データで社会の「強靭化」を支える──機微データ領域に挑む、ディーア三木朋和社長の視点

株式会社ディーア 代表取締役 三木 朋和氏

2025年7月に創業した株式会社ディーア。防衛、安全保障、宇宙、防災、パーソナルデータといった「機微データ」を軸に、社会のレジリエンス(強靭性)を支える新しい価値創出に挑む。同社を率いる三木朋和氏(代表取締役社長兼CEO)は、長年日本経済新聞社で記者・編集者・データ担当者としてデータ報道領域を牽引してきた人物だ。データジャーナリズムをはじめ、多様な変化の現場を見つめてきた経験から、いま企業に必要な「データ活用のリアル」と今後の展望を語ってくれた。

機微データ領域に挑む、創業期のディーア

――御社の事業概要と現在の取り組みについてお聞かせください。

立ち上げたばかりの会社で、事業は「データ関連事業」に特化しています。企業のデータ運用支援、導入・運用の代行、そして特徴的なのが「データマネタイゼーション」支援です。企業に眠るデータを収益や経営の改善につなげる取り組みで、単にデータを蓄積するだけでなく、売買や組み合わせによって新たな価値を生み出すビジネスがこれから拡大すると考えています。

特に注目しているのが、防衛、安全保障、宇宙、防災、パーソナルデータといった機微データです。これらは扱いが極めて難しい一方、社会的価値が非常に高い領域です。従来は大企業や政府が中心でしたが、近年は民間企業のデータにも活用余地が広がっています。そこをつなげるデータの「ブローカー」のような活動も手掛けたいと考えています。

31年の新聞記者・編集者生活から独立へ

――経営者になられた経緯を教えてください。

2025年6月まで、日本経済新聞社に31年間在籍していました。企業財務やマーケット、経済統計など、数字と向き合う仕事が中心で、編集者やグループ長として「データジャーナリズム」の立ち上げに無我夢中で取り組みました。データを起点にニュースを発掘する考え方で、データの持つ力を強く実感しました。

一方で、企業にデータは増えているのに「成功するデータ活用事例がなかなか増えない」ことも長年、見てきました。そのもどかしさから、蓄積された知見をいかし、企業が持つデータを本当の意味で価値に変えるお手伝いができないかと考え、独立開業をしました。

――仕事をするうえで大切にしている価値観は何でしょう。

データの可能性や力を信じつつ、過信せず冷静に見ることです。あくまで企業は本業などの事業が中心であり、データはその価値を伸ばすための素材という位置づけです。本業に影響を与えてしまうような活用は本末転倒ですし、データを扱うからこそリアルなビジネスや人との関係性を大事にしたいと思っています。

組織づくりは「経験×副業人材」から始める

――組織運営で意識していることを教えてください。

現在は私一人の会社で、雑誌などを展開する日経BPにチーフデータアナリストとして参画しながら同社のデータ戦略を支援しています。また関連する一般社団法人データマネタイゼーション協会の代表理事、大学非常勤講師も勤めています。

当社の採用はこれから本格化させていく段階です。とはいえ、最初から正社員を増やすより、まずはシニア層や経験豊富な副業人材に力を借りながら事業の骨格をつくりたいと考えています。

特にデータ×機微領域は、立ち上がりに高度なノウハウが必要です。週1の関与でも十分で、経験者の視点を取り入れて基盤を整えたうえで、次のフェーズで若手メンバーを迎え入れたい。段階的に強い組織をつくるのが理想です。

――求める人物像を一言で表すと?

「大きな視座を持ち、自分の仕事の意味を捉えられる人」です。データは目に見えないものですが、企業にも社会にも大きな影響を与えます。特にこれからのAI・ロボティックス社会において、自分の成果が誰の役に立つのかを考えられる方と一緒に働きたいと思います。

未来の展望──レジリエンスを高めるデータ産業へ

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

当社は「レジリエンス(強靭性)」を軸に事業を広げたいと考えています。サステナビリティ、脱炭素、生物多様性、防衛・安全保障など、どれも社会を守るための領域で、これらを包括する概念がレジリエンス・テックです。

会社名「Di-R(ディーア)」は、Data Intelligence for Resilience の頭文字を組み合わせています。データとインテリジェンスをレジリエンスのために使う──この思想を創業時から掲げています。

ビジネス自体まだ新しく、短期で大きく伸びるものではありません。だからこそ丁寧に土台を築き、情報発信や理解促進から取り組んでいきたいと考えています。

個人としてのルーツと、リフレッシュ法

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

学生時代からラグビーをしており、観戦も含めて今でも好きです。社会人になってからも少しプレーしていましたが、ハードなスポーツですからね。最近はもっぱらビールを片手に観る側です。いつかまた、無理のない形で復帰できたらと思っています。

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