AI画像解析とドローン技術で社会インフラの未来を支える――SolaMilSystems株式会社の挑戦と展望

SolaMilSystems株式会社 代表取締役 鈴子 英一氏

ドローンによる撮影データとAI画像解析を掛け合わせ、社会インフラや産業分野の課題解決に取り組むSolaMilSystems株式会社。太陽光パネルの劣化診断を起点に、農業や建築領域へと応用範囲を広げながら、社会全体の安全性向上を目指しています。本記事では、代表の鈴子英一氏に、事業の歩みと技術の強み、経営の根幹にある価値観、組織づくりの姿勢、そして未来に向けた展望について伺いました。 

ドローン×AIが生み出すインフラ診断の新しい形

――現在の事業内容と、特に注力している領域について教えてください。

事業は大きく分けて、AI画像解析システムの開発、ドローンによる点検・調査、IT関連サポートの3つを展開しています。現在は特に、ドローンで撮影した画像をAIで解析し、レポートとして提供するサービスに注力しています。ソーラーパネルの劣化診断を起点に事業を広げており、現場で取得した画像データをAIが解析し、その結果をレポートとしてお客様へ提出する流れが基本です。

これまで、ドローンで撮影した大量のデータを人の手で確認しレポート化するまでに、1週間ほどを要していました。その間、操縦士が解析業務に時間を取られ、本来注力すべき撮影業務に十分な時間を割けないという課題がありました。

そこで現在はAIによる自動解析を導入し、当日中に結果を出せる仕組みへと進化させています。これにより作業時間の大幅な短縮を実現し、現場の負担軽減にもつながっています。

――他社との差別化や技術的な強みはどこにありますか。

単なるドローンとAIの組み合わせではなく、医療機器分野で培った画像診断の知見を活用している点に強みがあります。

過去に医療機器メーカーで開発や技術営業に長く携わった経験が、現在の事業にしっかりと活きています。また、AI開発企業との共同開発を通じて、実務レベルで使える精度の高い解析システムを構築できている点も大きな特徴です。

さらに、AIが全体の約90%の処理を担い、残りの10%を人が最終確認・修正する体制を整えています。この設計によって効率性を確保しながら、品質面でも妥協しない運用が可能になっています。

従来のレポートが現場で十分に活用されていないケースも多かったことから、再確認が不要となるレベルまで精度を高めることに徹底して取り組んできた点が、他社との差別化につながっています。

医療からインフラへ――経営の軸を形づくった経験

――経営者としてのキャリアや背景について教えてください。

もともとは医療機器メーカーに長く勤務し、画像診断領域の開発や技術営業に携わってきました。医療画像の分野は、一般的な技術領域よりも10年以上先を行っているとも言われており、そうした環境の中で画像解析技術やシステム開発の知見を積み重ねてきました。現在の事業の土台になっているのも、その頃の経験です。

その後は海外企業でも経験を重ね、画像技術そのものへの理解をさらに深めてきました。放射線などエネルギーを用いた撮影技術に関する知見は、現在取り組んでいるインフラ点検の分野にも通じる部分があると感じています。

その後、医療AI関連企業で副社長として経営にも携わるようになり、自分自身の構想をより形にしたいという想いから、合同会社を立ち上げました。当初は医療機器の開発やコンサルティングを中心に事業を進めていましたが、その中でドローン事業者と出会ったことが大きな転機になりました。

現場では、撮影後の画像解析やレポート作成に多くの時間を要し、収益モデルとして成立しづらいという課題がありました。そこで、これまで培ってきた画像解析やAIの知見を活かし、ドローンで撮影した画像をAIで解析する仕組みづくりに取り組み始めました。 

そうした取り組みを進める中で、投資家の方から声をかけていただいたことをきっかけに、現在の事業へとつながっていきました。

――経営判断の軸となっている価値観は何でしょうか。

常に中心にあるのは「社会インフラの劣化診断」というテーマです。インフラの安全性を確保することこそが最も重要な使命であり、その一点をぶらさずに判断を重ねています。

また、東日本大震災の経験も大きな背景となっており、いつどこで起きるかわからない災害に対して、事前に備えることの重要性を強く意識するようになりました。

社会の基盤を守るという視点を持ちながら、技術や事業の方向性を選択していくことに重きを置いています。 

少人数でも機能する組織と、信頼を軸にした採用方針

――現在の組織体制について教えてください。

現在は共同経営者と、社員を含む少人数体制で運営しています。それぞれの役割は分かれていますが、全員が同じ方向性を共有していることを重視しています。

立場や役割の違いを超えて、同じテーマに向かって意思を揃えていくことが、組織の軸になっています。 

――社員との関わりで大切にしていることは何ですか。

各自が興味関心を持てる領域に、主体的に取り組める環境づくりを大切にしています。興味を持てる分野ほど力を発揮しやすいと考えているため、プロジェクトへ参加してもらう際も、本人の関心や適性を確認した上でアサインするようにしています。

また、日々のコミュニケーションも重視しており、隠し事のない情報共有ができる関係性づくりを心がけています。互いに率直に意見を交わせる環境を整えることで、チーム全体の動きや質も高まっていくと考えています。

インフラ横断へ広がる未来と新たな社会実装

――今後の事業展開について教えてください。

今後はソーラーパネルにとどまらず、道路、橋、建物といったあらゆる社会インフラへと劣化診断の対象を広げていきたいです。インフラごとに分断されている点検領域を横断的に統合し、社会全体の安全性を底上げする仕組みの構築を目指しています。

また、大学との共同プロジェクトとして農業分野にも取り組んでいます。農業領域では人手不足やコスト負担、害虫被害による収穫ロスといった課題があり、これらの解決に向けてドローンの活用を構想しています。

ビニールハウス内をドローンで撮影し、AIが病害虫の発生箇所を検知してアラートを出す仕組みや、その情報をもとに農薬散布を自動化する仕組みも検討しており、現場の負担軽減と生産性向上の両立を狙いとしています。 

日常の中で整える思考とリフレッシュ

――リフレッシュ方法について教えてください。

ドライブや旅行で気分転換をしています。家族と伊豆や富士山周辺を訪れることも多く、普段見ない景色に触れることで思考を整理しています。また、映画や動画鑑賞も一人の時間の過ごし方として大切にしています。

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