文化と創造で地域を彩る――株式会社明日絵が描く「プリンセスの館」という新たな挑戦
株式会社明日絵 代表取締役 三城 誠子氏
株式会社明日絵は、デザインや企画制作を軸に、行政案件を中心とした地域活性やプロモーション支援を手がけてきた企業です。紙媒体の制作からスタートし、地域の魅力を引き出す企画提案や空間づくり、さらには美術館運営や映画関連の取り組みなど、多岐にわたる事業を展開しています。長年の経験をもとに、新たな挑戦として「プリンセスパーク倉敷」の構想を進める三城誠子氏。その歩みと現在の取り組みについて伺いました。
目次
行政とともに築いた企画力――地域の「足りない」を形にする
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社はデザイン会社ではありますが、単なる制作会社ではありません。お客様のやりたいことを丁寧にヒアリングし、それをどのように実現するかを考え、形にしていくところまで関わっています。
これまで主に手がけてきたのは、市町村や県・国といった行政案件です。スタートは要覧制作でした。これはいわば「街の会社案内」のようなもので、1年かけて地域を取材し、その魅力や課題を整理して制作します。
その中で見えてくるのが、その地域に「足りないもの」です。例えば、公園や観光資源、プロモーションの不足などに対して具体的な提案を行い、実際に形にしていく。単なるデザインではなく、企画から実現まで一貫して関わる点が当社の特徴です。
――御社の強みについて教えてください。
一番大切にしているのは「聞くこと」です。「Ask.a planning and design 」(プランやデザインを話し合い、一緒に考えましょう)という考え方を軸に、お客様の想いや課題を丁寧に受け止めています。その上で最適な形を提案することが、信頼につながってきました。
また、行政案件を長年手がけてきたことで、地域ごとの特性や課題を読み解く力が培われています。単なる表現ではなく、地域全体を見据えた提案ができることが強みです。
原点は幼少期の創作体験と出会い
――この仕事に就かれたきっかけを教えてください。
子どもの頃から絵を描くことが好きで、高校1年生のときにはすでにイラストの仕事をしていました。初めてお金をいただいて描いたのもその頃です。
また、中学生のときに出会った先生の影響も大きいです。その先生はレタリングが非常に上手で、フリーハンドで美しい文字を書かれていました。それに憧れて通信教育でレタリングを学び、そこからイラストやデザインの道へ進んでいきました。
――経営において大切にしている価値観は何でしょうか。
「諦めないこと」です。これまで多くの困難を経験してきました。社員が全員辞めてしまうような出来事や、事業が大きく揺らぐような状況もありました。
それでも続けてこられたのは、「諦めなかった」からだと思います。どんな状況でも前を向き続けることが重要だと感じています。
幾度もの困難を乗り越えてきた軌跡
――これまでのキャリアで印象的な出来事を教えてください。
美術館事業では、オープン直後に大きな問題が発生しました。本来想定していたコンテンツが使えなくなり、「幹」がない状態でスタートすることになりました。
通常であれば事業継続が難しい状況でしたが、別の要素を組み合わせながら少しずつ形を作っていきました。枝を伸ばすように新たな取り組みを積み重ね、事業を継続してきました。
――課題への向き合い方について教えてください。
現在では、課題が来ること自体を楽しめるようになっています。「どう解決するか」を考えることが面白く、むしろワクワクします。経験を重ねる中で、問題を前向きに捉えられるようになりました。
人を活かす組織づくり――「褒める」マネジメント
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在は約10名の体制で、外部スタッフとも連携しながら運営しています。コミュニケーションで意識しているのは「褒めること」です。
以前は厳しく指導することもありましたが、今はそれでは人は育たないと感じています。それぞれの良いところを見つけて伸ばすことを重視しています。できないことを無理に求めるのではなく、得意な部分を活かしてもらうことで、組織全体の力を高めています。
新たな挑戦「プリンセスパーク倉敷」
――今後の展望について教えてください。
現在取り組んでいる大きな挑戦が「プリンセスパーク倉敷」です。これまでの事業は、それぞれが枝のように広がってきました。その枝を一つにまとめ、「プリンセスの館」として新しい価値を提供していきたいと考えています。
小さなテーマパークのような形で、訪れる方に非日常の体験を提供する場をつくりたい。これまでの経験の集大成として取り組んでいます。
国際映画祭の受賞などのきっかけから、海外への展開や、次の映画制作のお話もあるので、多方面で地域に貢献していきたいです。
自然と向き合う時間が生むエネルギー
――リフレッシュ方法について教えてください。
DIYが趣味で、自宅のテラスを自分で作ったりしています。庭の手入れや草取りをすることで、土や風、太陽のエネルギーを感じています。
また、京都でのバスガイド活動も趣味として続けています。人と関わることや新しい発見が、自分自身のリフレッシュにつながっています。