人の“心”を中心にクリエイティブを届けたい──株式会社ウィンドプロデュース 梶直哉代表が描く、新しいエンターテインメントの形
株式会社ウィンドプロデュース 代表取締役 梶直哉氏
音楽・WEB・イベントを三本柱に、作品だけでなく「人」を中心に据えたクリエイティブを追求している株式会社ウィンドプロデュース。代表の梶直哉氏は、学生時代から映像・音響の世界に身を置きながら、「心を大切にするクリエイティブ」を実現したいという思いで独立したといいます。技術や仕組みが急速に変化する時代において、「この人だから買う」「この人と仕事がしたい」という本質的な価値をどのように取り戻していくのか。同社の現在地、代表が抱くビジョン、組織の姿、そして未来への展望について伺いました。
目次
理念と事業の現在地――“人を売る”会社として
――御社の事業内容と大切にしている理念を教えてください。
現在はクリエイティブを軸に「音楽」「WEB」「イベント」の三本柱で事業を展開しています。音楽事業では、アーティストのマネジメントやプロモーション、楽曲制作、音楽出版社としての権利管理まで一貫して行っております。経験ゼロから始まった事業ではありますが、所属アーティストのCDがタワーレコード等に並び、インストアでのリリースイベントを開催するまでに成長しました。
イベント事業では、音楽ライブの運営や音響、オンラインとオフラインのハイブリッド型セミナーの技術サポートなどを行っております。
売上の中心となるのはWEB領域で、ホームページ制作から動画の制作、会社案内等のデザイン、YouTube運営まで、企業のクリエイティブ全般をまとめて任せていただくことが多いですね。YouTubeに関しては、自社以外のアーティストさんのYouTubeにも携わらせていただいており、音楽事業での経験も活かしながら運営しています。
理念として大切にしているのは「作品よりも人を売る」ということです。技術はいつか必ず更新されますが、「あなたと仕事がしたい」と思ってもらえる存在であり続けることは時代に左右されません。だからこそ、技術だけでなく“人の心”を基準にしたクリエイティブを届けたいと考えています。
キャリアと価値観に刻まれた“違和感”と“挫折”
――クリエイティブ業界で独立し、経営者になった背景を教えてください。
学生時代から映像制作や音響を学び、当時の就活ではレコード会社や芸能事務所、テレビ制作会社を中心に約80社ほど受けました。いくつか内定もいただいたのですが、最終的に辞退して独立する道を選びました。
理由は、面接で出会った多くの制作現場の人たちの“目が死んでいた”ことです。本来、クリエイティブは人を幸せにする世界のはずなのに、働く側の人たちに魅力を感じない。そこに強い違和感があったんです。既存の業界構造の中で、上からの価値観が押し付けられ、同じような人ばかりが育ち、その結果、魅力を感じる人が少ない。この現状を見て、自分の理想のクリエイティブの形とのズレを感じました。
既にある程度クリエイティブに関する技術は持っていたので、「心を軸にしたクリエイティブ」を自分の手で実現しようと、個人事業としてスタートし、後に法人化しました。
――印象に残っている出来事はありますか。
最も印象的だったのは、自分が制作に深く関わったCDがタワーレコード渋谷店に並んでいるのを見た瞬間です。私のアーティストのCDの隣には西田敏行さんのCDが並んでいて、「ここまで来たんだ」と心から感じました。制作、レコーディング、構成、デザインまですべてに自分が携わった作品が日本有数の店舗に並ぶ──あの光景は今でも忘れられません。
組織づくりの中心にある“心”とコミュニケーション
――社員やチームとの関わりで意識していることは何ですか。
技術があることよりも「人として魅力的であること」を重視しています。動画編集ができる、デザインができるといった能力を見ることももちろんありますが、それ以上に「この人と仕事をしたい」と思える人間性が最も重要です。
私自身、“スキル”ではなく“人”を起点に仕事をいただくことがほとんどです。最初の仕事をきっかけに、派生した仕事に携わらせていただくことも増えて、それに伴い依頼を受けてから新しい技術を習得してトライする、などということもあります。それも「人ありき」だからできること。私のチームの方々にも、そうなってもらいたいと考えているので、チーム内のコミュニケーションは常にフラットに、対等に、相手の魅力をより引き出す形で行いたいと考えています。
未来への展望――クリエイターの“想い”が伝わる世界へ
――今後目指していきたいことを教えてください。
これから挑戦したいのは、クリエイターの想いがもっとみなさんの心に届くような、作品以上の価値があるエンターテイメントを創造し、こういったクリエイティブの形を広めていくことです。
現状、特にテレビやエンタメの世界では、“表に出るスターだけが輝く構造”になっていることが多いです。しかし、制作側にも多くの努力と想いがあります。
例えば新海誠監督などはまさにそうですが、「この人の作品だから観たい」ということが起こるような、クリエイターの人格や価値観が、作品への興味や価値に影響を与えるような世界を少しでも広げていきたい。
“誰が作ったのか”に人の意識が向けられることは、本質的には作品を通じて作り手と受け手の心が繋がっていくことを意味していると、私は考えています。
こういったクリエイティブの形を「心に寄り添うエンターテイメントの創造」という言葉にして、弊社のキャッチコピーにしていますが、そうした想いを大切にした価値観を社会に提案していきたいですね。
代表としての素顔――リフレッシュと創造の源
――仕事以外で大切にしている時間や、リフレッシュ方法はありますか。
仕事から離れた自分も、自分の姿のひとつですし、リフレッシュにもなるので、趣味も大切にしています。私の趣味のひとつにポケモンがあるのですが、最近では特にポケモンカードでよく遊んでいます。カードショップ等では対戦イベントが定期的に開催されていて、そこに参加すると小学生や中学生、社会人など、いろんな年代の方と対戦し、普段会わないような方々とのコミュニケーションを取ることができます。
対戦相手の多くは私が社長であることを知らないので、仲良くなってから「社長だったの?」と驚かれることもありますし、大人に対する礼儀など関係なしに失礼なことを言ってくる子どもも当然います。でも、そういう距離感のなさが楽しくて、役職や立場を気にせず、純粋に“遊んでいるだけ”の時間を過ごせるのが気に入っています。
大人になると、純粋な気持ちだけで人と関わる場が少なくなってきて、こういった時間は貴重なものだと思っているので、これからも大切にしたいと思っています。