暮らしを整え、人生を豊かにする。紅茶、家政学、家計管理、不動産をつなぐ教室づくり

スタートビジョンエステート株式会社 代表取締役 永田 聡子氏

紅茶教室を軸に、整理収納、家計管理、FP事務所、そして不動産業へと事業を広げてきた永田氏。原点にあるのは、「家で完璧なアフタヌーンティーができること」。それは単にテーブルを美しく整えることではなく、住まい、家事、家計までを含めて、日々の暮らしを豊かにする考え方です。そんな非日常の心地よさと実用的な学びを届ける永田氏に、事業を始めることになったきっかけや大切にしている価値観、リフレッシュ方法などについて伺いました。

紅茶から家政学、家計管理へ。暮らし全体を学ぶ教室

——現在の事業内容について教えてください。

もともとは紅茶教室でした。私は子どもの頃から食器が好きで、特にティーカップやポットの形に惹かれていました。そこから中に入れる紅茶に興味を持ち、より紅茶を美味しく頂くためには、合わせるお菓子も必要であると考え、ル・コルドン・ブルーなどで本格的に学びました。

さらに、テーブルセッティングやフラワーアレンジメントにも関心が広がり、お花についてはNFD(日本フラワーデザイナー協会)で講師の免許まで取得しました。教室では、アフタヌーンティーを家で完璧にできることを目標にしています。ただ、私が考えるアフタヌーンティーは、テーブルの上だけが整っていればよいというものではありません。

19世紀のイギリスの考え方では、家庭の婦人はテーブルの上を美しく整えるだけでなく、家政学やハウスキーピングも身につけることが大切とされていました。家のことも家計管理もきちんとできていて、その上で人をもてなし、日々の暮らしを充実させる。アフタヌーンティーというのは、いわば家事学の集大成でもあったのです。そこまで含めて教室のコンセプトにしています。

——他にはない特徴について教えてください。

長い教室経営の中で、紅茶だけでなく、整理収納や家計管理といった講座に広がっていきました。整理収納講座のきっかけは、教室で使うティーカップが200客を超えていることでした。名陶といわれるようなものやアンティークなど、長く愛されてきたものをすべて収納しています。

生活感を出さない非日常の空間を大切にしているので、リモコンや新聞のようなものは出さず、見えるところは美しく、見えないところは徹底的に機能的に整えています。それを生徒さんにお見せしたところ、「教えてほしい」という声を頂きました。

パントリーやクローゼット、引き出しまで見せるハウスツアーのような講座をする中で、パントリーの食品ストックをお見せしたところ、食費の話につながりました。また食費だけでなく家計の話をもっと本格的に教えて欲しいという要望を頂いたのです。

教えるからにはきちんと学び直したいと思い、ファイナンシャルプランナー(CFP)の資格を取得しました。現在は、FPの家計管理教室も大きな主軸のひとつになっています。

自分で蒔いた種は、自分で刈り取りたい

——経営者になろうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

以前は株式会社リクルートで法人営業をしていました。飛び込み営業から始まり、名刺も受け取ってもらえないようなところから、少しずつ覚えてもらい、会社名ではなく私の名前で呼んでもらえるようになり、やっと資料を置かせてもらえるようになる。そこまで行くのに3か月ほどかかることもありました。

ようやく受注が決まり、社内稟議も通って、決裁者の印鑑を来月もらえるという段階で、異動になるという経験を幾度となくしました。半年、1年とかけて種まきをしてきたものが、自分の手を離れてしまう。その経験から、「自分で蒔いたものは全部自分で刈り取りたい」と思うようになりました。

また、結婚してから、家のことをこなす時間や子どもと過ごす時間を大切にしたいという気持ちも強くなりました。会社では、夕方から会議があることも少なくありませんでした。そうすると、家のことがなかなかできません。私の人生の中で何が一番大事なのかを考えた時、私にとっては家庭の時間が大切だという結論に達したのです。

自分がトップであれば、意図しない異動はありません。すべて自分で決めていくことができます。自分の提案は、自分で最後まで責任を持ってやり遂げたい。そうした思いが、事業を始める大きなきっかけになりました。

