「点数」だけでは測れない力を育てる。4歳から10歳に届けるSTEAM教育と、学びを自由にする挑戦

株式会社warmoria 代表取締役 平野 智史 氏

総合教育サービスを掲げ、STEAM教育を軸に学童・習い事・個別指導、さらに出張授業や講演まで幅広く展開する平野氏。2025年5月に独立し、まだ創業1年目ながら、既存の学習塾の枠組みに収まりきらない教育の可能性を広げようとしています。取材では、STEAM教育をどう捉えているのか、なぜ独立に踏み切ったのか、そして今後どのように社会へ浸透させていきたいのかについて伺いました。

届けたいのは、低年齢向けのSTEAM教育という選択肢

——現在の事業内容について教えてください。

一応、総合教育サービスとして大きく三つの軸でやっています。ひとつ目がSTEAM教育に関する教育教室です。学童や習い事が含まれています。ふたつ目が学習塾の運営、個別指導の運営。三つ目が、STEAM教育を広めるための出張授業や各所での講演などの活動です。

メイン事業としては、最初にお伝えしたSTEAM教育に関するブランドの運営が一番大きいです。小学生の子どもたちが、理科実験やプログラミング、算数的な力などを、自分に合った形で学べる場をつくることが中心になっています。

また、習い事だけではなく、学童の中に教育を取り入れる取り組みも進めています。学童はただ遊ぶだけではなく、その中に学びを入れていこうという考え方です。

——平野さんが考えるSTEAM教育とは、どのようなものですか。

STEAM教育は、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アーツ、マスマティクスを横断する考え方です。学校でも取り入れられていますが、私たちが重視しているのは、理系寄りの知識だけではありません。

STEAM教育の考え方は、教科を横断して、自分で調べて、自分でまとめて、自分で仮説を立てて、自分で発表していく流れを早い時期から経験していくことだと思っています。社会に出ると、そうした力が必要になります。なので、将来的に役立つ主体性やプレゼン能力、発表する力をつけていく教育の形だと捉えています。

また、どうしてもプログラミングなどの印象から理系の教育だと思われがちですが、「A」はアートであり、リベラルアーツの考え方にもつながる部分があります。単にペーパーテストの点数を上げるのではなく、横断的に考える力を育てることを大切にしています。

——対象年齢や提供形態についても教えてください。

弊社は完全に低年齢向けで、メインで見ているのは4歳から10歳です。いわゆる早期教育の中に、STEAMの考え方を取り入れていこうという活動を広げています。

4歳くらいのお子さんもいるので、そこは完全にオフラインです。一方で、オンラインについては別軸で考えています。こちらはもっと上の年齢層である中高生などをターゲットにし、オンライン展開として広げている状況です。

もともとはずっとオフライン中心でしたが、独立後の流れの中で、オンラインの可能性がだいぶ見えてきました。

「もっと自由に、もっと速く」独立の背景にあった教育への違和感

——経営者になられたきっかけを教えてください。

独立したのは2025年5月で、まだ1年目です。もともと独立志向はあったのですが、会社員としてやっていました。

ただ、STEAM教育という考え方や教育の形を、もっと自由にしたい、スピード感を持っていろいろやりたいと思ったときに、このまま会社員のままだと、いろいろ確認が必要になって動きづらいというジレンマがありました。

そこで、自分で独立して、自分がやりたい道に進んでいこうと思ったのが一番のきっかけです。

元々やっていた事業は、親会社にあたる会社の中で私が事業責任者のような形で担っていたもので、それを独立させたイメージです。もともとの会社が株を持っている形なので、関係性としては円満に進められています。

——今の事業につながる経験について教えてください。

学習塾の業界には10年以上いて、その後、デジタルアート集団のチームラボで2年ほど経験をさせていただきました。そこでも幼児教育を少し意識した仕事をしていました。

学習塾業界では、成績を上げる、合格実績を出すといった数字中心の考え方に触れる中で、それが本当に子どものためになるのかという疑問を感じることがありました。

また、チームラボでの自由度や発想に触れたことも大きかったです。その両方の経験を掛け合わせて、「学びをもっと楽しく、もっと自由にしたい」という思いが今の事業につながっています。

——STEAM教育に強く価値を感じるようになった背景は何ですか。

きっかけというより、もともと自分自身がガツガツ勉強することに対して疑問を感じていたのが大きいです。学習塾業界で7、8年やっていた中でも、詰め込み教育にずっと違和感がありました。

詰め込まれた子たちが中学・高校に行ったときに、自分で勉強できなくなってしまう場面も見てきました。

その後、幼児教育や0〜2歳の発達過程を見て学ぶ経験があり、ちょうど自分の子どもも1〜3歳くらいでした。

子どもの発達を見ている中で、必要なのは詰め込みよりも、安心できる空間や、積極的でいられること、自由に発想していいという安心感も含めた場の提供だと強く感じました。それが今の活動につながっています。

創業1年目の組織づくり。少人数の中核と大きな現場をどう回すか

——現在の組織体制について教えてください。

経営は私ひとりです。正社員が2名、アルバイトが25名くらいの体制です。規模感としては大きめで、それぞれの現場にアルバイトを配置していく形になっています。

正社員2名のうち1名は親会社からの転籍ですが、もう1名は完全に新規採用で来ていただいた方です。創業1年目ではありますが、現場を支える人員体制はしっかり必要なので、その点は意識して運営しています。

