食品ロス削減の最前線へ――「TABETE」が描く持続可能な社会と挑戦

株式会社コークッキング 代表取締役 川越 一磨氏

食品ロスという社会課題に対し、テクノロジーと仕組みで向き合う株式会社コークッキング。主力サービスである「TABETE」は、消費期限が迫る食品とユーザーをつなぐことで、無駄を価値へと転換する取り組みとして注目を集めています。本記事では、同社代表の川越一磨氏に、事業の背景や強み、今後の展望について伺いました。

食品ロスを“レスキュー”する仕組みとは

――現在の事業内容について教えてください。

当社は2015年12月に創業し、現在は11期目を迎えています。主に展開しているのが「TABETE」というシェアリングサービスです。食品ロス削減を大きなテーマとしており、特に中食・外食・小売といったサプライチェーンの最下流、いわゆる消費期限が短い食品にフォーカスしています。

当日中に食べる必要がある商品など、廃棄されてしまう可能性のある食品を一般ユーザーに“レスキュー”してもらう仕組みで、店舗とユーザーをマッチングするサービスです。

――この事業を始めたきっかけを教えてください。

もともと飲食店での勤務経験があり、現場で大量の食品が廃棄される光景を目の当たりにしてきました。手間をかけて作った料理が手つかずで戻ってくることもあり、「なぜこんなにロスが出てしまうのか」と強い疑問を抱いていました。

その後、飲食企業に就職して本部業務にも携わる中で、やはり食べ残しや廃棄の多さを実感し、何か解決できないかと考えるようになりました。海外ではすでに同様のサービスが存在していたため、日本版をつくりたいという思いから構想を始め、2018年にサービスを開始しました。

先行者として築いた強みと社会的意義

――御社の強みはどのような点にありますか。

まず、いわゆるファーストペンギンとしてこの領域にいち早く参入したことが大きいです。サービスの歴が長く、先行者メリットがあります。

また、「購入」ではなく「レスキュー」という言葉を使い続けてきた点も特徴です。単なる売買ではなく、食品ロス削減という社会的意義を伴う行動としてユーザーに伝えてきました。この考え方が広がり、社会的認知の形成にも寄与してきたと感じています。

――社会貢献性の高い取り組みについてどう考えていますか。

「誰も損をしない仕組み」をつくることが重要だと考えています。店舗は廃棄を減らせ、ユーザーはお得に商品を購入でき、結果として社会全体のロスも減る。こうした三方良しの構造をいかに実現するかを常に意識しています。

私たちはソーシャルインパクトを最大化することを重視しており、その観点で経営判断を行っています。

事業拡張と新たな取り組み

――「TABETE」以外の展開について教えてください。

「レスキューデリ」という取り組みでは、商業施設内で売れ残った商品を従業員向けに販売しています。これは、施設内のロス削減を目的とした仕組みです。

また「レスキュー直売所」では、農産物の余剰分を集めて販売しています。鉄道会社やJAなどと連携し、余った農産物を輸送して都市部で販売する取り組みも行っています。

――今後の展望について教えてください。

現在は「余ったものをつなぐ」ことが中心ですが、今後は「そもそも余らせない仕組み」に踏み込んでいきたいと考えています。

需要予測だけでなく、通常販売を最適化することでロス自体を減らすような仕組みづくりに取り組みたい。より上流の課題に向き合うフェーズに進んでいきたいと考えています。

組織づくりの軸と大切にしている価値観

――経営の軸となる価値観を教えてください。

大切にしているのは「誰も損をしない」という考え方です。ビジネスではどうしても誰かに負担が偏るケースもありますが、できるだけステークホルダー全体にとって良い形を追求しています。

――社内コミュニケーションで意識していることはありますか。

リモートワークが多いため、Slack(スラック)などでのコミュニケーション頻度を高めることを意識しています。ビジネスサイドのメンバーとは毎朝短いミーティングを行い、雑談も含めてコミュニケーションを取るようにしています。

また、週に1回は全体ミーティングを行い、オンラインでも顔を合わせる機会を設けています。

――採用で重視しているポイントは何でしょうか。

ビジョンへの共感が最も重要です。食品ロスという課題に対して同じ思いを持てるかどうか。加えて、既存メンバーとの相性も重視しています。一緒に働くメンバーが「この人と働きたい」と思えるかどうかを大切にしています。

直面する課題と向き合い方

――現在の課題について教えてください。

最大の課題は店舗数の拡大です。ユーザーは約125万人いる一方で、店舗数は約3,300店舗にとどまっており、明らかに供給が不足しています。

そのため営業活動や導入支援を進めていますが、中食業界はDXが進んでいないこともあり、デジタルサービスの導入には時間がかかる傾向があります。

――課題解決に向けてどのように取り組んでいますか。

店舗側にとってのメリットを丁寧に伝えることが重要です。PR効果や新規顧客獲得につながる点などを訴求しながら、少しずつ理解を広げています。

また、社会貢献だけでなくビジネスとして成立する形を提示することも不可欠だと考えています。

音楽とともに整える思考

――リフレッシュ方法について教えてください。

中学時代からトランペットを続けており、現在も吹奏楽団に所属しています。週に1回は活動に参加しており、音楽に触れる時間がリフレッシュになっています。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

当社は派手な事業ではありませんが、食品ロスという社会課題に真摯に向き合っています。この領域で社会をより良くしていくという思いは一貫しており、今後もソーシャルインパクトの最大化に取り組んでいきます。

応援してくださる方々への感謝を忘れず、これからも価値を生み出し続けていきたいと考えています。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。