地域のエネルギー自給率を高め、山口から未来を変える――一般社団法人やまぐちRE100の挑戦

一般社団法人やまぐちRE100 代表理事 津田 龍春氏

一般社団法人やまぐちRE100は、事業所の省エネやエネルギー自給率の向上を通じて、山口県のエネルギー自給率100%を目指して活動する団体です。毎月の勉強会や会員同士のマッチング、交流会、EVに関するイベントなどを展開し、地域の事業者がつながりながら取り組める環境づくりを進めています。代表理事を務める津田龍春氏に、団体設立の背景や活動への思い、経営者として大切にしている価値観、今後の展望について伺いました。

省エネと地域のつながりから、エネルギー自給率向上を目指す

――現在の活動内容について教えてください。

事業所の省エネとエネルギー自給率の向上を通じて、山口県のエネルギー自給率を高め、日本の安全保障や地球環境の向上につなげることを目的に活動しています。

具体的には、省エネの手法や商品・商材などを紹介する勉強会を毎月1回開催しており、累計では39回になりました。また、会員同士のマッチングにも力を入れています。会員は山口県内の事業所が中心で、皆さん山口県への思いを持って参加されています。何か必要なものがあれば、できるだけ県内の事業者にお願いしたい。そんなつながりをつくっているんです。

そのほか、交流会や省エネの事例発表会を年2回、EVの試乗を含めたイベントを年1回開催しています。

――活動を始められた背景には、どのような思いがあったのでしょうか。

別の会社では、住宅用の太陽光発電などを通じて住宅の省エネやエネルギー自給率向上に取り組んでいます。一方で、事業所については自分たちの業務ではないため、なかなか踏み込めずにいました。

並行して、山口県や山口市の地球温暖化防止に関する委員も10年ほど務めています。本来、やまぐちRE100のような活動は行政に取り組んでいただきたい部分もありますが、温暖化やエネルギーの問題は急ぐべき課題です。行政を待っているだけではなく、「それなら自分たちでやろう」と考え、活動を立ち上げました。その約2年後に一般社団法人化し、現在に至ります。

「もったいない」を出発点に、無理なく続く省エネを

――省エネや環境への取り組みは、コスト面を不安視する企業もあります。取り組みやすくするために意識していることはありますか。

一番大切なのは、「元が取れるかどうか」です。勉強会でも、そこはかなり踏み込んで確認しています。環境に良い効果があったとしても、それ以上にコストが増えてしまえば、取り組みが先送りになりかねません。

だからこそ、まずは元手がかからないことや、投資しても回収できることから順番に始めればいいと考えています。回収までの年数以上の期間で分割したり、融資を活用したりすれば、現在の光熱費を支払うのと大きく変わらない場合もあります。設備を導入しても全体の出費を減らせる方法を示すことで、取り組みへのハードルを下げたいんです。

――活動の中で譲れないことは何でしょうか。

エネルギー使用量をきちんと測ることですね。会員にはエネルギー使用量の報告をお願いしていますが、これまで計測してこなかった事業所にとっては手間になる面もあります。

ただ、ダイエットでいえば体重計に乗るのと同じです。測らなければ、改善したのかどうかも分かりません。実際、太陽光発電などを導入して「減っているだろう」と思っていたものが、数字として見えることで、「もっと減らそう」と意識が変わった事業所もあります。だからこそ、計測は外せない部分なんです。

「ワクワク」と「笑顔」を判断軸に、長く信頼される仕事を

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

30歳までは自分が本当にやりたいことを見つけられずにいました。30歳のときに住宅用の太陽光発電やオール電化に関わる仕事と出会い、「これをとことんやってみよう」と思ったのが始まりです。その日は眠れないくらい興奮したことを覚えています。

親や兄弟、友人にも心から勧められて、みんなを笑顔にできる仕事だと思えたんですね。最初から経営者になろうと考えていたわけではありませんが、とことん取り組んでいく先に独立という選択肢が見えてきました。

また、以前の仕事で身についた「販売後もお客様を訪問する」という習慣も大きかったですね。工事後も訪問すると喜んでいただき、追加工事や紹介につながることがありました。個人ではなく会社そのものを信頼していただき、「この会社なら後々もしっかりメンテナンスしてもらえる」と思ってもらえる組織にしたい。それも独立した理由の一つです。

――経営判断で大切にしている価値観は何でしょうか。

一つは、ワクワクする方を選ぶことです。ただし、目先だけで判断するのではなく、将来の世代交代まで見据えて、どちらが良いのかを考えます。

そして、自分たちだけでなく、お客様の笑顔がそこにあるかどうかも大切な基準です。アフターメンテナンスで伺ったときに、「本当にやって良かった」と言っていただけるような満足度を追求したい。心から満足していただけなければ、人には紹介したいと思ってもらえませんからね。

会員1000を見据え、若い世代と地域の輪を広げる

――今後の展望について教えてください。

現在の会員数は約200ですが、まず500、できれば私の代で1000まで増やしたいと思っています。数が増えれば、行政からの反応も変わってきますからね。

同時に、異業種同士のつながりには大きな価値があると感じています。「やまぐちRE100」という共通のつながりがあり、顔が見える関係の中で県内に仕事が循環していく。その結果として、お客様の幸せにもつながると思うんです。今後は会員同士のつながりを、さらに強化していきたいですね。

また、山口県立大学の学生と山口県との協業で、会員事業所の省エネの取り組みを学生が取材し、Instagramなどで発信する活動も進めています。これからは若いメンバー、若い目線をどう取り入れていくかも大切な課題です。

――最後に、今後の活動に込める思いをお聞かせください。

エネルギー問題は、世界の平和にもつながるテーマだと考えています。何かが起きたときに困らないためにも、エネルギー自給率を高めていくことは非常に重要です。

そのためには、エネルギーをできるだけ電気に寄せ、自社や自宅で電気をつくれるようにしていく。EVの普及も、その流れの一つだと考えています。

地域でつくれるエネルギーを増やし、地域の中でお金や仕事が循環する仕組みをつくっていく。「もったいない」という思いを大切にしながら、山口県からエネルギー自給率の向上に取り組み、その先にある安心できる未来につなげていきたいですね。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。