海の上に電気を届け、人類の活動領域を広げる――Yellow Duckが挑む新たなエネルギー開発

Yellow Duck株式会社 代表取締役 中山繁生氏

Yellow Duck株式会社は、海のエネルギーを活用した発電技術の研究開発に取り組む企業です。代表の中山繁生氏は、環境問題への課題意識から個人的に技術研究を始め、試行錯誤を重ねる中で事業化へと歩みを進めました。本記事では、同社の立ち上げの経緯や技術開発への考え方、組織づくり、今後の展望について伺いました。

環境課題への関心から始まった技術開発

――会社の立ち上げに至った経緯を教えてください。

最初から会社を立ち上げようと思っていたわけではありません。もともとは私個人が、環境問題に対して課題を感じていて、それを何とか解決できないかと考えながら、新しい再生可能エネルギーの発電技術を作ろうと研究していたことが始まりです。

周囲からは趣味のように見られることもありましたが、インターネットで技術を調べ、実際に試し、新しい技術が出てくると自分でも模倣してやってみる。そうしたことを繰り返していました。その中で、ものを作り、特許を取るようになり、「この技術を世に出さないともったいない」と声をかけてもらったことが、事業化のきっかけです。

ただ、世の中に出すといっても、当時はどうすればよいのか分かりませんでした。そこで今のチームメンバーから「まず会社を作らないとだめだよ」と言われ、会社として動き出すことになりました。

――現在の事業の特徴や強みはどのような点にありますか。

当社の特徴は、技術がかなり変化していくことです。一度試してみて、思ったほどうまくいかなければ、改善やチャレンジをします。ただ、自分たちが納得するところまでやって難しいと判断した場合は、そこにこだわり続けず、次の技術を模索します。

スタートアップの言葉で言えばピボットに近いかもしれませんが、もっと小さな単位で新しい方式を探していく感覚です。特許を取り、技術を開発し、ある程度の見通しが立ってきたものを捨てるのは簡単ではありません。それでも当社では、かけたコストを引きずらずに次へ進むことを繰り返してきました。

海のエネルギーで電力を作るという方向性は変わりません。ただ、何をどのように電気へ変えるのか、その方式は頻繁に変わります。去年作っていたものを今年は作っていない、ということもあります。作っては失敗し、そこから知見を残して次へ進む。その試行回数の多さが、当社らしさだと思っています。

海へ広がる人類の活動領域

――理念やビジョンには、どのような想いがありますか。

人類の活動領域を海へ広げていきたいという思いがあります。海は現在、物流や漁業、養殖の場として使われていますが、人が暮らしたり、農業をしたりできる可能性もあると考えています。

その実現に向けた大きな課題が電気です。海の上に電気を届けることができれば、新しい世界が見えてくるのではないかと思っています。私たちの発電技術は、そのための取り組みです。

――経営の道に進まれた背景を教えてください。

最初から経営や事業化を考えていたわけではありません。個人で研究を続ける中で、あるイベントで賞をいただき、さまざまな企業から問い合わせを受けるようになりました。

その後、チーム内からも「世に出さないともったいない」という声があり、会社として動き出すことになりました。研究していたものを社会に出すために、会社という形が必要になったという感覚です。

長く続けるための判断軸

――経営判断の軸になっている価値観を教えてください。

目先の成果だけではなく、長く続けられるかどうかを大切にしています。技術自体がすぐに完成するものではないため、長く続けられる方向性を考えることが重要です。

迷ったときには、どちらの方が長く続けられるかを考えます。大きく目立つことよりも、長く継続できる形を選ぶ。その考え方は、経営判断の一つの軸になっています。

――社内のコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。

自分の意見を言いたいときに言える環境を大切にしています。私自身も、意見を聞ける体制や、話しやすい雰囲気づくりを意識しています。

また、新しい出来事や進捗、課題が出たタイミングで、全員に向けて情報を発信しています。共通認識を持ったうえで意見を出し合える土台を作ることを大切にしています。

未完成だからこそ、日々挑戦がある

――採用や育成で、一緒に働きたいと感じる人はどのような方ですか。

自分で仕事を見つけて、巻き取っていける人です。当社は6人の組織で、入社後に整った研修があるわけではありません。今週中に仕上げなければならないことや、来月の試験に向けた準備など、常に慌ただしく動いています。

その中に自分から入っていき、必要な仕事を見つけて巻き取ってくれる人は、本当に助かります。もちろん簡単なことではありませんが、そうした姿勢を持つ方と一緒に働けると心強いです。

――今後取り組んでいきたい挑戦や展望を教えてください。

日々が新しい挑戦です。当社はまだプロダクトが完成しておらず、研究開発段階にあります。まずは一日でも早く、プロトタイプであっても、どこかで使っていただける形にまとめたいと考えています。

まだ実験段階ではありますが、実際に誰かに使っていただけるプロトタイプを作ることが、現在の大きな目標です。

――今後の課題と、それにどう向き合っていきたいですか。

課題は、人材、お金、そしてその二つをつないで全体を回していく組織運営です。これはスタートアップに限らないかもしれませんが、ずっと向き合い続ける課題だと思っています。

特に気になっているのは、フェーズごとに必要な人や外部のステークホルダーが変わっていくことです。必要なときだけ関わってもらうという関係は、どこか寂しさもあります。もちろん、フェーズが合わなくなれば距離が変わることは仕方ありません。それでも、できるだけ長く一緒に何かができる状態で会社を回していきたいと考えています。

遊びと仕事の境目なく向き合う

――影響を受けた人物や考え方はありますか。

京セラ創業者の稲盛和夫さんのように、一代で会社を作り上げた経営者は本当にすごいと感じます。また、組織全体で挑戦を続け、うまくいかなかったことも次につなげていける会社に影響を受けています。

当社も、最初から硬直化しない組織を作っていきたいと考えています。組織が持つ力をうまく引き出し、再構築しながら発揮できる状態を目指したいです。

――お休みの日など、リフレッシュの仕方を教えてください。

特別なリフレッシュ方法はあまりありません。遊びが仕事で、仕事が遊びのような感覚があります。

メールや電話が来ない環境で自分の仕事に集中できる時間が、私にとってはリフレッシュになっています。「仕事をやったな」と感じられることが、気持ちを整える時間なのだと思います。

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