商標で泣く人を減らしたい――弁理士事務所ブランデザインが追求する「逆転力」

弁理士事務所ブランデザイン 代表弁理士 岡村太一氏

ブランデザインは、商標登録や意匠登録など、知的財産に関する支援を行う事務所です。代表弁理士の岡村太一氏は、商標登録が難しいケースでも、反論や交渉を通じて登録へ導く「逆転力」を強みとしています。本記事では、岡村氏に独立の経緯、事業への思い、今後の展望について伺いました。 

理想のサービスを実現するための独立 

――事業を始められた経緯を教えてください。

新卒から弁理士事務所で仕事をしてきました。大阪の事務所や東京の大きな事務所など、合計で11年ほど勤める中で、規模や地域によって仕事の進め方が大きく違うことを経験しました。

その中で、自分が理想とする「本当の意味でお客様のためになるサービス」を提供するには、自分でやるのが一番良いのではないかと考えるようになりました。料金の付け方ひとつを取っても、実質的な負担が大きい部分は高価格にし、形式的で負担が少ない部分は大幅に価格を下げる等の判断を、自分の裁量で行いたかったのです。

また、情報発信も組織に属していると自由にできない部分があります。自分の考えや知見を自由に発信し、世の中の人に知的財産に関するリスクを知ってもらいたいという思いが、独立の大きな理由でした。

商標登録を「取れない」で終わらせない逆転力 

――現在の事業の特徴や強みを教えてください。

事務所として打ち出しているのは「逆転力」です。商標登録や意匠登録などは、書類を整えて提出すれば終わりと思われがちですが、実際には登録できないケースも多くあります。

商標登録は基本的に早い者勝ちです。厳密にいうと、早く使っていた人より早く出願(申請)した者が勝つ世界です。日本にはすでに多くの商標登録があり、毎年新しい登録も増えていきます。そのため、希望するロゴやネーミングの商標がすでに取られていたり、特許庁から「似ている」と判断されたりすることがあります。

そのような場合でも、先に登録している相手と交渉したり、特許庁に対して「似ていない」と反論したりします。裁判例を調べ、ロジックを組み立て、証拠を集めながら登録に導く。そこが当事務所の強みです。

――その取り組みにやりがいを感じる点はどこでしょうか。

一度「取れない」と言われたものを逆転していくところは、難しくもあり面白いところです。お客様にとっても結果が分かりやすく、登録できたときにはメールの文面からも喜びが伝わってきます。

また、YouTubeやPodcastでも、商標や著作権、判例の解説などを毎週配信しています。外部の友人にも入ってもらい、専門家同士の難しい話になりすぎないよう、一般の方にも伝わりやすい形を意識しています。こうした情報発信や研究の積み重ねが、実務での反論や交渉にも活きています。

商標で泣く人を減らすために 

――理念やビジョンに込めている思いを教えてください。

「商標で泣く人を減らしたい」という思いがあります。創業された方が、事業が軌道に乗ってから「そろそろ商標登録しよう」と考えたときに、実は登録できないということが少なくありません。

商標は普段の生活ではあまり意識されないものです。だからこそ、特に創業する方や経営者に早い段階で知っていただくことが大切だと考えています。情報発信を通じて、未然に防げるトラブルを減らしていきたいです。

一方で、すでに問題が起きてしまった場合でも、「取っていなかったから悪い」と突き放すのではなく、反論や交渉、その他の手段で戦えないかを考えます。お客様の状況を伺いながら、柔軟に寄り添っていきながら、専門的な部分につい没頭してしまう職人気質もあります。その意味で、当事務所を一言で表すと「柔軟な職人」だと思っています。

本質を考え、仕組みで誠実さを守る 

――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。

常に本質を考えることです。お客様のためになると口で言うだけでなく、本気で実行することを大切にしています。

たとえば料金についても、慣習的に料金表をウェブサイトで公開していない弁理士事務所もあります。しかし、それではウェブサイトを見たお客様がいくらかかるのかの目安が分からず困ってしまいます。そこで、弊所では料金表を公開しています。また、公開することによって、クライアントごとに基準がぶれないようにしています。

人間には欲が出る部分もあります。だからこそ、制度や仕組みによってそれを抑え、誠実に仕事ができる状態をつくることが大切だと考えています。

――組織運営で大切にしていることを教えてください。

現在は、私ともう一人の弁理士を中心に、外部の方やパートの方にもサポートしてもらいながら仕事をしています。もう一人の弁理士は新潟にいて、私は関東にいるため、基本的にはリモートで相談しながら事務所運営を進めています。

大切にしているのは、丁寧に説明することです。たとえば効率化ツールを導入するときも、「使ってください」と伝えるだけではなかなか使ってもらえません。実際に使い方を見せたり、一緒に手を動かしてもらったりして、便利さを体感してもらうようにしています。

悪意ある商標登録に向き合い、制度も変えていきたい 

――今後取り組んでいきたい挑戦を教えてください。

基本的には地道にやっていくことになりますが、特に取り組みたいのは、悪意を持って他人のブランド名を先に登録するようなケースへの対応です。

偶然、商標が重なってしまうこともありますが、中には明らかに狙い撃ちで他人のブランド名を取る人もいます。これまでも無効審判などの手続きを通じて争い、裁判まで進んだ案件にも取り組んできました。

そうしたケースをもっと増やしていきたいと考えています。法律にはまだ課題があると感じていますが、ただ「法律がおかしい」と言っていても何も変わりません。実際の事例や判決が積み重なれば、特許庁や国が動く可能性もあります。業界では、判決の蓄積によって法改正につながることもあるからです。

面白く、意味のあることを追求する

――経営の中で譲れない思いはありますか。

本質的なことを考えることに加えて、「面白いことをやっていく」という思いがあります。面白く、意味があり、価値がありそうなことに取り組む。それが自分たちの価値であり、大手には真似しにくい部分だと思います。

他人にブランド名を取られて困っている人を助ける取り組みも、世の中を少しでも良くするという意味で面白い。あまり多くの人が参入しにくい領域だからこそ、自分たちが挑戦する意味があると感じています。

――リフレッシュ方法を教えてください。

休日は子育てで埋まることが多いので、リフレッシュという感じではありません。むしろ平日の合間にテニスをすることがリフレッシュになっています。テニスはただただ楽しいですし、メリハリが生まれて、仕事も以前より良くなっている気がします。

あとは料理です。以前は料理教室にも通っていました。パソコンに向かう仕事が多いので、手を動かして何かを作ることには達成感があります。家族に喜んでもらえると、役に立っている感覚もあります。

もともとはレシピ通りに作らされている感じが嫌だったのですが、料理教室で「なぜそうするのか」という意味を知ると、主体的に楽しめるようになりました。仕事と同じで、本質や意味が分かると面白くなるのだと思います。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。