経験が少なかったんです。
しかし、事業を大きくするには、再現性の高い仕組みが必要です。自分ができることを言語化し、誰がやっても一定の質を保てる形にすることが求められます。誰に振り、どう再現するか。その仕組みづくりが今の課題であり、次のステージに進むためのテーマだと感じています。
――業界の今後についてどう見ていますか。
表面的なマッサージだけでは通用しなくなると思います。SNSでも本質的な改善の重要性が発信されていますし、利用者側の知識も高まっています。
運動や生活習慣も含めてゴールを設定し、順番を追って進める。そうした取り組みが当たり前になっていくはずですし、そうなっていくべきだと思っています。私自身もその流れをつくる一人として、常に思考を止めず、進化し続けたいと考えています。
思考を鍛え続ける人生と、サッカーの時間
――尊敬されている方はいらっしゃいますか。
専門学校時代の先生と、最初の就職先の上司です。二人とも「どう思考するか」を教えてくれました。技術や知識そのものよりも、その裏にある考え方や判断のプロセスを重視する姿勢を間近で見られたことが、今の自分の土台になっています。
効果や成果が出るだけでなく、周囲からもリスペクトされる姿を見て、本当に実力のある人とはこういう人なんだと感じました。今でもその背中を思い出しながら、自分自身もそうありたいと考えていますし、感謝の気持ちは変わりません。
――リフレッシュ方法を教えてください。
サッカーをします。今は公園でボールを蹴る程度ですが、山形に戻ったら以前所属していたチームにまた入ろうと思っています。無心でボールを追いかける時間は、頭を整理する時間にもなりますし、自分の原点に戻れる感覚があります。身体を動かす時間は、私にとって大事な時間です。
本質を見極め、根本から変えていく。その姿勢は施術だけでなく、経営や人生そのものにも通じています。株式会社Radiciaの挑戦は、これからも続いていきます。