アスリートの力で地域を支える――富山ドリームスが描く「スポーツ×社会課題」の形

一般社団法人富山ドリームス 代表理事 徳前 紀和氏

ハンドボールチームを運営する一般社団法人富山ドリームス。代表理事の徳前紀和さんは「スポーツで儲けるのは厳しい」と理解したうえで、アスリートの力を地域の人手不足という社会課題の解決につなげようとしています。さらに本業では学校の校長として働きながら、無報酬の立場で別法人にも関わるなど、複数の役割を背負って挑戦を続けています。スポーツと地域を結び直す構想、そして「情熱は伝播する」という信念について、お話を伺いました。

地域を支えるハンドボールチーム運営の事業

――御社の事業内容を、代表として改めて教えてください。

私どもの事業は、ハンドボールチームの運営です。ただ、単に競技で収益を上げるのは現実的に難しい。私が地域で指導を続ける中で、先人が培ってきた競技文化や伝統がある一方、人口減の流れのままでは維持が難しい状況が見えてきました。

だからこそ、地元の産業界や行政などと横につながり、地域に喜んでいただける形で文化を創造していきたい。社会課題である人手不足を、アスリートの力で解決する――そのストーリーを軸に、チームを立ち上げました。

「プロ」の曖昧さに挑戦し、持続の形を描く

――収益の柱はどこにあるのですか。

日本のトップスポーツの多くは、企業チームの歴史が長く、プロ化の境目が曖昧だと感じています。リーグHも男子14チームのうち、独立法人のクラブが4つ、実業団が8つ、残りが「プロ」とされる形など、単純には語れません。

競技だけで生活できるのがプロなのか、トップリーグで戦うことがプロなのか。定義が統一されていないこと自体に疑問があります。

私どもは、アスリートを地元企業とマッチングし、法人が黒字で回ることで、いずれ選手にしっかり還元できる状態を目指します。現状の売上は約8,000万円で、協賛収入が大きな割合を占めています。

誠実に回す組織づくりと、人を活かす視点

――運営体制はどのようになっていますか。

運営は20人弱で、仕事を持つメンバーが10数名、学生ボランティアが20人ほど関わっています。給与を支払っているのは、監督・トレーナー・事務局長・運営事務の方・パート数名などで、全体では6〜7名ほどです。

一番の課題は、外向けの発信や営業に十分な時間を割けないことです。新規開拓は私と常務が中心で、協賛者の紹介に助けられる場面も多く、どうしても受動的になりがちです。だからこそ、PRや営業を担う人材の必要性を強く感じています。

人口減の時代に挑戦し、全国へ広げる展望

――今後、どのような方向性で事業を伸ばしていくのでしょうか。

今後はチーム強化と観客増に取り組みつつ、グッズや入場料以外の収入も伸ばしたいと考えています。また、就職マッチングでフィーをいただく別法人と、将来的に統合していく構想もあります。3年後の売上は、まず倍を目指しています。

課題は資金不足と人手不足です。どこまで借入を含めて投資し、人を呼び込めるかを見極めながら進める必要があります。加えて、小さな町で新しいことを進めるほど、理解を得る難しさも増します。講演会を企画するなど、浸透のための工夫も重ねています。

最終的には、アリーナが「そこに行けば何かある」場所になり、高齢の方も気軽に集まり、企業が魅力を発信し、地域の様々な団体が表現できる拠点になることを目指しています。

情熱を伝播させるリフレッシュ法

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

料理をするのが好きですし、お酒も好きです。ただ、正直なところ余裕はあまりありません。だからこそ、私が尊敬する先輩経営者の「情熱は伝播する」という言葉を思い浮かべながら、イメージしたものを願い、エネルギーをかけ続けています。

スポーツそのもので儲けるのではなく、スポーツと何を組み合わせるかで街が豊かになり、心が晴れやかになり、社会が回っていく――そんな姿を描きながら、一歩ずつ前進してゆきたいです。

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