無駄を価値に変え、人と社会を支える挑戦

株式会社final Stage 代表取締役 大海 賢太氏

株式会社final Stageは飲食事業、サービス事業、通信事業を通して食品ロスをはじめとする、世の中の様々な「無駄」を削減し、持続可能な社会を実現することを目指している会社です。父親が漁師をしている中で目の当たりにした現実が、事業立ち上げの原点でした。そこで生まれたのが、「売れないものを自分たちで供給できる場所をつくる」という発想です。本記事では代表の大海賢太氏に、現在の取り組みや経営の考え方、今後の展望について伺いました。

無駄を価値に変える経営

――会社を立ち上げた経緯と、現在の事業について教えてください。

きっかけは、コロナ禍で父が営む漁業の現場を見たことでした。市場が弱くなると魚が売れなくなり、魚をとっても安くしか買われない状況になります。それでも漁師は魚を取らないと生活できません。そこで、自分が供給できる場所をつくろうと思ったのが始まりでした。

最初は飲食から始めました。捨てられていたブリなどを買い取り、漬けにして販売していました。ただ、売れてもどうしても廃棄が出る部分があり、それでは意味がない、もったいないと感じたんです。もともと現場の仕事も考えていたので、そこを組み合わせる形にしました。若い時ってなかなかお金がないので、昼も夜もこちらで食事を出せるようにすれば、若い人材も集まりやすくなる。店で少し残ったものも現場で食べてもらえば、廃棄も減らせますし、世の中全体の無駄も少しは減らせる。スタートはそういう考えからでした。

会社を始める前から、現場もやっていくつもりでした。1年目は飲食を中心に動き、2年目から現場を本格的に稼働させています。今は飲食も現場も拡大していて、さらに大きくしていく段階に入っています。大きくなれば人も増えますし、仕入れられる量も増える。もともと廃棄される予定だったものを、より多く価値に変えられるようになるので、最後はそれを全国に展開していきたいと考えています。

人を大切にする経営観

――経営者になられた経緯を教えてください。

もともと一度、友達と会社を起こしたことがありました。しかし、うまくいかなかった経験があります。そのあと企業に勤めましたが、面接のときから「自分はいつか辞めます」と伝えていました。ずっとどこかの会社に属し続けるのは、自分の性格上難しいと思っていたからです。結果的に3年ほど勤めましたが、その経験は今の事業にも生きています。

前職では農業部門もあり、太陽光なども含めてさまざまな現場を見ました。その中で、曲がっているだけで安くなる野菜や、大量に捨てられていくものを見てきました。食べられるのに捨てられてしまう現実を見て、ずっともったいないと感じていたんです。当時はどうしようもできなかったことが、今の事業につながっています。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

私が一番大切にしているのは、一緒に働く仲間や出会う人たちです。お金ももちろん必要ですが、人を大切にできないと駄目だと思っています。関わる人が少しでも良くなるように、ということは常に考えています。どこにお金を使おうかとなったときってやはり「ご飯」だなと。食べることは誰にとっても大事です。だからこそ、そこを支えたいと思っています。周りにもそこを出さなければ、利益残るよねと。年間通したら大きな額になります。しかし、私はいりません。

あと、仕事はまず“信用”が大事で、お金はあとから付いてくると思っています。弊社では設定した金額以下でお仕事を受けることはまずありません。それは会社としての価値を下げることになるからです。その分、クオリティとしてはここまでやれます、ということをしっかり伝えています。

仲間と築く強い組織

――組織づくりや、社員との関わり方で大事にしていることは何でしょうか。

はじめの頃は売り上げもなかなか上がらない中で、それでもついてきてくれた仲間には感謝しかありません。労働時間も長いですし、土日休みでもない。普通なら辞めてもおかしくない状況だったと思います。それでも文句を言わずについてきてくれるのは、本当にすごいことだと思っています。

苦しい時期に泥水を飲んだ分、軌道に乗ったときの綺麗な水を私一人で飲もうとは思いません。利益を一人で取るやり方もあるとは思いますが、自分はそういう考えではありません。社員がしっかり報われた後で、自分のことを考えればいいと思っています。兄弟が各事業のリーダーを務めていますが、身内だから贔屓するのではなく、まずはリーダーである自分たちが一番泥水を飲めという考えです。

正社員でもアルバイトでも一人親方でも、関わり方が違うだけでみんな働く”仲間”だと思っています。たとえば、アルバイトの学生が就職するときにはスーツを買って渡したこともあります。子どもが生まれたと聞けば、おむつをサイズ違いでまとめて買うこともあります。そういう一つひとつは特別なことではなく、自分に関わる人には人生を楽しんでもらいたいという思いから自然にやっていることです。

現場では、人を育てるための工夫をしています。新しく来た人には、いきなり厳しい現場ではなく、少し軽い練習のような現場から入ってもらいます。畑違いの仕事に来た人は、何をするのか分からないだけでストレスや疲れを感じるものです。だから関係性をつくりながら、少しずつ慣れてもらうようにしています。ミスをしても、真面目にやって生まれたミスなら強く責めることはしません。一方で、手を抜いた仕事は許さない。常にお客様の目線に立ち、「自分だったらお金を出して頼みたいか」を考え、最後の仕上げをしています。仕上がりが汚ければやり直しです。その積み重ねが信頼になり、今の仕事はリピートにつながっています。

一次産業の未来を構築する

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

今後は、一次産業に関わる人たちの問題を解決できる企業になりたいと思っています。一次産業は一番大切な仕事なのに、きつい、稼げないというイメージから若い人が入ってこない現実があります。でも、本来はしっかりお金を残せる業種でもあるはずです。漁師はいなくなっているし、農家もそう。彼らが少なくなると、より色々なものが上がってきます。どれだけ作っても廃棄は出るので、そこをお金に変えられれば無駄がなくなります。良いものはこれまで通り出荷し、それ以外の価値がつきにくいものを自分たちが活用していく。そうやって底上げしていきたいです。

飲食店ではどうしても廃棄がでます。廃棄するとなると、処理するのに燃料も使います。本当にもったいないです。しかし、弊社では廃棄がでません。弊社の取り組みや実績を全国にも広げていきたいです。そうすれば廃棄はなくなりますので。

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

リフレッシュについては、そもそも仕事を仕事だと思っていません。毎日が休みでもあり、仕事でもある感覚です。家で一日ゆっくりするのは自分には無理で、そうしていたら駄目になると思っています。

あとはお酒が好きなので、飲むときはかなり飲みます。それが自分にとってはひとつのリフレッシュです。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。