“しびれる仕事”に集中できる未来へ──株式会社ラクタノが描く、生成AI活用の新しいかたち
株式会社ラクタノ 代表 岩田 拓治 氏
生成AIという言葉を耳にする機会は増えたものの、「実際にどう活用すればいいのか分からない」と感じている中小企業は少なくありません。そんな中、株式会社ラクタノでは、生成AIを活用したシステム開発を通じて、企業が“本当にやりたい仕事”に集中できる環境づくりを支援しています。AIサービスを展開する岩田拓治氏に、事業への想いや今後の展望について伺いました。
目次
“しびれる仕事”に集中できる環境をつくる──株式会社ラクタノの現在地
――現在の事業内容について教えてください。
一言で言うと、生成AIを組み込んだシステムを作っています。代表的なサービスとして展開しているのが、「AIリノベーションシミュレーター」です。これは、リフォーム会社さんや工務店さん向けの営業支援ツールで、お客様のお部屋の写真をもとに、リノベーション後のイメージをリアルタイムで生成できるWebアプリケーションになっています。
実際にお客様と相談しながら、「こういう雰囲気にしたい」「もっと明るい部屋にしたい」といった要望をその場で反映できるので、完成後のイメージを共有しやすくなるんです。営業や打ち合わせもスムーズになりますし、お客様側も完成形を想像しやすくなると思っています。
――事業を展開する上で、大切にしている考え方や強みについて教えてください。
僕たちが大切にしているのは、単に「AIで楽をする」ことではありません。“しびれる仕事”に集中できる環境を作ることをテーマにしています。
経営者さんや従業員の方が、「この仕事が楽しい」と思えることに力を使えるよう、やらなくてもいい業務をAIに任せていく。そうすることで、人が本来輝ける部分に集中できると思っています。
だから僕自身、“自動化”という言葉はあまり使いません。何もしない世界ではなく、「やりがい」や「豊かな生活」のためにAIを活用したいという感覚なんです。
失敗も遠回りも糧になった──岩田氏のキャリアとAIへの転換
――起業の経緯について教えてください。
僕は22歳の頃に一度起業しています。当時はホリエモンに憧れていて、「自分も起業したい」と大学を中退し、そのまま会社を立ち上げました。動画関連のビジネスをやっていたんですが、今振り返ると完全に見切り発車でしたね。営業も仕事の作り方も分からず、結果として会社は倒産してしまいました。
その後は10年以上会社勤めをしていたんですが、「自分は組織に属する働き方が向いていないな」と感じるようになり、再び起業しました。
最初は旅行関連の事業をやっていて、旅行動画の制作や旅行グッズの販売を行っていました。その過程でマーケティングやWeb制作、サイト運用など幅広いスキルが身につき、企業のWeb支援を行うようになりました。そこから徐々に今の事業につながっていったんです。
――生成AIに可能性を感じたきっかけについて教えてください。
AIに本格的な可能性を感じたのは、画像生成AIが出てきたタイミングでした。ChatGPTの画像生成モデルを見た時、「ここまで簡単に高品質な画像を作れるのか」と衝撃を受けたんです。世の中が大きく変わるな、と直感しました。
もともと理学部の数学科に在籍していたこともあり、数学やAIには以前から興味がありました。将棋も好きでAI将棋ソフトにも触れていたので、「自分のバックグラウンドを活かせる分野だ」と自然に感じたんです。
“人を増やさない”という選択──価値観を軸にした組織づくり
――組織運営やコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
うちの会社は僕を含めて役員が2人いますが、それ以外の社員的なものはすべてAIです。例えばラクタノマスコットキャラクター兼広報担当AIである「ラクにゃん」などです。今後も人を増やす予定はなく、増えるとしたらAIですね。
もちろん、人を否定しているわけではありません。ただ、人が増えることで不要な仕事まで増えてしまうケースもあるので、「本当に必要な仕事なのか」は常に見直しています。
今はAIロボットも自作していて、ソフトウェアだけでなく、ハードウェア領域にも挑戦していきたいと考えています。
コミュニケーションで大切にしているのは、細かい指示ではなく、「ラクタノがどこを目指しているのか」を共有することです。方向性さえ合っていれば、細かく管理しなくても進められると思っています。
――どのような人や企業と一緒に仕事をしていきたいと考えていますか?
やはり僕たちの想いに共感してくれる人ですね。「しびれる仕事を増やしたい」という価値観を共有できる方とは、ぜひ一緒に取り組みたいと思っています。
クライアントさんとも、価値観が合うかどうかはかなり大切にしています。そこがずれてしまうと、良い形では進められないと思うんです。
また、補助金サポート会社と密接に連携しているため、補助金を活用したシステム導入までサポートできる点も強みですね。
AIの“その先”へ──ソフトウェアからロボット領域への挑戦
――今後挑戦していきたいことについて教えてください。
今はソフトウェア開発が中心ですが、これからはAIロボットの領域にも挑戦していきたいと思っています。
企業の課題を見ていると、単なるシステム化だけでは解決できないケースが多いんです。特に飲食店などは、「現場で人が動かなければいけない」という負担が大きい。そこをどう改善できるかは、今後かなり重要になると思っています。
実際、配膳ロボットなども普及してきていますし、今後はソフトウェアだけでなく、身体性を持ったAIやロボットが求められる時代になると思っています。だからこそ、その領域まで踏み込んでいきたいんです。
――現在向き合っている課題について教えてください。
やはり、まだ生成AIへの理解が十分に広がっていないことですね。「AIなら何でもできる」と思われたり、逆に怖がられたりすることもあります。
だからこそ、僕たちは“ちゃんと理解した上でAIを扱う”ことを大切にしています。僕自身、G検定やE資格といったAI関連資格も取得しています。
AI系の企業は増えていますが、技術理解を持った上で事業を行っている会社は、まだ多くないと感じています。だからこそ、「AIを理解した上でシステムを作っている会社」であることは強みだと思っています。
感性を磨きながら、自分の責任で前へ進む
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。
最近は「感性を磨きたい」と思い、ピアノを買いました。昔ギターを少し触っていたこともあり、改めて音楽に向き合ってみたいなと思っているんです。まだ初心者レベルですが、音楽を通じてリフレッシュできたらいいなと思っています。
あとはウォーキングですね。考え事をしたい時や煮詰まった時は、30分から1時間ほど外を歩いています。歩いていると頭が整理されるんですよ。
――経営をしていく中で、これだけは譲れないという軸を教えてください。
最終的な責任は全部自分が持つ、ということですね。何かトラブルが起きても、人のせいにはしない。自分がもっと事前にできたことがあったはずだと考えるようにしています。
だからこそ、自分が中心になって向き合い、解決していく。その姿勢だけは、これからも忘れずに進んでいきたいですね。