玉ねぎを軸に生産と販路を拡大|従業員と現場を大切に進める事業展開
馬詰青果株式会社 代表 清水 俊広氏
馬詰青果株式会社は、淡路島で玉ねぎを中心に生産しながら、近年はブロッコリー、キャベツ、白菜にも品目を広げています。農家の高齢化や人手不足、市場環境の変化に向き合いながら、自社生産の拡大と販路の多様化を進めている点が特徴です。現場に立つことを大切にし、従業員との関係や職場の雰囲気にも目を配る清水氏に、これまでの歩みや組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
玉ねぎを軸に、自社生産と販路の幅を広げる
――現在の事業内容について教えてください。
現在は玉ねぎをメインに生産しています。そこに加えて、ここ3〜4年ほどでブロッコリーやキャベツ、白菜の自社生産も 増やしています。
農家の高齢化によって生産者自体が減っているため、当社としては自社での生産量を増やしていきたいと考えています。特に、主力である玉ねぎの生産を今後さらに伸ばしていきたいです。
一方で、人手不足は大きな課題になっています。生産量を増やすにも、新しい作物に取り組むにも人員が必要です。現状は何とか対応していますが、今後の展開を考える上でも、人を確保することは重要だと感じています。
――販売面では、どのような方向を目指していますか。
これまでは市場での販売が中心でしたが、これからは量販スーパーや百貨店など、直接取引できる販売先を増やしていきたいです。できれば貿易関係も視野に入れています。
淡路島の玉ねぎはブランド化されていますが、現在はほかの地域でも甘い玉ねぎなどが改良され、生産されるようになりました。そのため、市場だけに頼るのではなく、当社で直接販売先をつくっていく必要性を感じています。
当社ではネット販売も行っており、既存の販売方法を継続しながら、新しい販路も広げていく考えです。
農業が好きだったことが、現在の経営につながった
――農業の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともとの仕事は、実家の建築関係でした。その一方で、農業のアルバイトや手伝いをする機会があり、続けているうちに農業が好きになりました。
最初から経営者になることに強いこだわりがあったわけではありません。農業が好きで続けてきた先に、経営する立場があったという感覚です。
農業のアルバイトでは玉ねぎに触れる機会が一番多くありました。そうした経験も、現在の仕事につながっています。
――経営する上で、大切にしていることは何でしょうか。
1人ではできないということです。理想はいくらでも膨らませられますが、実際に組織を動かしていくのは自分1人ではありません。
私は「従業員がいてこそ成り立つ」ということを、いつも頭に置いています。特定の誰かを尊敬して、その考え方をそのまま取り入れたわけではありません。
ただ、職場の雰囲気を大切にすることや、従業員を大事にする考え方には、父の影響もあると思っています。私のなかでは、そうした考えが経営の基本になっています。
現場に立ち、行動で示すことを大切に
――社内のコミュニケーションで意識していることを教えてください。
私が大切にしているのは、職場の雰囲気です。日本人の社員だけでなく、ベトナム人やインドネシア人のスタッフもいるため、普段から一人ひとりの表情を見るようにしています。何かありそうだと感じたときには話をして、できる範囲でケアすることも、日々意識している部分です。
現在はベトナム人のスタッフが6人、インドネシア人のスタッフが2人、日本人の社員が3人おり、そのほかに会長や事務担当がいます。繁忙期にはアルバイトの方にも手伝ってもらっており、さまざまな立場の人が働くからこそ、職場の雰囲気は非常に重要です。
――ご自身も現場に入ることを大切にされているのでしょうか。
はい。大変な仕事も、可能な限り一緒にやります。私自身が現場で働いていれば、従業員のモチベーションにもつながると思うからです。指示するだけなら簡単ですが、私が実際に行動することで、その後に何かを指示したときにも受け止めてもらいやすくなると感じています。
現場に出ることは、仕事を進めるためだけではありません。従業員との関係をつくる上でも大切にしていることです。
――採用では、どのような方と一緒に働きたいですか。
農業をやってみたいという方はいますが、実際に働き始めると、思っていたより大変だったということもあります。1〜2年経験したあとに独立する方もいるため、人の入れ替わりがあるのが現状です。
それでも、やる気がある方であればできる仕事だと思っています。そういう方に来てもらえたら嬉しいですね。
一方で、人が定着しない原因は当社にもあるという認識です。働く人だけに理由を求めるのではなく、当社としても考えていく必要があります。
特別なことを決めず、日常のなかで気持ちを切り替える
――仕事を離れたときは、どのようにリフレッシュされていますか。
食事に行ったりして、そこで気分を変えることが多いです。特別な趣味があるというよりは、そうした時間がリフレッシュになっています。
何か決まったことを意識して続けているわけではありません。普段の生活のなかで、自然に気持ちを切り替えている感じです。
生産体制を整え、販路の拡大を目指す
――今後、特に力を入れていきたいことを教えてください。
まずは生産の拡大と人員の増強です。その上で、販路もさらに広げていきたいと考えています。
以前に支援を受けたことで、実際に販路が増えました。その経験もあるので、営業面ではまだまだ動いていく必要があると感じています。
現在は私自身が現場にいる時間が長く、営業に十分な時間を使えていません。人員が増えれば、私が現場を離れ、営業や販路開拓に動ける時間も増やせます。そうした体制をつくることが、これからの大きなテーマです。
――生産面では、どのような課題がありますか。
農家が減っていることに加え、今年は主力の玉ねぎが虫の被害を受けるなどして、収穫量が少なくなっています。商品そのものがなければ販売することもできないため、安定した生産は非常に重要です。
玉ねぎだけでなく、ほかの作物でも当社として良いものを持つことができれば、仕事の幅を広げられますし、売り上げの面でも補うことができます。
ただ、新しい作物に取り組むためにも人員が必要です。生産と人材の両方を整えていかなければならないと考えています。
――これから当社として大切にしていきたい姿勢は何ですか。
淡路島には青果関係の企業も多いため、周りと同じことばかりしていては駄目だと思っています。ある程度は、当社なりの考えで取り組んでいかなければなりません。そこはスタッフと相談しながら色々な展開を考えていこうと思います。
生産を増やすことも、販路を広げることも必要だと考えています。そのためにもまず人員を増やし、私自身も営業に動ける体制をつくっていきたいです。
当社で考えながら、生産と販路の両面でできることを広げていきたいと考えています。