“備える”を日常に――株式会社コノハナが描く、防災と地域社会の未来
株式会社コノハナ 代表 荒木優理花氏
株式会社コノハナは、中小企業向けにBCP(事業継続計画)の策定支援や安否確認システムの導入、防災備蓄品の販売などを手がける企業です。災害大国・日本において、「備えること」をより身近に感じてもらうため、企業ごとの課題に寄り添った支援を行っています。今回は代表の荒木優理花氏に、事業への想いや起業の背景、今後の展望について伺いました。
中小企業に寄り添う“伴走型”の防災支援
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社では、中小企業様向けにBCPの策定支援を行っています。地震や災害に備えるための計画づくりをはじめ、災害時に社員の安否確認ができるシステムの導入、備蓄品の販売など、防災に関わる支援を総合的に提供しています。
特に特徴としては、BCPに関わる内容を“まるっと”対応している点です。計画策定だけではなく、安否確認システムや必要な備蓄品の選定・管理まで、一貫してサポートしています。中小企業様に特化しているため、導入しやすい価格設計や運用面でのサポートにも力を入れています。
備蓄品については、総務担当者様から「何を選べばよいかわからない」「賞味期限の管理が大変」といった声をいただくことも少なくありません。当社では、導入後の管理面も含めて伴走し、一度販売して終わりではなく、長くお付き合いできるサービスを目指しています。
――企業理念やビジョンについて教えてください。
「美しく豊かな人を増やす」というミッションを掲げています。豊かに生きるためには、まず“安心できる土台”が必要だと考えています。
私は現在静岡に住んでいますが、南海トラフ地震への不安は日常の中にもあります。地震そのものを止めることはできませんが、備えや知識によって被害を減らすことはできると思っています。
だからこそ、災害が起きた時に強い街や社会をつくっていきたいと考えています。防災を特別なものではなく、日常の延長線上にあるものとして捉えてもらえるよう、日々発信や提案を行っています。
女性もキャリアも諦めない社会を目指して
――起業された背景や経営者を目指したきっかけを教えてください。
幼少期に母子家庭で育った経験が、考え方の原点になっています。女性がもっと輝ける社会をつくりたいという想いが、独立を考えるきっかけになりました。
特に女性は、出産や子育てなどライフイベントによって、「結婚かキャリアか」という二択を迫られる場面があると思います。しかし私は、そのどちらも実現できる社会にしたいと考えています。
結婚や出産、子育てをしながらでも、自分のキャリアを築いていくことは十分可能だと思っています。だからこそ、自分自身がまずその姿を体現できる存在になりたいと考え、独立を決意しました。
――現在の事業を始めた経緯についても教えてください。
もともとは防災とはまったく関係のない業界で働いていました。福岡出身で、大学卒業後は東京の美容機器メーカーに勤務していました。ベンチャー企業だったこともあり、多くの経営者やさまざまなコミュニティと関わる機会がありました。
その中で、「東京だけが日本ではない」と感じるようになったんです。地方が活性化することで、日本全体が元気になるのではないかと思い、静岡への移住を決めました。
静岡を選んだ理由は、都会すぎず田舎すぎない環境だったこと、東京とのアクセスが良かったこと、そして自然の豊かさや人の穏やかさに惹かれたからです。
2024年に移住した当時は、地震に関するニュースも多く、防災への意識が高まっている時期でした。その中で、「この土地の役に立てる事業をしたい」という想いが芽生え、防災事業をスタートしました。
災害はどうしても“自分ごと”として捉えにくい部分があります。だからこそ、若い世代の立場から発信することで、防災をより身近に感じてもらえるのではないかと思っています。
“誰のためにやるのか”を大切にした経営
――経営判断をする上で大切にしている価値観を教えてください。
常に「お客様にとってどうか」という視点を大切にしています。どちらの選択がお客様に喜ばれるのかを判断基準にしています。
自分たちの利益だけではなく、相手にとって本当に価値があるかを考えながら意思決定をしています。
――組織運営やコミュニケーションで意識していることはありますか。
現在は正社員の採用はまだ行っていませんが、協力関係にあるパートナーの方々と仕事をしています。その中で大切にしているのは、「なぜその依頼をしているのか」という意図をしっかり伝えることです。
単に指示を出すだけではなく、どんな想いで取り組んでいるのか、どんな期待を持っているのかを共有することで、同じ方向を向いて仕事ができると考えています。
――今後、一緒に働きたいと思う人物像はありますか。
会社としてはまだ創業期のベンチャー企業なので、大手企業のような待遇面を整えるのは簡単ではありません。ただ、その分、経営の近くで会社づくりに関われる環境はあると思っています。
大きな夢や目標を持っている人、自分のやりたいことを実現したい人と、一緒に挑戦していきたいです。お互いの目標を応援し合いながら、一緒に成長できる関係を築いていけたらと思っています。
静岡から全国、そして海外へ
――今後の展望について教えてください。
まずは静岡で、「BCPといえば株式会社コノハナ」と言っていただけるような実績をつくることを目標にしています。その上で、将来的には全国展開も視野に入れています。
また、海外との取り組みにも挑戦したいと考えています。特に台湾や韓国など、災害リスクを抱えるアジア圏に対して、日本で培われてきた防災や備えの考え方を広めていきたいと思っています。
現在も台湾企業と話を進める中で、防災への需要は確実にあると感じています。3年以内には海外との事業展開を実現したいです。
そのためにも今後は販路開拓や認知拡大にさらに力を入れていきたいと思っています。営業活動や実績づくりを通して、より多くの企業に防災の重要性を伝えていきたいです。
――最後に、リフレッシュ方法について教えてください。
休日は、あえて何もしない時間をつくることもありますし、旅行に行くことも多いです。
もともと知らない土地に行くことが好きで、静岡への移住もその延長線上にありました。知らない場所で、知らない人と出会うことに刺激を感じます。
何も考えずに過ごす時間と、新しい環境に触れる時間。その両方が、自分にとって大切なリフレッシュになっています。