普通と無難を越えて、人が主役になる店づくりへ 

株式会社PLUS OKD 代表 新美泰樹氏

株式会社PLUS OKDは、クラフトビールの醸造、デザイン業、レストラン運営、カフェ運営を手がけています。経営理念に掲げるのは「全ては人」。便利さが広がる時代にあっても、人の立ち居振る舞いや対応こそが価値を生むという考えを大切にしています。本記事では、代表の新美泰樹氏に、事業への想いや経営の軸、今後の展望について伺いました。    

人で始まり、人で終わる事業づくり    

――現在の事業内容について教えてください。

現在は、クラフトビールの醸造、デザイン業、レストランの運営、カフェの運営を行っています

――事業の特徴や、他社にはない強みはどのような点でしょうか。

当社の経営理念は「全ては人」です。今はQRコードをはじめ、世の中がどんどん便利になっていますが、当社は地域柄、田舎の中で勝負をしています。だからこそ、人で勝負することを決めています。

おいしいものや良い製品をつくるのは当たり前です。それ以上に、働く人たちが主役になり、お客様を呼んでくれる。そこにビジネスが成り立つ強みがあると考えています。

――理念には、どのような想いが込められていますか。

これまでいろいろな経験をしてきましたが、どれだけ良いものをつくっていても、人の対応次第で良くも悪くもなります。今の世の中には、まずいものや極端に悪いものはあまり存在していないと思っています。

では、何で差がつくのか。それは説明の仕方、その人の雰囲気、立ち居振る舞いです。人によって価値は上がるし、逆に下がることもある。だから「全ては人」という考えを大切にしています。

野球と海外経験が教えてくれた、地域に根ざす商売   

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

小さい頃からずっと野球をやっていました。実家は「あられ屋」を営んでいて、長男として生まれたので、いずれ会社を継ぐのだろうという思いもありました。継がない選択肢があるとすれば、プロ野球選手になるしかないと思っていたんです。

大学卒業後は、野球でアメリカやドイツに挑戦しました。そのときに海外の生活や考え方に触れ、地域に密着している文化に強く惹かれました。野球でもバスケットでも、地元のチームを応援する。そういう姿を見て、自分も地元で、お客様に来てもらえる商売をしたいと思うようになりました。

その後、24歳まで野球に挑戦し、プロ野球の道を諦めました。実家の修行として新潟や中国で約2年学び、34歳頃までは実家で働いていました。ただ、34歳のときに家を出て、東京でアルバイトを始めました。あのとき家を出なかったら、今の自分はなかったと思っています。

――経営判断の軸になっている価値観はありますか。

野球でチームプレーを経験してきたので、方向性は必ず示さなければいけないと思っています。面接でもスタッフにも、「何が起きても、俺が正解」と伝えています。

右へ行く人、左へ行く人がばらばらにいたら、チームは崩れてしまいます。たとえ間違っていたとしても、まずは示した方向に進む。そういうやり方をしています。

社員の声を聞き、面白い人と働く   

――社内のコミュニケーションで大事にしていることは何でしょうか。

まだ大きな企業ではないので、アルバイトの学生や大学生、パートの方とも、月に1回「3分ミーティング」を行っています。その時間は私が話すのではなく、スタッフが3分間話します。相談や、日頃考えていることを聞く場です。

また、社員主体でポジションミーティングも行っています。キッチン、ホール、カフェなど、それぞれのポジションごとに3ヶ月に1回話し合います。さらに「ソンスタ」という勉強会も行ってきました。会話のスキルを上げる、装飾をきれいにする、割れたお皿を金継ぎで直すなど、自分たちでお店を良くするための学びの場です。

――採用や育成で、一緒に働きたいと感じる人はどのような人ですか。

とにかく面白い人です。会社として、副業OKや「週休三日」のような働き方も目標にしています。

ただビールをつくりたい、カフェをやりたい、レストランで働きたいだけでは少し面白くないと思っています。週3日休みがあるなら、そのうち1日は大工さんや左官屋さんなど、まったく違う仕事をしてもいい。そうすると世の中を見る目が広がります。いろいろなことに興味がある人と一緒に仕事をしたいです。

普通と無難を使わない挑戦   

――今後取り組みたい新しい挑戦を教えてください。

クラフトビールは、最初は個人事業主として始めました。その後、法人化し、そのタイミングでスタッフや従業員も増えました。クラフトビールを始めて6年、お店を始めて4年になります。

今後は、来年度にコーヒーの焙煎へ挑戦することを決めています。さらに宿を併設することも考えています。将来的には、日本だけでなく海外でお店を出したいという目標もあります。

――いま向き合っている課題はありますか。

田舎で事業をしているので、「地域おこし」や「町おこしを頑張っていますね」と言われることがあります。ただ、自分たちはあまりそういう意識でやっているわけではありません。

たまたま自分たちのお店やビールが面白くて、お客様が来てくれる。そこに賑わいが生まれ、住んでいる人たちの生活が自然に豊かになる。それが理想です。一方で、行政や観光協会のようなところには、もっと力を発揮してほしいという思いもあります。

――経営の中で、これだけは譲れないという思いはありますか。

当社で使ってはいけない言葉として決めているのが、「普通」と「無難」です。

「普通でいいよね」「無難に行きましょう」という会社にはしたくありません。常に驚きがあり、人が思いつかないことに挑戦する。お客様に喜んでもらうために、「普通」と「無難」は絶対に使ってはいけない言葉だと思っています。

仕事もビールも、自分らしく楽しむ 

――お休みの日など、リフレッシュの仕方を教えてください。

休みはあまりありません。ただ、経営者なので、いい意味で毎日が休みのようでもあり、毎日が仕事でもあります。自由ではありますし、仕事をしていても嫌ではありません。朝早くからずっと仕事をしていても、特に疲れるとは感じません。

むしろ休みがあって遊びに行っている方が心配になったり、疲れたりすることもあります。仕事をしている方が落ち着いています。ビールをつくっていることもあり、ビールが好きなので、ビールを飲んでいる時間が一番のリフレッシュかもしれません。

あと6年ほどで、50歳で引退すると決めています。それまで突っ走るつもりです。

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