英語×STEAM教育で、世界に挑む子どもを育てる――ロッボジャパンが目指す次世代教育

ロッボジャパン株式会社 代表取締役 二宮 靖雄氏

ロッボジャパン株式会社は、フィンランド発の子ども向けSTEAM教育教材を展開し、東アジア・東南アジアを統括するマスターフランチャイザーです。プログラミングだけでなく、電子回路設計や3Dモデリングを組み合わせ、さらに授業を英語で実施することを特徴としています。本記事では、代表の二宮靖雄氏に、教育への想いや経営者となった背景、今後の展望などについて伺いました。

英語とITを同時に学び、世界で活躍できる力を育てる

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

弊社では、6歳~7歳向けの1年間コースと、8歳~10歳、11歳~14歳を対象とした4年間のコースを展開しています。単にプログラミングを覚えるだけではなく、電子回路設計や3Dモデリングまで学べることが大きな特徴です。

例えば、3Dで自分で設計したものを教室の3Dプリンターで出力し、市販のモーターやArduino(オープンソースのマイコンボードおよび開発環境のプラットフォーム)などを組み付けます。それをプログラムして、LEDを光らせたり、センサーを使ってロボットの動きを制御したりするなど、ゼロから考えたものを実際に形にするところまで経験できる、本格的な内容です。

授業は最大6人の少人数制で、基本的に講師は英語で話します。日本語しかわからない生徒さんには最初は私が通訳しますが、2年目からは徐々に通訳を減らしていくんです。プログラミングで使う言葉は限られているため、子どもたちは次第に英語を聞いただけで手が動くようになります。

――どのような想いから、この教育に取り組まれているのでしょうか。

一番のビジョンは、この教室から世界で活躍する子どもたちを送り出すことです。

私は海外で生活した期間が長く、多様な人種や考え方を持つ人たちが共通言語を使いながら、新しいアイデアを生み出す環境を見てきました。

これからの仕事や社会を考えると、英語とITは非常に重要です。日本語の良さを大切にしながらも、英語を使い、ITを理解し、異なる価値観を持つ人とも仕事ができる――そのような人材を子どもの頃から育てたいと考えています。

会社員から経営者へ――海外経験を教育事業に生かす

――経営者になられたきっかけを教えてください。

総合商社で30数年勤めた後、「自分で新しいことに挑戦したい」と考えたことが、経営者になったきっかけです。役員への道が閉ざされたことを一つの契機として独立し、自分の会社を立ち上げました。その後、さまざまな事業に挑戦するなかで現在の教育事業と出会い、2019年にスタートさせました。

商社時代には20年以上にわたって海外に駐在し、多くの国を訪れています。そこで培った海外への理解や、世界を身近に捉える視点は、現在の「世界で活躍できる子どもを育てたい」という事業への想いにもつながっています。

――経営するうえで大切にしていることは何でしょうか。

子どもたちに「ここに通ってよかった」と思ってもらえる内容を提供し続けることです。ITのツールは数年で大きく変わりますから、プログラムも毎年見直していかなければなりません。

当初はScratch(米マサチューセッツ工科大学のメディアラボが公開しているビジュアルプログラミング言語)を中心に教えますが、その後、センサーを使った機器や、MIT App Inventor(同大学が提供する、コードを書かずにスマートフォン向けのアプリを開発できる無料のビジュアルプログラミングツール)を使ってスマートフォンのアプリを作る授業、3年目には、プラットフォームを自分で3D Modelingで設計し、電子部品を載せて回路設計し、それをプログラミングして3輪車などをジョイスティック、赤外線リモコン、Bluetoothでスマホでコントロールするレッスンを3つこなします。子どもが創作を通じ、トライアンドエラーの中で成功体験を積み重ね、次第に実力を付けて行き、笑顔になってくれる事、それが私たちの大きなモチベーションです。

「なぜ?」を生み出し、試行錯誤する楽しさを伝える

――子どもたちとのコミュニケーションで意識していることはありますか。

単に操作方法だけを教えるのではなく、「光とは何だろう」「音とは何だろう」と問いかけ、興味を持ってもらうことです。ライトセンサーを扱う授業でも、最初からセンサーの使い方だけを説明するのではなく、その背景にある現象について話します。光について考えさせ、相対性理論の入り口にも言及し、不思議な事に興味を持ってもらうようにしています。

自分で作ったプログラムによってロボットが思った通りに動けば、大きな喜びがあります。一方、動かなければ「何が違うんだろう」と考えてもらう――原因を見つけて修正し、最後に動いたときの体験こそ、子どもにとって大切だと思っています。

――事業を続けるなかで、手応えを感じていることはありますか。

コツコツと真面目に取り組むことで、教室として成果を積み重ねられていることに手応えを感じています。渋谷では店舗の一部を借りるところから始まり、貸会議室での運営を経て、現在は約30平方メートルの教室に3Dプリンターや大型モニターなどを設置しています。最大6人の少人数制を守りながら、一人ひとりの子どもと向き合ってきました。

教育事業は、すぐに利益を求める姿勢だけではなかなかうまくいきません。オーナー自身が子どもたちへの愛情を持ち、「こういう人材を育てたい」という情熱を持って取り組むことが大切だと考えています。

プログラミングに触れる入口を広げ、次の世代へ

――現在、事業を広げていくうえでどのような課題がありますか。

大きな課題は、英語で授業ができる講師や、同じ想いを持って教室を運営してくれるフランチャイジーを増やすことです。英語とITの重要性や、幼い頃から学ぶ必要性が、まだ十分に浸透していないとも感じています。

教室を広げるためには、単にビジネスとして参加するのではなく、子どもたちへの想いや教育への情熱を持った人に加わってもらうことが大切です。そうした仲間をどのように増やしていくかが、今後向き合っていく課題だと考えています。

――今後、新たに取り組んでいきたいことを教えてください。

子どもたちがプログラミングに興味を持つきっかけを、もっと増やしていきたいです。

当社は、世界大会につながる「Scratch Olympiad」の日本大会事務局を担っています。さらに、世田谷区の小学生を対象としたプログラミングコンテストの企画にも取り組んでいます。身近な友達が作品をつくり、賞をもらう姿を見れば、「自分もやってみたい」と思う子どもが出てくるはずです。そうした機会を通じて、子どもの頃から英語やITを「面白い」と感じてもらいたいと考えています。

――この事業を通じて、将来的に実現したいことは何でしょうか。

私の夢は、ここで学んだ子どもたちが成長し、自ら新しい事業を立ち上げ、世界で活躍してくれることです。英語やITを身につけることは、その可能性を広げる一つの力になると考えています。

今後も、自分で考え、試行錯誤しながら新しいものを生み出せる子どもたちを育てていきたいです。そして、一人でも多くの子どもが将来世界へ踏み出せるよう、英語やITに興味を持つきっかけと学べる環境を、これからもつくっていきたいと思います。

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