“オーダースーツをもっと身近に”――株式会社ROが届ける、自由で親しみやすい一着づくり
株式会社RO 代表取締役 大浦 雄陽氏
「オーダースーツは高い」「敷居が高そう」「注文が面倒そう」。そんなイメージを持つ人は少なくありません。しかし、株式会社ROでは、その固定観念を変えるため、誰でも気軽に楽しめるオーダースーツづくりを追求しています。豊富な生地や副資材を取り揃え、一人ひとりの体型や要望に寄り添った提案を行う同社。代表の大浦氏自身も、かつて一着のオーダースーツに感動した経験から、この業界に深く魅了されたといいます。今回は、事業へのこだわりや経営への想い、スタッフとの向き合い方について話を伺いました。
目次
圧倒的な選択肢と細かな調整で一人ひとりに寄り添う
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社は、オーダーメイドのスーツやシャツを中心に、靴、ベルト、ネクタイ、アクセサリーなども取り扱っています。特徴としては、まず生地や副資材の種類が非常に多いことですね。生地は約6,000種類、裏地は2,000種類、ボタンは1,000種類ほど用意しています。
派手なパーティー向けの生地から、落ち着いた色味のものまで幅広く揃えているので、お客様に対して多彩な提案ができるのは強みだと思っています。
また、当社ではイージーオーダーという形を取っているのですが、かなりフルオーダーに近い感覚で仕立てています。20カ所ほど採寸を行い、0.5センチ単位で細かく調整しながら仕上げていくんです。
単純にサイズを合わせるだけではなく、体のバランスを見ながらスーツのシワを取っていくような作業も行っています。既製品では出せないフィット感を意識していますね。
――価格帯についても驚かれることが多いそうですね。
そうですね。オーダースーツというと高額なイメージを持たれることが多いんですが、当社ではお客様の要望に合わせて必要なものを選べるようにしています。
一般的なオーダースーツ店では、オプションを追加して単価を上げていくケースもあります。ただ、実際には「普段着るだけなら必要ないよね」というオプションも少なくありません。
そういった部分をなるべく削ぎ落として、本当に必要なものだけを提案するようにしています。最低価格では5万5,000円から作れるようにしていて、「まずは気軽にオーダーを体験してほしい」という想いがあります。
“オーダーは特別”という壁をなくしたい
――事業に込めている想いについて教えてください。
もともと自分自身が、13年ほど前に初めてオーダースーツを作った時に大きな感動を受けたんです。当時働いていたオーダースーツ店の店長に作ってもらった一着だったんですが、すごく着心地が良くて、自信まで変わる感覚がありました。
しかも、その価格が今自分たちが提供しているような価格帯に近かったので、「こんな体験を知らないのはもったいないな」と感じたんです。それが今の事業につながっています。
一方で、オーダースーツには「高い」「敷居が高い」「面倒くさい」というイメージがありますよね。そのイメージを少しでも払拭して、もっと身近に感じてもらいたいと思っています。
店舗づくりでも、入りやすい空間を意識しています。友達の家に来たような感覚で過ごしてもらえるような接客や雰囲気づくりを心がけていますね。
経営者の方などは特に「全部任せたい」という方も多いので、最初にしっかりヒアリングをした上で、生地選びから提案までお任せいただくこともあります。なるべく短時間でスムーズにオーダーできるよう工夫しています。
偶然の出会いからオーダースーツの世界へ
――この業界に入られたきっかけを教えてください。
もともと洋服は好きだったんですが、「将来こうなりたい」という明確なビジョンがあったわけではありませんでした。
最初はかばん屋でアルバイトをしていて、その流れでアパレル業界に入りました。その後、たまたまオーダースーツの部署に配属されたんです。本当に偶然でした。
でも、実際にスーツに触れてみると、「スーツってかっこいいな」と思うようになって。この仕事を将来の仕事にしたいと感じるようになりました。
ただ、業界の現実として、働いているスタッフの給与が低いという課題もありました。自分自身も店長を経験しましたが、家族を持って生活していけるほどの給与ではなかったんです。
オーダースーツが好きでも、サラリーマンのままでは続けていくのが難しい。そう感じたことが独立のきっかけの一つでした。
今働いてくれている若いスタッフたちにも、もっと活躍できる場所を作ってあげたいと思っています。そのためにも店舗を増やし、給与面も少しずつ改善していきたいですね。
“ワクワクする方を選ぶ”という経営の軸
――経営判断の軸になっている考え方はありますか。
自分たちがワクワクしながら楽しく仕事をすることが、結果的にお客様の幸せにつながると思っています。
だから、迷った時は「ワクワクする方を選ぼう」とスタッフにも伝えています。
コロナ禍の時期は本当に大変でした。でも、あの時に支えてくださったお客様がいたからこそ、今があります。だからこそ、身近なお客様への感謝を忘れずに仕事をしたいと思っています。
社内では「ROファミリー」という言葉を使っているんですが、お客様もスタッフも含めて、身近な人たちを大事にしたいんです。その人たちが居心地よく、幸せでいられる空間を作ることを大切にしています。
スタッフとの対話を欠かさない組織づくり
――社内コミュニケーションで意識していることを教えてください。
一番大事にしているのは、スタッフの悩みを聞く時間を作ることです。
店舗が分かれているので、普段ずっと一緒にいるわけではありません。だからこそ、毎週なるべく顔を合わせて話すようにしています。ランチミーティングをしたり、お茶を飲みながら話したりですね。
仕事中だと、なかなか本音を話せないこともあります。だからこそ、少しリラックスできる環境で、一対一で話を聞くことを意識しています。
自分自身、今も現場に立つのが好きなんです。経営者というより、スタッフ目線に近い感覚なのかもしれません。現場から離れたいとは思っていないですね。