地域の“保険屋さん”を、地域の“安心インフラ”へ──上野直昭氏が描く保険代理店の新しい役割
一般社団法人保険健全化推進機構結心会 会長 上野直昭氏
結心会は、安心して相談できる保険ショップの在り方を全国で推進し、地域の暮らしを支えるための仕組みづくりに取り組んでいます。上野直昭氏は、保険業界が抱える「不信感」や「人材の高齢化」といった課題に向き合いながら、地域課題の解決まで担う新しい保険代理店像を模索してきました。今回は、組織の現状からご自身のキャリア、今後の展望までを伺いました。
目次
正しい保険選びを広げるために立ち上げた「結心会」
――まず、結心会を立ち上げられた背景をお聞かせください。
もともと保険ショップ事業の立ち上げに関わっており、複数の保険会社を扱いながら、お客様が自分に合った商品を選べる環境をつくりたいという思いが原点です。20年前は職域に生保レディさんが来て、その場で加入を勧められる文化が一般的でした。ただ、それでは本当にお客様が納得した保険選びができているとは言い難いと感じていました。
そこで、お客様が自由なタイミングで相談でき、個人情報を無理に求められず、話をじっくり聞ける保険ショップを広げようと考えました。その品質を全国で統一するために、オーナー同士で学び合う場として結心会をつくったのが始まりです。
――海外投資の案内など、保険以外の支援も増えているそうですね。
お客様の悩みを聞いていくと、「保険の加入」だけでは解決できないケースも多いんです。特に資産形成に関する相談は年々増えています。日本は長く低金利が続いていたため、資産運用の選択肢として海外の情報が有効な場合があり、必要な方には現地の企業を紹介するなど幅広く支援しています。
また、乳がんで入院されているお客様のために「ウィッグを仲間同士でプレゼントする仕組み」をつくったケースもありました。保険に限らず人の困りごとを解決することが、結果として保険代理店の価値向上につながると考えています。
なりゆきで経営者に──しかし根底にあるのは「地域に寄り添う」という意志
――ご自身が経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
最初から経営者を目指していたわけではなく、保険ショップ事業の立ち上げに関わる中で自然と代表を担う形になりました。10年前の保険業法改正の時期に、業界全体の品質向上が求められましたが、その際に結心会の存在意義が大きくなり、より責任ある立場として運営するようになりました。
いまも3か月に1度の勉強会を重ね、全国の保険ショップと連携しながら、正しい保険提案を広げる役割を担っています。
――組織運営で大切にされていることを教えてください。
結心会は全国で120以上の会員がいて、地域ごとに役員を置きながら「みんなで運営する」体制をとっています。重要なのは、利益だけで動かず、お客様の人生に寄り添う姿勢を持つかどうか。一度保険をお預かりしたら、何十年と家族の成長を見守る立場になります。地域の課題解決に関わり、災害時の拠点になるなど、保険代理店だからこそできる役割も大きいと感じています。
資産形成の時代へ──地域も未来も支える保険代理店に
――今後の展望をお聞かせください。
金融庁の再編もあり、保険は「資産運用」の分野とより密接になる方向です。実際、若い世代からの投資相談は増えており、保険と運用の両軸でサポートする必要性が高まっています。
さらに、人口減少・高齢化が地域にさまざまな課題を生んでいます。保険代理店は全国にネットワークがある強みを生かし、婚活支援や子ども食堂、災害時の支援など、地域インフラとしての役割をもっと果たせるはずです。
日本では「保険屋さん」というと少し下に見られがちな側面もありますが、本来は人生を支える重要なパートナー。アメリカのように、コンサルタントとして信頼される存在に近づきたいですね。
リフレッシュの時間と、心に残る言葉
――最後に、上野様ご自身のリフレッシュ方法を教えてください。
そうですね、特別にこれといった趣味があるわけではないのですが、休みの日はNetflixで韓国ドラマを見るのが一番のリフレッシュになっています。
韓国ドラマって1話が大体1時間くらいあるんですよ。だから5話見たらそのまま5時間、気付いたら半日終わっていた…なんてこともしょっちゅうです(笑)。
もう一つはウォーキングです。土日も含め1日15000歩歩くようにしていて知らない道を常に探して歩いています。
また、結心会で大事にしている言葉に「とにかくやってみる」「凡事徹底」があります。失敗を恐れず行動し、細かいことを積み重ねる。その姿勢は、経営だけでなく自分の生活にもつながっていると感じています。
保険は“愛”だと言っていますが、これは保険金が単なるお金ではなく、家族の思いを届けるものだと本気で考えているからです。これからも地域の方々の人生に寄り添える代理店づくりを続けていきたいと思っています。