AI時代のエンジニア組織を再定義する――ブレイブスタジオが描く「地方発」のものづくり

株式会社ブレイブスタジオ 代表取締役 西村 洵輝氏

株式会社ブレイブスタジオは、島根県を拠点とし、受託開発と自社サービスの両軸で事業を展開しているIT企業です。2018年の設立以降、東京一極集中が続く日本において、地方から価値を生み出す挑戦を続けています。本記事では、代表の西村洵輝氏に、創業の背景から事業の特徴、そしてAI時代における今後の展望などまで詳しく伺いました。

地方から新しい働き方と価値創出に挑む

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は2018年11月に設立し、現在は受託開発と自社サービスの2つを軸に事業を展開しています。

受託開発においての大きな特徴は、要求定義から参画できる点です。一般的には、お客様のなかでやりたいことが整理されてから要件定義に進むケースが多いのですが、当社では、まだ何を作るべきか分かっていないような段階からでもご一緒します。例えば「予算はあるものの、方向性が定まっていない」といったケースでも、お客様と対話しながら構想を具体化していくことが可能です。

そしてその後は設計、開発、試験、そして保守運用までを一貫して対応しており、プロジェクト全体を通じて伴走できる体制を整えています。この一貫性が、品質の担保やスムーズな運用につながっています。

もう一つの柱である自社サービスでは、システムの引き継ぎに関する課題を解決するAIソリューションを提供しています。システム開発の現場では、引き継ぎ不足によるトラブルや、ブラックボックス化による運用停止といった問題が頻繁に発生します。そうした課題に対し、ソースコードの解析やドキュメント生成、セキュリティチェックなどをAIで支援する仕組みを構築することで、システムの継続利用や品質維持を可能にしています。

――事業を始められた背景にはどのような想いがあったのでしょうか。

東京で働いていたころから、働き方に対する違和感がありました。特に満員電車などの環境はストレスが大きく、「別の働き方ができるのではないか」と考えるきっかけになりました。コロナ以前の段階で、場所に縛られない働き方の可能性を感じていたんです。

また、日本は東京への一極集中が進んでいますが、地方からでも価値を生み出すことはできると考えています。私自身が島根県出身であることもあり、地元で挑戦することに意味を見出しました。「エンジニアがよりよい環境で働けて、質の高いものづくりができる会社を作りたい」という想いが、創業の原点です。

経営とは「課題を解決するための手段」

――経営者になられたきっかけを教えてください。

前職である親会社に在籍していたときから働き方や組織のあり方について課題意識を持っていたなかで「会社をやってみないか」と声をかけていただき、自分の考えを実現できる機会だと感じて挑戦することを決めました。もともと経営者志向が強かったわけではありませんが、課題を解決する手段として経営という選択をした形です。

――これまでのキャリアでターニングポイントとなった出来事はありますか。

前職で事業部長を務めていた際、赤字が続いていた事業を黒字化させた経験があります。そのプロセスを通じて、自分の価値発揮のあり方を見つめ直し、「経営」という領域に可能性を感じたことが大きな転機となりました。

「よいものを作れるかどうか」がすべての判断基準

――経営判断の軸となっている価値観は何でしょうか。

判断基準として重視しているのは、「自分たちが価値を提供できるかどうか」です。すべての案件を受けるのではなく、本当によいものを作れるかどうかを見極めています。その結果、自社の領域外であれば無理に受注せず、他社を紹介することもあります。最終的にお客様にとって最適な形を提供することが重要です。

――影響を受けた人物はおられますか。

任天堂の岩田聡氏の影響を強く受けています。プログラマーとしての技術力と、経営者としての実績を併せ持っていた点に魅力を感じました。本を通じてその存在を知り、理想像の一つとなっています。

「任せる」ことで組織を育てる

――組織運営で意識していることを教えてください。

基本的にはメンバーに任せる方針を取っています。最初から細かく指示を出すのではなく、一度任せてみることで、その人自身の考えや判断力が見えてくると感じているため、まずは自分で考えて行動してもらい、問題があればサポートする形が理想です。挑戦する機会を与えることが、成長につながると考えています。

――コミュニケーション面での工夫はありますか。

当社は外国籍のメンバーが半数以上を占めているため、コミュニケーションの密度は非常に高く設定しています。言語や文化の違いがあるからこそあいまいさを残さないコミュニケーションの徹底が重要です。

例えば、毎日、タスクや進捗を報告させることで、認識のズレを防いでいます。これらは、一般的にはマイクロマネジメントと捉えられるかもしれませんが、当社では必要なプロセスとして機能しています。

――どのような人材と働きたいと考えていますか。

自分で判断し、自律的に動ける人材です。単に指示を待つのではなく、自分の意思で動ける人ほど、変化の激しい環境のなかでも成長し続けられる人材でしょう。そうした人材が、結果的に組織の推進力になると感じています。

そのうえで、適切にフィードバックを受け入れられる柔軟性も重要です。当社は、主体性と協調性の両方を持つ人が活躍できる環境だと考えています。

AI時代に求められるエンジニア像の再定義

――現在感じている課題はありますか。

AIの普及により、エンジニアの評価基準が変化している点です。コードを書く量ではなく、「どう判断するか」が重要になっています。

AIがコードを生成する時代においては、その選択の妥当性を説明できる力が求められます。今後はそのような思考力を持つエンジニアの育成が重要になるでしょう。これまでの「手を動かす力」だけでなく、「考える力」や「意思決定の質」が問われる時代に移行していると強く感じています。

――業界の今後についてどのように見ていますか。

変化のスピードは非常に速く、常に学び続ける必要があります。同じことを続けているだけでは通用しない時代です。特にエンジニアのような分野では、継続的な進化が不可欠だと感じています。

――最後に、御社の今後の展望についてお聞かせください。

現在提供しているAIサービスの販売が始まったばかりですので、まずはこれを軌道に乗せることが重要です。今後2〜3年は、AIを活用した価値提供を強化していきます。また、エンジニアファーストの考えのもと、よりよい開発環境を整備し続けていきます。

単に技術を提供するだけでなく、エンジニアが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境づくりを通じて、より質の高いアウトプットを生み出していきたいです。

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