18年通う人にも、初めて来る人にも同じ距離感で

——仕事をするうえで大切にされている価値観を教えてください。

一番大切にしているのは、距離感を同じにすることです。一番長い方では創立と同じ18年ほど通ってくださっている方がいます。教室を立ちあげて一番最初に問い合わせをくださった方が、今も通ってくださっています。その方と、体験で初めて来られた方との距離感を同じにすることは、18年間一貫して守ってきました。

長く通っているからといって親しくなりすぎるのではなく、初めて来られた方にも、前から知っていたような親しみやすさを持って接します。そして、その方とでしかできない会話は絶対にしないようにしています。

たとえば、子どもの幼稚園や小学校、ご近所など、別のところでつながりがある方は、基本的にお受けしていません。どうしても知り合いが来たいという場合は、マンツーマンにしています。なぜなら、その場にいる一部の人にしかわからない話をすると、他の方が疎外感を覚えたり、寂しく感じたりすることがあるからです。

教室では、誰に対しても平等でありたいと思っています。長く通ってくださる方がいるということは、そういう距離感を心地よく感じていただけているのかなと、自分では受け止めています。

嘘をつかず、上下ではなく同じ距離で関わる

——組織運営や人とのコミュニケーションで意識していることはありますか。

基本的には、通常雇用している社員がいるわけではありません。ただ、FP事務所でイベントを行う時や教室での雑務は、業務委託の若い方やアルバイトの方にお願いすることがあります。

その時に意識しているのは、どちらが上とか下とかではなく、同じ距離感を保つことです。これは教室で生徒さんと接する時にも通じています。誰に対しても同じように接すること。そして、嘘をつかないこと。コミュニケーションで大切にしているのは、その二つです。

不動産業を充実させながら、一回ごとのレッスンに手を抜かない

——今後の展望や、挑戦していきたいことについて教えてください。

不動産会社としては、もともと永年不動産賃貸業を行っていましたが、法人にして2月で1年を迎えました。来月には、自社マンション建設の着工を控えています。売買仲介や管理業に加えてデベロッパー業も行っており、不動産業も充実させていきたいと考えています。

不動産業の休日にFP事務所を兼業しておりますが、FP相談を通じて不動産の売却や購入を依頼されることが多くなって参りました。資産の相続には、必ずといっていいほど、「お金(FP)」と「不動産」の両方の知識が必要になります。両方の窓口を一つに絞ることができることもお客様の時間的・心理的な負担を大きく減らすことができる大きなメリットとして感じて下さっているように思います。

最近の事例ですが、老後資金の概算見積もりを相談されたお客様がいらっしゃいました。当初「不動産売却は別で(大手不動産会社)お願いするので結構です」とのことでしたが、ご相談をお受けしご要望以上の提案をして差し上げられたようで大変ご満足いただきました。その結果、不動産もすべて永田さんにお願いしたいと仰って下さいました。

ご高齢の方であれば、あなたが私の両親だと思い
お若い方であれば、あなたが私の子供だと思い

本当に”その方の為になる”ご提案をする。不動産業とFP業における私の揺るぎない信念です。

一方で、紅茶教室や家計管理教室の仕事も、毎回、生徒さんや相談に来てくださる方に満足していただけるように続けていきたいと考えております。

紅茶教室は創立18年目を迎えますが、一度として全く同じ内容はありません。一回でも「つまらない」「役に立たない」と思われたら、次はないと思っています。そのくらいの気持ちで、費用と時間を使って来てくださっていることを忘れずに、少しでも上を目指して毎回取り組んでいます。

仕事の顔を離れ、歌う時間がリフレッシュになる

——リフレッシュ方法についても教えてください。

定休日はありません。土曜日は教室で埋まることが多く、FP相談は、土・日曜日を希望される方も多いため、日曜日も仕事が入ります。ただ、仕事がない時は休みです。

日曜日の午前中に仕事がない時などは、土曜日の夜にカラオケに行き、夜通し歌うこともあります。

そこに行くと、教室での「先生」としての顔を知らない方々がいます。そのお店だけで会う方たちと、得点を競い合いながら思い切り歌う。その時間が、日常から離れてリフレッシュできる場になっています。

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