健康をもっと身近に――BELLE-WELLが企業の現場で育む“予防”の文化

株式会社BELLE-WELL 代表取締役/薬剤師 髙橋 純子氏

株式会社BELLE-WELLは、中小企業を中心に、従業員の健康づくりを支援する企業です。薬剤師として薬局や病院の現場に立ってきた経験をもとに、病気になってから対応するのではなく、不調を未然に防ぐ「予防」の大切さを伝えています。本記事では、代表の髙橋純子氏に、事業への想いや経営の考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。

“予防”の考え方を企業の現場へ届ける

――現在の事業内容について教えてください。

主に、中小企業様の生産性向上のため、従業員の皆さんの健康相談などに定期訪問やオンラインでの個別相談で対応しています。人口減少や授業員の高齢化が深刻な日本において、「従業員満足度」は経営者にとってとても大切。まだ見えない「未病」に対応すること、そして経営者が気づかなかった問題を指摘させていただくことで、組織文化の改革にもつながります。そのほか、健康経営優良法人(従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する企業のなかでも特に優良な法人を、経済産業省と日本健康会議が認定する制度)の認定サポートや、勉強会も行っています。

薬剤師として30年のキャリアを重ね、調剤薬局や院内薬局などで働くなか、患者さんは「具合が悪くなってから病院や薬局に来る」ということです。もちろん、医療の現場ではそれが普通なのですが、私個人としては、「もっと早い段階でできることがあるのではないか」と感じていました。

病院や薬局は、多くの方にとって敷居が高い場所です。だからこそ、病気になってからではなく、その前の“予防”の部分でお手伝いしたいと思い、事業を立ち上げました。

勉強会では、インフルエンザや五月病のような時期ごとに起こりやすい不調について、1〜2か月前に予防の話をします。必要なときに「あのとき聞いた話だな」と思い出していただけるような機会にしたいと考え、取り組みを続けています。

――御社ならではの強みはどのような点にありますか。

中小企業を中心に、一社一社の現場に入り、実情を見ながら支援できる点です。

ご本人の同意を得て健診結果を見せていただいたり、事前アンケートで身体の状態を伺ったりしますが、実際に会って話すと、ご本人が感じていることと、こちらが見えていることに差がある場合もあります。だからこそ、当社では従業員様や社長様のお話しを直接伺い、その内容を整理しながら必要な支援につなげていくことを大切にしています。

書類を整えて終わりではなく、現場にある課題を一緒に見つけ、継続的に取り組める形にしていくことが、当社の役割だと思っています。

薬剤師としての原点と、起業への想い

――薬剤師を目指されたきっかけを教えてください。

母が看護師をしていたこともあり、医療は身近な存在でしたが、薬剤師を目指した直接のきっかけになったのは、中学生のころに祖母ががんで亡くなったことです。

また、親族のなかにも若くして亡くなった方がいたため、子どものころから「人は急にいなくなってしまう」という感覚がありました。そうした環境のなかで進路を考えるうちに、「人のために何かをしたい」「医療に関わりたい」という想いが強くなり、薬剤師という道を選びました。

――薬局の外へ出て、企業向けの事業を始めた背景は何でしょうか。

薬剤師として、調剤だけでなく、店舗開発やエリア管理などにも関わりました。その後、私自身が体調を崩し一度医療の現場から離れたのですが、そのときに経営塾に通う機会を得ました。そこで経営者の方々と接するうちに、「企業の内側にも健康に関する課題がある」と感じるようになりました。

人口減少が進む現代の日本において、今いる従業員をいかに大切にするかは、企業にとって重要なテーマです。そうした状況のなかで、私は「健康」という面からお手伝いできるのではないかと考えました。

社長と従業員という間柄では、体調や健康のことを話しづらい側面がある場合もあります。私はそのあいだに入り、橋渡しをする存在になりたいと思いました。

――事業を行う上で大切にしてることはありますか。

現場の声を聞くことです。書類を提出して終わりではなく、社長様や従業員様と直接対話し、現場の意見を反映しながら次につなげていく――その積み重ねによって、従業員様が楽しく働ける環境をつくっていきたいと思っています。

おもてなしの心で人に寄り添う

――今後、組織を広げていく構想はありますか。

現在は私1人で運営しています。もともとは直接訪問を中心に考えていましたが、実際に取り組むなかで、オンラインでもできることがあるとわかってきたため、近場だけでなく、全国に活動を広げていける可能性も感じています。

今後件数が増えていけば、従業員を増やしていきたいと考えています。個人情報や健康に関するセンシティブな内容を扱うため、セキュリティ面をしっかり整える必要はありますが、オンラインといった働き方も選択肢に入ると思っています。

――一緒に働く方に求めるものは何でしょうか。

一番大切にしたいのは、おもてなしの心です。医療の現場を経験しているかどうかだけではなく、人と向き合う姿勢が大切だと思っています。

薬局で働いていたときも、おもてなしの面でも患者様から選ばれる薬局を目指していました。BELLE-WELLでも、相手に寄り添い、気持ちの部分できちんとコミュニケーションがとれる方と一緒に働きたいです。

認定をゴールにしない健康経営へ

――現在の課題について教えてください。

今は、このサービスをいかに多くの方に知っていただくかが課題です。健康経営という言葉自体は広がってきているものの、当社が行っていることを言語化して伝える難しさも感じています。そのため、noteでブログを書き始め、自分の想いや「何がしたいのか」といったところを少しずつ整理して発信しています。

――最後に、今後の展開についてもお聞かせください。

これからは、オンラインを活用しながらより多くの企業に当社の想いやサービスを届けていきたいです。

当社では、健康経営優良法人の認定サポートについても、「認定を取ることがゴールではない」とお伝えしています。健康経営を始めようと思った時点がスタートであり、そこから社長様の考えや社員様の声を深掘りし、継続的に取り組むことが大切です。

また、健康や医療をもっと身近に感じてもらいたいと思っています。病院に行くことを急に習慣にするのは難しいかもしれません。だからこそ当社は、毎月の対話や小さな勉強会を通じて、「健康について、少し相談してみよう」と思われる存在でありたいです。

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