変化を恐れず、必要とされる会社へ――九州電化が磨き続ける技術と「プロとしての誇り」

株式会社九州電化 代表取締役社長 吉村 浩司氏

株式会社九州電化は、多品種少量のめっき加工を中心に、大物への対応や新たなめっき技術の開発にも取り組んでいます。社会や市場が変化するなか、従来の仕事を守るだけでなく、将来の可能性を見据えた技術開発を続けていることが特徴です。今回は代表取締役社長の吉村浩司氏に、事業の強みや経営者として大切にしている考え、これから目指す会社の姿について伺いました。

多品種少量から技術開発まで、幅広いニーズに応える

――現在の事業内容と、御社ならではの特徴を教えてください。

簡単に言えば、めっきをする会社です。当社の特徴は、多品種少量です。量産品を自動ラインで大量に流していくというより、小さな仕事を数多く集めて対応しています。一部には量産品もありますが、大部分は多品種少量です。

そのため、現場の責任者に判断を任せる部分も多くなっています。一方で、さまざまな小さな仕事に対応してきたからこそ、「何でもやれます」という幅の広さにつながっているんです。

また、大物に対応できる設備を持っているため、大きな製品へのめっきができることも特徴ですね。さらに技術開発部があり、世の中にまだないめっきについても開発に取り組んでいます。

――お客様から選ばれている理由について、どのように考えていますか。

一つは、さまざまな依頼に対応できることだと思います。それに加えて、結構「無理を聞く」会社なんです。納期にしても品質にしても、できる限りお客様の要望に応えようとしています。

以前は夕方に「今から持って行くから今日中にやってほしい」と依頼を受け、夜中まで対応するようなこともありました。現在は残業規制もありますので、昔とまったく同じ対応は難しいですが、その範囲内で可能な限り応えようという姿勢は変わっていません。

変化する社会を見据え、次の仕事をつくる

――技術開発を重視している理由を教えてください。

従来からある製品やめっきの仕事が、これからもずっと続くとは限らないからです。実際、以前はかなりの売上があったものが、長い年月をかけて少しずつ減っているケースもあります。おそらく以前の水準には戻らないだろうと感じるものもありますね。

社会が変われば、廃れていくものがある一方で、これから伸びるものも出てきます。だからこそ、今後伸びる可能性があるものを掴んでおかなければ、会社を存続させていくことは難しい。そう考えて開発を続けています。

現在は、GFRPやCFRPへのめっき、低反射めっき、電磁波シールドめっきなどの開発に取り組んでおり、まずはこれらを実用化していきたいですね。

――新しい技術を市場につなげるために、どのような取り組みをしていますか。

展示会やホームページ、イプロスなどを活用しています。展示会に出ると、試作や共同開発の話につながることはありますね。ただ、そこから量産まで進む案件はまだ多くありません。

実用化している開発品もありますが、現時点では売上の柱になるほどの量ではないんです。これから少しずつ増えて、将来的に会社を支える事業へ育ってくれればと考えています。

「プロとして恥ずかしくない仕事」を貫く

――経営者になられた背景を教えてください。

当社の創業者は私の父で、私は4代目になります。父が若くして亡くなり、母が2代目、その後、義理の兄が3代目を務め、私が引き継ぎました。

子どもの頃から、将来は自分が会社を継ぐのだろうと自然に思っていたんです。誰かに強く言われたのか、自分でそう考えていたのかは分かりません。ただ、特別な決断をしたというより、自然な流れのなかで経営を引き継いだという感覚ですね。

――経営や仕事をするうえで、大切にしている価値観は何でしょうか。

プロとして恥ずかしくない仕事をしたい、ということです。自分がした仕事に誇りを持てるような仕事をしたいんですよね。

ただお金さえ儲かればいいということではなく、技術を磨き、いいものをつくろうという気持ちを持つ。自分の仕事に対するプライドや、一流のプロとしての意識を大切にしたいと思っています。そして、そうした仕事を通じて社会に貢献していきたいですね。

一人ひとりの「いいところ」を活かす組織へ

――社員や組織づくりについて、どのようなことを大切にしていますか。

社員にも、ただ言われたことをするのではなく、プロ意識を持って仕事をしてもらいたいと思っています。

当社は多品種少量ですから、現場それぞれの判断に任せる部分が大きいんです。一人ひとりがしっかり仕事に向き合わなければ、いい製品はできません。当然、失敗することもあります。ただ、そうした経験を通して、人間としても成長してもらいたいと思っています。

人には、いいところもあれば苦手なところもあります。できないことだけを見て「この人はダメだ」と判断するのではなく、その人が持っているいい部分を会社の中でどう活かすかを考える。それが会社の役割ではないでしょうか。

その人に合った役割や部署、働き方を考えながら、臨機応変に組織を運営していくことを大事にしています。

新工場とAI活用で、次の時代に備える

――今後、会社として取り組んでいきたいことを教えてください。

現在、新しい工場をつくる計画を進めています。既存工場は老朽化しており、設備を更新しようとしても新しい設備を置くためのスペースがありません。そこで新工場をつくり、設備を順次更新していきたいと考えています。

開発品が量産につながった際には、新しいラインを設置できるようにしたいですね。また、めっきではさまざまな化学薬品を使用するため、地下浸透などの環境問題にも配慮した工場にしたいと考えています。

さらに、若い人が長く「ここで働きたい」と思える作業環境を整えることも重要です。物流や設備配置も含め、より効率よく仕事ができる工場を目指しています。

――AIを活用した業務改善にも取り組まれているそうですね。

最近始めたばかりですが、14名ほどがパソコンでAIを使える環境を整えました。まずは実際に触ってみて、業務改善につながる使い方がないか探している段階です。

正直なところ、まだ何ができるのか分からない部分もあります。ただ、分からないからと何もしなければ、時代に取り残されるかもしれません。まず触れてみることで、何か役立つことが見えてくるのではないかと考えています。

社員にも、お客様にも「九州電化でなければ」と思われる会社に

――これから、九州電化をどのような会社にしていきたいですか。

まずは社員が九州電化で働いて、「ここで働いてよかったな」と思える会社にしたいですね。

そしてお客様からも、「絶対に九州電化が必要だ」「ほかの会社では代わりが務まらない」と思っていただける存在になりたい。会社の大きさだけを追い求めるのではなく、会社そのものの質を高めていきたいんです。

新しい技術を生み出し、働く環境をより良くしながら、一流のプロとして誇りを持てる仕事を積み重ねていく。社員にもお客様にも必要とされる、質の高い会社を目指して、これからも挑戦を続けていきたいと思います。

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