人を大切にする経営で、幸せに働ける組織を増やす――EL経営株式会社の伴走支援
EL経営株式会社 代表取締役 宮川公一氏
EL経営株式会社は、中小企業向けの経営コンサルティングを行う会社です。介護・福祉領域での豊富な経験を背景に、人材育成や採用、事業計画の作成、経営課題への対応などを通じて、企業に長期的に伴走しています。本記事では、代表取締役の宮川公一氏に、事業の特徴や創業の背景、今後の展望について伺いました。
人を大切にする経営を軸にした伴走型支援
――現在の事業内容について教えてください。
EL経営株式会社は、2023年4月に創業しました。現在は中小企業向けの経営コンサルティングを中心に行っています。
支援内容としては、人材の採用や育成、事業計画の作成、経営上の難しい課題への対応などです。単発の支援というよりも、中長期にわたって企業に関わる伴走型の支援を大切にしています。
また、東京都福祉サービス第三者評価の評価機関として、福祉や介護の事業所を訪問し、評価報告書の作成なども行っています。
――どのような業種のお客様が多いのでしょうか。
介護事業者や福祉系の事業者が多いです。私自身、民間の介護系企業で役員として長く携わってきました。事業所の立ち上げや運営、運営指導、M&A、人事、総務、経理など、中小企業経営に関わるさまざまな経験をしてきました。
その経験があるため、介護・福祉領域には強みがあります。一方で、家族信託の会社の役員や、飲食店の経営、NPO法人の代表や顧問、行政機関や信用金庫の経営アドバイザー、一般社団法人自走式組織協会東京支部の支部長など、多様な業種にも関わっています。
働く人が幸せであることが、良いサービスにつながる
――御社の強みやポジショニングについて教えてください。
私の軸は「人を大切にする経営」です。民間企業で働いていた頃、メンタル面で病んでしまうスタッフを多く見てきました。特に介護や福祉の現場では、人の役に立ちたい、助けたいという思いで入ってくる方が多い一方で、仕事として数字を追う場面もあり、心が疲弊してしまうことがあります。
平日の昼間という人生の大切な時間を仕事に使っている以上、幸せに働ける組織が増えてほしいと思っていました。その中で、一般社団法人人を大切にする経営学会や、同学会会長である坂本光司先生の考え方に出会い、強く共鳴しました。
社員が生き生きと働けるからこそ、良いサービスを提供できる。そしてお客様にも喜ばれ、双方が良い関係で共存していく。そうした組織を一つでも二つでも支援していきたいと考えています。
――経営の道に進まれた背景を教えてください。
学生時代には日本の大学在学中に、アメリカの大学にも1年半ほど留学しました。帰国後はソニーに入り、5年弱勤務しました。
その後、日本に戻ってからクリスチャンになり、教会の牧師に憧れを持つようになりました。ソニーを辞め、教会で牧師として勤務した時期があります。その流れの中でボランティア活動にも関わり、NPO法人を立ち上げました。
当時、介護保険が始まり、高齢者施設が多く立ち上がっていました。将来的にそうした事業を運営したいという思いがあり、ノウハウを得るために民間の介護系企業に入りました。管理職として採用されましたが、介護事業は初めてだったため、ヘルパーの資格や介護福祉士の資格を取り、現場にも入りながら経験を積みました。
長期で関わるからこそ、人材育成に深く向き合える
――現在の組織体制について教えてください。
直接雇用の従業員はまだおらず、提携しているパートナーが5名います。特に第三者評価の仕事では、プロジェクトごとに関わっていただいています。
事務的なことは、現時点では自分で行っています。顧問税理士には入っていただいていますが、簡単な仕訳などは自分で対応しています。まだ組織として大きいわけではありません。
――今後の展望について教えてください。
まずは、伴走型支援の経営コンサルティングとして、あと1、2社ほど支援先を増やしていきたいです。ただ、伴走型の支援は時間的な制約を受けやすい仕事です。スポットのコンサルティングは少なく、長期で人材育成に関わることが多いため、企業の社外役員のような形で関わるケースもあります。
そのため、たくさんの企業を同時に支援することは簡単ではありません。今後は、私と同じように「人を大切にする経営」を軸に経営コンサルティングをしたい方とパートナーを組み、事業を広げていければと考えています。
3年後には、現在の売上を1とすると2.5くらいにできたらいいですね。その時には、同じような働きをしてくれるコンサルタントが増えている状態を目指したいです。
――現在向き合っている課題は何でしょうか。
一番の課題はタイムマネジメントです。複数の会社で役員を務めていたり、さまざまな活動に関わっていたりするため、時間の配分が重要になっています。
また、創業してまだ3年ほどなので、営業を積極的に行っているというよりは、知人からの紹介や以前からのつながりで広がっている状況です。今後は、人とのつながりを増やしながら、自分が本当に力を発揮できる支援に時間を使えるようにしていきたいです。
地域や家族との時間が、経営への力になる
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
週2回はジムで筋トレをしています。また、週1回、地元のゴスペルのワークショップに参加しています。木曜日の夜に2時間ほど練習し、年間で何回かライブにも出ています。
そのほか、妻と旅行に行ったり、近所に住む娘家族や孫と過ごしたり、神戸に住む長男と会ったりする時間も大切にしています。クリスチャンなので、日曜日は教会に行って礼拝にも出ています。
また、東京都狛江市で、起業家を支援する「KIB(狛江イノベーションベース)」という任意団体の会長も務めています。地元の議員や中小企業診断士の仲間、経営者の方々と協力しながら、創業支援や街づくりにも関わっています。
――読者に向けてメッセージをお願いします。
起業すると、世界が大きく変わります。自分の枠が外れ、これまで会いたくても会えなかった人に会えたり、新しい出会いが増えたりします。会社員時代にも人脈はできましたが、企業の看板を背負っている以上、自由に自分のビジョンへ向かって動くことは難しい部分もありました。
起業すると、自分のビジョンに一歩でも二歩でも近づける感覚があります。一方で、自分が動かなければ会社も動きません。止まれば止まってしまいます。だからこそ、創業したばかりの時期はベストを尽くして仕事をしていく必要があります。
それでも、やりたいことがあるなら一歩踏み出してチャレンジしてほしいです。起業前には、初月から少しでも売上が立つよう準備しておくことも大切です。世界が広がり、世界観が変わる。その体験を、ぜひ多くの方に感じていただきたいと思います。