可能性にふたをしない社会へ――アスリート式が描く「人の力を引き出す」未来
株式会社アスリート式 代表取締役 長野憲次氏
株式会社アスリート式は、SNSを活用した採用支援、企業向けメンタル研修、アスリートのセカンドキャリア支援を中心に、「人の可能性を引き出す」ことを軸にした事業を展開しています。元プロボクサーである長野憲次氏は、自身の挫折経験から「思い込みで可能性を閉ざしてしまう人を減らしたい」という思いを抱き、アスリート支援を起点に幅広い人材支援へと進化させてきました。本記事では、事業の価値観、組織づくり、そして今後の挑戦について伺いました。
人の可能性を広げる事業づくり
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社は「人の可能性を引き出すこと」を軸に、3つの事業を展開しています。
1つ目は、企業の採用活動を支えるSNS運用代行です。企業の雰囲気や働き方を日常的に発信し、求職者が企業を知るきっかけを増やす役割を担っています。写真や文章の打ち出し方によって印象が大きく変わるため、求める人物像が伝わりやすくなるよう工夫しながら運用しています。
2つ目は、企業向けのメンタル研修です。元アスリートが講師として登壇し、実体験に基づいて「気持ちの整え方」や「前向きに働くための考え方」を伝えています。働く人のエンゲージメントを高めたい企業からの依頼が増えており、研修後に社員同士の会話が増えたり、離職率の改善につながったりするケースもあります。
3つ目は、アスリートのセカンドキャリア支援です。大阪市スポーツ協会と連携し、引退後の進路に悩むアスリートに対して、企業への紹介や働く場の提案を行っています。競技生活に集中してきた選手は、自分の強みに気づきにくいことも多く、その気づきを促しながら新しいキャリアへ踏み出す後押しをしています。
これら3つの事業はいずれも、「自分では気づけない力を見つけ、発揮できるようにする」という共通した考え方から生まれています。
挫折から生まれた支援の原点
――事業を継がれた経緯や、印象に残っている出来事を教えてください。
私自身、プロボクサー引退後のキャリアに悩みました。人前で話すことを避けていましたが、講演の機会をいただいて挑戦してみると、思いのほか喜ばれ、自分が思い込みで限界を決めていたことに気づきました。
その後、アスリートの部活動支援やキャリア支援に関わる中で、引退後に自信を失っている選手が多い現状を知りました。自分の経験を活かし、彼らの背中を押す場をつくりたいと思ったことが、アスリート式の原点です。「可能性を引き出す」という理念は、自分自身の変化の体験から生まれました。
成果を追求し、働きやすさを整える組織運営
――組織づくりや社員との関わりで意識していることはありますか。
現在は役員2名、業務委託18名の体制で事業を進めています。研修事業では“受けて終わり”にしないことを重視し、離職率の変化やエンゲージメントの向上といった成果を必ず追うようにしています。研修前後のアンケート指標を活用し、改善の手応えを企業へ届けられるように取り組んでいます。
一緒に働く方には、誠実さと「楽しむ姿勢」を大切にしてほしいと考えています。余裕を持って物事に向き合えないと選択肢が狭まり、発想も生まれません。事業を前に進めるためには、変化を面白がれる人と働くことが重要だと感じています。
クライアントに対しては、従業員を本気で大切にしたいと考える経営者の方と共に取り組んでいきたいと思っています。研修の場で経営者の思いが初めて社員に伝わり、組織が変わる瞬間に立ち会うことも多く、その過程に価値を感じています。
研修を全国へ広げる挑戦
――今後の展望について教えてください。
福利厚生サービス企業との連携が進んでおり、メンタル研修を全国に広げる計画があります。アスリートが講師として活躍できる機会を増やし、セカンドキャリア支援にもつなげたいと考えています。
SNS採用支援も全国で導入が増えており、現在30社ほどの企業にご利用いただいています。今後は100社を目標に、ブルーカラー領域での採用支援にも力を入れていく予定です。働く人の魅力や社風を発信できる企業ほど採用に成功しており、そのサポートを強化していきたいと思っています。
働き方の価値観が変化する中で、人の力をどう生かすかはますます重要になると感じています。
日常を整え、視点を広げる時間
――お仕事以外で大切にしている時間を教えてください。
ボクシングは今でも大切な存在で、家でシャドーボクシングをする時間が気持ちの切り替えになっています。お酒を楽しむ時間や、気軽に食べられる美味しい料理を探すことも良い気分転換です。