子育ての困りごとから始まった挑戦――森川愛氏が描く事業と映画への夢
株式会社エージェーピー 代表取締役 森川愛氏
出産をきっかけに感じた社会課題を解決したいという想いから事業を立ち上げ、その後は化粧品事業の買収、複数の事業展開、音楽活動の再開、そして自身の人生を題材とした映画化プロジェクトへ――。株式会社エージェーピー代表取締役の森川愛氏は、常に新たな挑戦を続けてきました。本記事では、会社設立の経緯や事業への想い、そして現在目指している未来について伺いました。
子育て中の「困った」が起業の原点
――会社設立に至った経緯を教えてください。
2010年に第一子を出産した際、最も困ったことは子どもを見てくれる人がいなかったことでした。近所のコンビニに行くことすら難しく、一時的に子どもを預けたいと思っても、料金が高すぎたり、事前予約が必要だったりと、気軽に利用できるサービスがありませんでした。
そこで立ち上げたのが「一時保育ドットネット」です。近所の人同士が1時間500円程度で子どもを預け合える仕組みを目指し、SNSを活用したサービスを構築しました。夫がプログラマーだったこともあり、システムを作ってもらい、自ら地域の母親たちへ声をかけながら利用者を集めていきました。
――サービスにはどのような工夫があったのでしょうか。
地域のお店と連携し、お店を利用する際の保育費の一部を店舗側が負担する仕組みを考えました。地域経済の活性化にもつながると考えたからです。
実際に赤ちゃんを抱きながら店舗を回って協力をお願いしましたが、思うようには進みませんでした。しかし、その経験を通じて社会課題の解決に向けて行動する大切さを学びました。
化粧品事業との出会いと事業買収
――現在の事業につながる転機は何だったのでしょうか。
子どもを保育園に預けられるようになった後、ハローワークで見つけた会社にパートとして入社しました。そこで担当したのが化粧品事業部でした。
当時扱っていたのはワイルドシルクパウダーとマカダミアナッツオイルを中心とした通販事業でした。私は敏感肌で、市販の化粧品が合わないことも多かったのですが、実際に商品を使ってみて、その良さを実感しました。事業としても大きな可能性を感じていました。
――事業買収を決意した理由を教えてください。
働き始めて半年ほど経った頃、会社の経営状況に不安を感じるようになりました。そこで社長に対し、「化粧品事業部を売ってほしい」と提案したのです。
当時はパート社員でしたが、この事業には将来性があると確信していました。夫に相談し、資金面で協力を得ながら事業を買収。株式会社として事業をスタートさせました。最初は6畳の和室で、子どもを育てながら一人で事業を運営していました。ホームページの改修や仕入れなど資金面で苦労もありましたが、一歩ずつ事業を成長させていきました。
学び続ける姿勢が新たな成長を生む
――事業を成長させる中で意識していたことはありますか。
売上を伸ばすためには広告運用を学ぶ必要があると考え、リスティング広告を扱う会社で働かせてもらいました。
私が大切にしているのは、「お金を払って学ぶのではなく、お金をもらいながら学ぶ」という考え方です。実際に現場に入り、実務を経験しながら知識を身につけていきました。
結果的に自分で広告運用をするのは向いていないと分かりましたが、その経験があったからこそ、専門家に任せる判断もできるようになりました。学びながら経営に活かしていく姿勢は、今も変わりません。
音楽活動の再開と映画化への挑戦
――音楽活動を再開されたきっかけを教えてください。
もともと私は歌手を目指して上京し、20歳でメジャーデビューも経験しました。しかし、その後は音楽活動から離れ、長く一般人として生活していました。
転機となったのは、子育てと事業運営を続ける中で訪れたある出来事でした。その経験を通じて、自分らしさを取り戻した感覚があり、「本当にやりたかったことは何だったのか」を改めて考えるようになりました。
そこで再び音楽活動を始め、自分の人生そのものを作品として発信していこうと考えたのです。
――現在目指している大きな目標は何でしょうか。
私自身の経験をもとにした物語を映画化することです。
映画化に向けた企画はすでに進めており、映画関係者や脚本家の方々とも相談を重ねています。ただ、映画化を進めるためにはまず出版が必要だと考えており、現在は一緒に本気で取り組んでくれる出版社との出会いを探しています。
そのためにも知名度を高める必要があり、音楽活動やさまざまな発信活動もその一環として取り組んでいます。すべては映画化という目標につながっています。
夢を追い続けることが人生を豊かにする
――今後の展望について教えてください。
現在展開している「たっぷりクレマのエスプレッソコーヒー&ティーリミックス 」については、フランチャイズ化を目指しています。ノウハウを体系化することで、自宅でも開業できるような仕組みを作りたいと考えています。
また、映画化という目標に向かって挑戦を続けていきたいです。
私は、夢は叶えた瞬間よりも追いかけている時間の方が楽しいと思っています。振り返った時に一番印象に残るのは、目標に向かって試行錯誤していた時間です。
だからこそ、これからも新しいことに挑戦し続けたいと思っています。そして、自分の経験を通じて、子育て中のお母さんたちが「子どもがいても自分らしく生きられる」と感じられるきっかけを届けていきたいです。