民泊を文化へ――京都Visitorsが支える、地域に愛される宿泊事業のかたち

合同会社京都Visitors 代表 服部ひとし氏

合同会社京都Visitorsは、京都を拠点に小規模宿泊事業者向けの総合支援サービスを展開しています。民泊やプチホテル、小規模ホテルを対象に、清掃、リネンリース、運営コンサルティング、民泊清掃のコーチングなどを行ってきました。本記事では、代表の服部ひとし氏に、創業の背景や事業への思い、今後の展望について伺いました。

民泊清掃から広がった、小規模宿泊事業者への支援

――現在の事業内容について教えてください。

小規模事業者を対象に、総合支援サービスを行っています。特に民泊やプチホテル、小規模ホテルに向けて、清掃、リネンリース、運営のコンサルティング、ホテル清掃や民泊清掃のコーチングなどをしています。

特徴としては、シェアリングエコノミーを活用して事業を展開している点です。民泊という仕組みを通じて、空き家や空室に悩む方の力になれると考えています。

――事業を始めたきっかけを教えてください。

10年ほど前、Airbnbが日本に入ってきて、京都にも物件が少しずつ増え始めた頃に、知人を通じて民泊清掃の相談を受けたのが始まりです。「お部屋の清掃+ベッドメイキングをお願いできますか?」というご依頼内容でした。 当時は副業で民泊を運営している方も多く、平日の清掃に困っている人がいました。

その様子を見て、これは需要があると感じました。集客のために民泊清掃専用のホームページを作ったところ、京都市内ではまだ珍しかったこともあり、反響をいただきました。もともとハウスクリーニングや住宅メンテナンスをしていたこともあり、そこから新しい事業として広げていきました。

京都を知ることが、事業の強みになる

――他社にはない強みはどのような点でしょうか。

もともとハウスクリーニングや住宅メンテナンスの仕事をしていて、その前には建築関係の仕事にも関わっていました。そのため、建築関係の知人や横のつながりがあります。民泊も物件ですから、清掃だけでなく、クーラーが効かない、クロスを張り替えたいといったトラブルや修繕の相談が出てきます。そこに対応できることは強みです。

もう一つは、私自身が京都で生まれ育っていることです。京都には京都独特の事情や文化習慣、地域の特性などがあります。他府県から京都で民泊を始める方の中には、その地域性を知らずに困る方もいました。東京や大阪と同じ商売のやり方では通じない部分もあります。そうしたローカルな事情が分かることも、当社の強みだと思っています。

――理念やビジョンには、どのような思いがありますか。

京都は世界的な観光都市です。私自身、生まれたときから観光都市としての京都で育ってきました。観光と生活がどう共存していくかは、京都にとって大切なテーマです。

民泊には、単に泊まる場所を提供するだけではなく、おもてなしの文化や人との交流があります。社会的には民泊に対して誤解や偏見もありますが、真面目に取り組んでいる事業者も多くいます。どうすればお客様に喜んでもらえるか、どうすれば地域に迷惑をかけずに運営できるかを日々考えながら、工夫と努力をしている人たちがいます。

「民泊は世界平和に通じるビジネスですね」と言われたことがあり、その言葉が今も印象に残っています。民泊は民間の平和大使のような役割もあると思っています。町からも人からも愛される民泊をつくること。それが、民泊を文化にしていくことにつながると考えています。

質の良い関係を築く経営

――経営の道に進まれた背景を教えてください。

正直に言うと、最初から社長になりたいと思っていたわけではありません。性格的に勤め人は難しいと思い、自分で技術を身につけて、自分で食べていかなければならないと考えたことが始まりです。

最初は一人で仕事をしていましたが、仕事が増えて手伝ってくれる人が必要になり、周りから社長と呼ばれるようになりました。最初は社長という自覚もあまりありませんでしたが、続けていく中で、取引先含め関わる人達に喜んでもらえるような仕事をしようという意識が出てきました。

――経営判断の軸になっている価値観はありますか。

先輩経営者から「質の良い関係を大切にしなさい」と言われたことがあります。人間関係も仕事も、関係性を築くことが自分のビジネスや人生に役立つという言葉でした。

私たちの仕事は、人に協力してもらう仕事です。取引先やお客様、外注の方、パートの方と、上下関係ではなく、お互いに助け合える関係を築くことを意識しています。

もう一つ大切にしているのは、「義のないことはしない」ということです。義のないことをしていては、お客様も家族も周りの人もついてきません。信頼を得るためにも、義のある仕事をしていきたいと思っています。

人手不足を解決するために、清掃事業者を育てる

――社内外のスタッフとの関係で大切にしていることは何でしょうか。

コロナ前はパートスタッフもいましたが、今は家族を中心に回しながら、外注の方やパートの方にも協力してもらっています。大切にしているのは、まめにコミュニケーションを取ることです。

困っていることや不満がないかを聞いたり、現場の話をしたりします。そうして関係を築いていると、こちらが困ったときにも助けてくれることがあります。お互いに助け合える関係をつくることを心がけています。

――今後、どのような挑戦を考えていますか。

民泊業界は、行政の条例や規制などもあり、事業環境が厳しくなっています。一方的に悪いイメージを持たれることもあるため、業界の仲間と協議会や社団法人のような団体をつくり、社会的な認知を高める活動をしていきたいと考えています。

また、事業としては車中泊スポットの運営展開にも取り組んでいます。新しい客層の開拓やマーケティングも進めているところです。

課題として大きいのは人手不足です。特に清掃スタッフは不足しています。そこで、やる気のある人に対して、民泊清掃やハウスクリーニングで独立開業できるようなコーチングをしていきたいと考えています。副業から始めてもよいですし、技術やスキル、ロードマップを伝えることで、清掃事業者の育成につなげたいです。それが業界全体の人手不足の解決にもつながると思っています。

旅と人との関わりを大切に

――リフレッシュの方法を教えてください。

旅が好きなので、車でドライブに行くことがあります。最近はジムに行ってプールに入ることもあります。映画を見たり、音楽を聴いたりすることもありますが、まとまった時間があれば旅行に出ることが多いです。以前、コロナ禍の時間を活用し、キャンピングカーで日本列島を旅した時に、民泊と車中泊の相性が良いことを実感しました。その経験を今後のビジネスにも活かしていきたいと思っています。

民泊は、人と人との交流から生まれる事業です。地域からもお客様からも喜んでもらい、町からも人からも世界からも愛される民泊をつくっていきたい。そうした取り組みを通じて、民泊を一つの文化にしていきたいと思っています。

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