「感謝で 未来を 笑顔に」-元阪神タイガース矢野燿大氏による「支援の行方がわかる社会貢献」で育む新しい福祉のかたち
特定非営利活動法人 THANKYOU FUND 代表理事 矢野輝弘氏 副代表理事 畑中大蔵氏
「感謝で 未来を 笑顔に」この言葉を掲げ、THANKYOU FUND は、人と社会をつなぐ多様な支援活動を展開してきました。“寄付の行方が見える支援”を大切にし、障がいのある方々の生活をより豊かにする取り組みを続けています。今回は、代表理事の矢野輝弘氏、副代表理事で社会福祉士の畑中大蔵氏に、活動の背景、組織運営、未来への展望について伺いました。
思いを確実に届ける支援が生む信頼
――現在の活動の中心と、組織として大切にしている理念について教えてください。
活動の原点にあるのは、応援してくださる方々から預かった思いを「確実に届ける」ということです。車いすの支援は、単なる物品の提供ではなく、その方の生活の質や可能性を広げるものです。支援した結果が見えること、そして価値を実感していただけることが最も大切だと考えています。ありがたいことに、そうした姿勢に賛同してくださる法人・個人会員が少しずつ増えており、自然な広がりの中で活動の輪が育っていると感じています。
キャリアの先で出会った「社会貢献」を、当たり前の文化に
――矢野代表が活動を始めたきっかけや、大切にされている考え方を伺えますか。
スポーツ界にいると、多くの方に応援していただいて成り立っているという感覚が常にあります。その恩返しを形にすることは自然な流れでしたし、社会貢献は“してあげるもの”ではなく“当たり前にするもの”だという思いがあります。私個人が関わっているから興味を持っていただけることもあるかもしれませんが、そこで知った活動に賛同していただき、さらに力が広がっていく——その循環こそが理想です。組織を大きくするのが目的ではなく、良い取り組みが評価され自然と広がっていく未来を目指しています。
――畑中副代表は福祉の専門職として、どのような視点を活動に反映しているのでしょうか。
福祉の世界で長く働いてきた立場から言うと、「不自由=不幸」ではありません。たとえ障がいがあっても、誰もが自己実現し、夢を持つ権利があります。従来の“できない部分を補う福祉(ウェルフェア)”だけではなく、“その人らしく生きること(ウェルビーイング)”に寄り添う活動が必要です。車いすの支援はもちろん、文化・スポーツ・学びの機会など、人生を豊かにする価値をこれからさらに届けていきたいと考えています。
「対等な関係」でつくる空気感とコミュニケーション
――組織運営や、活動に関わる方々との関係づくりで大切にしていることはありますか。
常に意識しているのは「対等であること」です。たとえばイベントでは、支援を受ける方をゲストではなくホストとして迎える工夫をしています。会場準備を一緒に行ったり、自分にできる役割を担ったりすることで、主体的に参加できる環境を作ります。支援する側・される側という構図ではなく、“一緒につくる仲間”という雰囲気が非常に大切だと感じています。
活動をより多様に。スポーツ・文化・学びへと広がる未来
――今後挑戦していきたい取り組みを教えてください。
ボッチャやeスポーツなど、離れていても一緒に楽しめる活動は、精神的なつながりを生み出すうえで大きな可能性があります。今後はオンライン参加を支える機器の整備なども検討していきたいと思います。また、新たに始めた「HOME BASE(ホームベース)」という事業では、子どもたちが自己肯定感を育める学びの時間を提供しています。スポーツ、文化、学び——分野は違っても“誰もが人生を楽しめるようにする”という目的は共通です。自然に広がっていく取り組みを丁寧に育てていきたいです。
未来に向けては、寄付の価値を「実感できるもの」にする取り組みをさらに磨いていきたいと思っています。自然な広がりの中で、活動がより多くの笑顔を生むきっかけになれば嬉しいです。