——独立後、印象に残っている出来事や変化はありますか。

人のご縁がすごく大きいと感じています。代表になったことで、いろいろな方と話ができるようになり、活動の幅が広がりました。

独立前は、持っていた事業の範囲が地域の中に限られていたのですが、現在はオンラインで全国の方からお問い合わせをいただけるようになってきました。

大学受験対策のほうでは、岡山、大阪、兵庫、東京都内の端のほうなど、本当に各地から「対応してほしい」と言っていただけるようになりました。

そこからオンラインのほうにも舵を切って動けるようになってきたのは、大きな展開だったと思っています。独立を通じて、人とのつながりがより広がってきた実感があります。

3年後は売上4倍へ。広がる認知の一方で、評価の難しさと普及の壁がある

——今後の展望を教えてください。

このSTEAM教育という活動を、より多くの方に伝えていきたいと思っています。ブランド名そのものを広げるというより、まずはSTEAM教育やその教育の概念を知ってもらうことが大事だと考えています。

3年後の売上イメージとしては、今期を1としたら4を目指す計画です。ただ、そのためには認知を広げるだけでなく、価値をどう伝えるかをきちんと整えていかないと難しいとも感じています。

最終的な姿としては、「会社をこうしたい」というより、STEAM教育という考え方がもっとメジャーになっていく流れの中で、その掘り下げをしっかりやりながら前を走っていたいという感覚です。

その過程で、ブランドとして全国に広げる方法については、FCなのか、別の形なのか、まだ検討している段階です。

——いま直面している課題は何でしょうか。

一番大きいのは、STEAM教育や非認知能力の評価軸がまだ明確ではないことです。学習塾なら点数が上がれば満足度も上がるというわかりやすさがありますが、非認知能力は「子どもが成長しました」「親から見てこう変わりました」といった主観的な実感で語られる部分が多いです。

だからこそ、保護者の方に対して、どう価値を見せていくかが大きな課題になっています。ここを解決しないと、3年後に4倍という目標に向かっていくのは難しいと思っています。

まだ活動を始めて5年ほどなので、これまでやってきた子たちがどんな成果を出し始めるかという「出口」の部分も、これからより見えてくる段階だと考えています。

——これから挑戦したいことを教えてください。

STEAM教育自体は、自治体や国も含めて先導して動いているので、概念としては広がってきている感覚があります。ただ、民間の小さな企業として多くの子どもに届けようとすると、小学校・中学校との接続をどうつくるかが大きな課題です。そこが一番広がる場所だと思っています。

いまSTEAM教育にお金をかけてくださる方は、ほかの習い事や活動をやっている上で、さらに選んでくださっているケースも多いです。つまり、最初の選択肢になっていない。そこを変えていきたいと思っています。

そのために、出張ワークショップを児童館や自治体の子ども会などで行う活動もしています。そうした場は無料で参加できることも多く、そこで私たちの考え方を伝えられる機会になります。今後、小学校や中学校にもっと入り込めるようになれば、普及はより加速すると感じています。

子どもと過ごす時間が、仕事の視点を深くしてくれる

——お忙しい中でどのようにリフレッシュされていますか。

小3、小1、3歳の3人の子どもがいます。休みの日はほぼ子どもたちと遊ぶ時間になっています。休みのときは「パパ」として過ごすことが多いので、一緒に遊んだり、出かけたりしています。

こうした子どもとの時間は、仕事にもつながっていると感じますね。特に、3歳の子は1週間でもかなり変化するので、見ていて「この時期の発達ってこんなに変わるんだ」と感じることが多いです。そういう変化を見ることが、自分の仕事の視点にも自然につながっています。

子どもたちの発達を日常の中で感じられること自体が、今やっている低年齢向けの教育を考える上で大きいと思っています。

「悩んでいるなら進んだ方が面白い」――起業を考える人へのメッセージ

——最後に、これから起業しようとする方や経営者の方へメッセージをお願いします。

私は起業したばかりなので、まだわからないことも多いですが、この半年くらいはすごく忙しい一方で、やりたいことがやれている実感があります。自分で考えたことがどんどんアイデアになっていくのは、非常に面白い経験です。

悩んでいる方がいたら、どんどん進んでもらいたいなと思います。そこから生まれていくものや、人とのつながり、広がっていくことがたくさんあるので、悩んでいるなら進んだ方が面白い、ということは伝えたいです。

——学校や企業などに向けて、御社のサービスの有益性をどう伝えたいですか。

小学校に対しては、STEAMという言葉そのものよりも、探究活動の文脈でお役に立てる部分が大きいと思っています。小学校の先生方は、プログラミングが始まったけれど何をしていいかわからない、という悩みを持たれていることがあると聞きます。

私たちは、プログラミングや理科実験などを総合的にまとめた、探究活動としてのパッケージを持っています。

学力に関係なく、いろいろな子どもたちが楽しめるものを提供できるという自負があります。そうした形で、学校や地域の場に対しても、もっと多くの場所で提供していきたいと考えています。

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