3DCGで“体験の未来”をつくる――poolbit designが描く産業・教育の新しい可能性
株式会社poolbit design 代表取締役 熊谷 知哉氏
3DCG制作を中心に、建築・自動車・産業領域まで幅広く可視化や体験型コンテンツを提供している株式会社poolbit design。代表の熊谷知哉氏は、企画からデザイン、3DCG制作までを一貫して担うことができるプロダクトデザイナー出身のクリエイターです。独立から法人化に至るまでの背景には、「自分の技術をより広く社会に役立てたい」という強い思いがあります。本記事では、事業の現在地、創業の経緯、組織づくりの考え方、今後の展望、そして熊谷氏個人の価値観についてお話を伺いました。
“歩けるCG”で可視化の価値を広げる
――まず、現在の事業内容と強みを教えてください。
当社はBtoB向けに3DCGコンテンツを制作しています。自動車、建築、電気製品など幅広い業界で、製品開発・販促・検証に使われるCGを提供しています。特に力を入れているのが、内部を歩き回って体験できる「没入型コンテンツ」です。例えば、建築前に室内を自由に歩き、採光・高さ・導線などを確認できるため、手戻りの削減や資材の節約にも繋がります。
私自身がプロダクトデザイナー出身であるため、企画段階のアイデアからデザインを起こし、そのままCGに落とし込める点が当社の最大の強みだと感じています。まだ形が曖昧な段階からクライアントとイメージを共有できることは、大きな価値だと思っています。
“もっと役に立ちたい”から始まった独立
――独立を決めたきっかけは何だったのでしょうか。
以前は大型機器メーカーでプロダクトデザインを担当していましたが、ルーティン化した仕事に物足りなさを感じ、自分のスキルをより広く役立てられるのではないかと考えました。もっと自在に、自分の技術を社会に提供したい――その思いから個人事業主として活動を始め、約5年後に法人化しました。
――印象的だった出来事はありますか?
展示会出展が大きな転機でした。自動車開発支援企業や展示会ブース制作企業など、独立していなければ出会わなかったであろう人たちとご縁が生まれ、事業の可能性が一気に広がりました。サラリーマン時代には想像できなかった出会いでした。
“技術を継承し、強いチームをつくる”
――組織運営で大切にしていることは何でしょうか。
現在は一人ですが、専門学校で講師を務めていることもあり、若いクリエイターの採用・育成には強い関心があります。外注に依存するのではなく、「poolbit designとしての技術と価値観を継承できる仲間」を迎えたいと考えています。
技術の蓄積と再現性のある制作体制をつくることで、週休3日でも成果を出せる効率的な働き方も実現したいと思っています。日本の労働生産性が世界に比べて低いと言われる中で、モデルケースの一つになれたら嬉しいですね。
教育×3DCGで新たな学びをつくる
――今後挑戦したい領域はありますか。
教育分野に注力したいと考えています。3DCGは「出かけなくても体験できる学び」を可能にしますし、キャラクターが教えてくれる教材などゲーム性を持たせた教育コンテンツにも可能性があります。
また、若いクリエイターに「CGはゲームだけでなく、産業や教育にも活かせる」ということを知ってもらいたいと思っています。産業領域にCGが浸透することで、日本の技術力向上にも貢献できるはずです。
3年後には10名規模のチームで、週休3日でも確かなクオリティを提供し、現在の15倍規模の事業へと成長していたいと考えています。
ラジコンレースと音楽、そして読者へのメッセージ
――仕事以外で楽しんでいることはありますか。
最近は「運転席視点型ラジコンレース」にハマっています。ラジコンにカメラを載せ、ゴーグルを着けてドライバー視点で走らせるもので、中学生と一緒に大人げなく競い合うのが楽しいですね(笑)。
また、DJ機材で好きな音楽を流し、友人とゆったり過ごす時間も良い気分転換になります。専門的に学んだわけではありませんが、“お互いに好きな音楽をシェアする”という空間が気に入っています。
――最後に、読者へメッセージをお願いします。
日本は長らく停滞してきましたが、クリエイティブや技術の力で再び世界に負けない国になれると信じています。私自身も教育・産業領域へ挑戦を続けながら、ものづくりの未来に貢献していきたいと思っています。ともに前に進んでいきましょう。