「楽しんで働く」を本気で実現する――従業員の人生に向き合うMSファーマシーの薬局経営
株式会社MSファーマシー 代表取締役 宮本 誠二氏
株式会社MSファーマシーは、広島で多店舗展開を行う薬局です。創業から約8年、現在は30名超の従業員とともに歩みを進めています。同社の根底にあるのは、「仕事は楽しんでするもの」という明確な信念です。本記事では、自身の経験から導き出した人生観を礎に、従業員一人ひとりの人生を大切にする経営を実践してきた代表の宮本誠二氏に、創業の原点や組織づくりへの想い、そしてこれからの展望などについて伺いました。
地域に根ざす薬局運営と、「従業員第一」の思想
――現在取り組まれている事業内容について教えてください。
当社は広島で薬局を複数店舗を展開し、地域の患者様に対して調剤業務を中心とした医療サービスを提供しています。現在は36名ほどの従業員数とともに、日々、患者さまへの服薬指導や医薬品の提供を通じて地域医療の一端を担っています。
――御社の特徴や強みはどのような点にありますか。
「従業員を大切にする経営」を行っている点です。従業員が安心して働ける環境があってこそ、結果として患者様に良いサービスが提供できると考えているからです。
私自身、これまでのキャリアのなかでは体調を崩すほど働いた時期もありました。精神的に追い込まれたこともあり、その経験から、「仕事はしんどい思いをしてまでやるものではない」と感じるようになったんです。以来、「仕事は楽しんでするべきもの」という考えを経営の根幹にしています。
また、従業員には「自分の身になることをしてほしい」とも伝えています。資格取得を勧めているのも、そのためです。会社のためだけでなく、自分自身の人生を豊かにする力を身につけてほしいと考えています。
人生設計から逆算した独立への道
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと「自分で店を持ちたい」という夢を持っていました。新入社員の頃には、当時勤めていた会社の社長に「独立するにはどうしたらいいですか」と尋ねたことがあります。そこから独立までの道筋を考え、ブレずに進んできました。
――その夢を具体化した転機は何だったのでしょうか。
22歳のときに、大学時代の友人から「人生設計を作るように」と言われたことです。それをきっかけに、「独立すること」と「年収1000万円を超えること」、そして「100坪以上の家に住むこと」の3つを自分の目指す将来像として掲げ、その目標を実現するためには何が必要かを逆算しました。
独立には知識や経験、人脈が必要です。30歳まではひたすら知識を身につけると決め、図書館に通って本を読み続けました。29歳で結婚し、広島に移住したあたりから技術を習得し始め、35歳頃から人脈づくりに取り組みました。創業に至るまでには時間がかかりましたが、無事に独立できたのは、計画的に準備を積み重ねてきた結果だと思っています。
自由と役割が生む「やりがいのある組織」
――組織運営で意識していることは何ですか。
「大手にはできないことをやりたい」という想いがあり、その一つとして取り組んでいるのが、自由に働ける環境づくりです。ただし、無秩序になるのではなく、良識の範囲内での自由を目指しています。
例えば、店舗の内装は各店舗に任せています。スタッフ同士で相談しながら決めており、他店舗の取り組みを共有することもあります。結果的に現場発信の工夫が積み重なり、組織全体の活性化につながっていると感じています。
――社内コミュニケーションで大切にしていることはありますか。
会社の方針として掲げている「挨拶・笑顔・感謝」を必ず守るように伝えています。これらは、どれが欠けても人間関係のトラブルにつながる要素です。小さなあいさつ一つが欠けただけでも、相手に余計な気を使わせることがありますし、感謝がなければ関係性は崩れます。単純ですが、円滑なコミュニケーションを育むうえでは非常に重要なことです。
また、悪口や陰口は厳しく禁じています。本人がわかる形で人を傷つける行為は社内秩序を乱すものですので、場合によっては懲戒に値すると伝えています。
人間関係のトラブルは、皆がただしんどいだけで、何も生みません。そうした無駄なストレスをなくすことが、経営者としての責任だと考えています。
――どのような人材を求めていますか。
1を言えば10を返してくれる人です。例えば写真を作ってほしいと依頼した際に5通りの案を持ってきてくれるような人で、そこに遊び心や工夫があるととても魅力的に感じます。
一つしか案がなければこちらも細かく修正を指示する必要がありますが、複数案があれば、より良い方向へ一緒に磨き上げることが可能です。自分の持っている以上のものを返してくれる人には、自然と仕事を任せたくなります。
自分を超えていく存在を育てる
――今後の展望についてお聞かせください。
今後は少子高齢化が進み、社会保険料の負担も増えていくでしょう。医療制度はより厳しくなっていく可能性があると感じています。だからこそ、「病気にならない体制」を整えることが重要だと考えています。
これからは、健康診断を受けるだけでなく、日常のなかで何に気をつけるべきかを相談できる場所が必要です。そのなかで薬局は、「病気にならないための相談窓口」になれるのではないかと考えているんです。その役割を担うため、すでに10年以上前から構想してきました。そのために漢方の勉強を重ねて資格を取得するなど、取り組みも進めてきています。
――今後の目標を教えてください。
自分の子どもや従業員たちが、自分を超えていく姿を見ることです。独立や年収目標は、そのための手段に過ぎません。彼ら自身が努力することでハードルを上げ、さらに上を目指してくれたらと願っています。
そのためには、この会社を踏み台にしてもいいと伝えています。ここで自分の価値を高めたうえで、より評価してくれる場所へ羽ばたいても構いません。ほかの場所で活躍する姿を見ることも、経営者としての喜びです。
仕事は人生の一部です。だからこそ無理をせず、楽しみながら成長してほしい、そしていつか自分を超えていってほしい――それが私の変わらない願いです。